【弁理士試験】生物化学の過去問を解いてみた(2017年度)

弁理士に挑戦

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二次試験(論文/選択科目)の対策!

特許庁のWebサイトで公開されている過去問の中から、理工IV(生物)の「生物化学」を解いてみました。

 

今回は、2017年度(平成29年)の問題です。

 

ボクなりの回答と、ボクが考えた派生問題を共有させていただきます。

Ataru
Ataru

おかしな箇所があれば、Comment欄にてご指摘ください。

 

2017年度の過去問

問1(計28点)

1. 以下の事項について、空欄の(①)から(⑭)に適切な語を入れよ。ただし、同じ番号には同じ語が入る。

 遺伝情報が記録されているDNAは、( ① )巻きの二重らせん構造を有している。それぞれのDNA鎖は、デオキシリボースとリン酸が共有結合の一種である( ② )結合で交互につながっている。

① 右
② ホスホジエステル

Ataru
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ここは簡単♪

 

 DNAに記録された遺伝情報は ③ )による転写反応によってメッセンジャーRNAに転写される。真核生物のメッセンジャーRNAには5‘末端に( ④ )、3’末端に( ⑤ )が付加される。さらに、真核生物の多くのメッセージRNAでは( ⑥ )反応によるイントロンの除去を経て成熟型メッセンジャーRNAとなる。

RNAポリメラーゼ
キャップ
ポリA尾部
RNAスプライシング

Ataru
Ataru

「キャップ」や「ポリA尾部」のことを「5’キャップ」や「ポリAテイル」と呼び名がマチマチ。そもそも教科書間でバラツキがあるから、どちらで答えても✖️にはされないか…?

 

 メッセージRNAを鋳型として ⑦ )上で翻訳反応が進行し、酵素などのタンパク質が合成される。翻訳反応では、( ⑦ )のAサイトに( ⑧ )が配置され、( ⑨ )サイトにペプチジルトランスファーRNAが配置される。また、Eサイトにはアミノ酸のはずれたトランスファーRNAが一時的に結合する。

 

 酵素反応では、基質との非共有結合性相互作用が重要な役割を担っている。生体において重要な非共有結合性相互作用としては、水素結合、 ⑩ )及び( ⑪ )が知られている。( ⑩ )は、塩類によって阻害される。( ⑪ )の結合エネルギーは、1から2kcal/mol程度である。

⑩ 静電引力
⑪ ファンデルワールス引力

Ataru
Ataru

ここから生物化学らしい問題になってきた。

生体分子にとって重要な非共有結合は、

  • 水素結合
  • 静電引力
  • ファンデルワールス力

そして、第四の弱い力「疎水結合」もお忘れなく!

 

 酸化還元反応を担う酵素の中には、触媒反応に( ⑫ )を必要とする酵素が知られている。ビタミンの多くが( ⑫ )の前駆体となっている。( ⑫ )に結合する前のタンパク質(不活性型酵素タンパク質)を( ⑬ )酵素と呼ぶ。( ⑫ )( ⑬ )酵素の複合体を( ⑭ )酵素と呼ぶ。

⑫ 補酵素
⑬ アポ
⑭ ホロ

 

問2(計32点)

2 生物化学に関する以下の問いに答えよ。

(1)赤血球中のヘモグロビンを例として、10行程度でアロステリック効果を説明せよ。

アロステリック効果とは、タンパク質の機能が他の化合物(エフェクター)によって調節されることをいう。赤血球中のヘモグロビンは酸素と結合する鉄中心をもつヘムを四つもち、それぞれのヘムと酸素との結合には一定の平衡定数が存在する。しかし、ヘモグロビン中の一つのヘムが酸素と結合すると、ヘモグロビン全体の構造が変化し、他のヘムと酸素との結合が促進される。すなわち、酸素濃度の高いところでは単独のヘムよりも効果的に酸素を取り入れることができる。一方で、細胞中のミオグロビンのそれぞれのヘムにはヘモグロビンのような協同効果はないので、酸素との結合生成反応は酸素濃度に一次で比例するだけである。この結果、ヘモグロビンは酸素の多い肺では酸素を吸収し、酸素の少ない各細胞では酸素を放出することができる。

Ataru
Ataru

こんな感じかな…

回答を一語一句覚えるのではなく、流れを理解するように勉強した方がいいかもです。

 

(2)ヘモグロビンがアロステリック効果をもつことの生理的意義を3行程度で説明せよ。

ヘモグロビンは、アロステリック効果により酸素濃度の高いところでは酸素を吸収し、酸素濃度の低いところで酸素を放出する。この特性により、酸素濃度の高い肺から酸素濃度の低い抹消組織へと酸素の運搬を行っている。

Ataru
Ataru

(1)がわかれば、こちらは簡単。

ただ、漢字が書けないこともあるので、手書きで文字起こしをしてみた方が無難かもしれません(^^;

 

問3(計40点)

3 生物化学の実験技術に関して、以下の問いに答えよ。

(1)CRISPR/Cas9 を用いた遺伝子ノックアウト法について、以下の語を全て用いて 10 行程度で説明せよ。用いた語には下線を引くこと。
[Cas9タンパク質、エンドヌクレアーゼ活性、DNA−RNA塩基対、非相同組み換え型修復、ガイドRNA]

原核生物において発見された獲得免疫機構をCRISPR/Casといい、このうちCas9タンパク質と呼ばれるエンドヌクレアーゼと標的となるDNA配列へ導くガイドRNAを複合化し、DNA改変技術に応用したものをCRISPR/Cas9という。
ノックアウトしたい遺伝子のPAM領域の直前に位置するDNA配列とDNA-RNA塩基対を形成するようにガイドRNAを調整する。すると、ガイドRNAによってCas9タンパク質が標的としたDNA配列部位に動員される。Cas9タンパク質はエンドヌクレアーゼ活性により、標的DNA配列部位に二本鎖切断を作る。二本鎖切断された部位は非相同組み換え修復が行われるが、この過程で誤りを生じやすい。誤りを生じるとフレームシフトを引き起こし、遺伝子を崩壊させることとなる。 CRISPR/Cas9の技術により、狙った遺伝子を短時間かつ高効率で改変することが可能となった。

Ataru
Ataru

出た!

2020年度のノーベル化学賞で脚光を浴びた大注目の実験手法「CRISPR/Cas9」

 

(2) siRNA(small interfering RNA)を用いた RNA 干渉法及びオフターゲット効果について、以下の語を全て用いて 10 行程度で説明せよ。用いた語には下線を引くこと。
[相補対、一本鎖、二本鎖、RISC複合体、Agoタンパク質]

RNA干渉とは2本鎖RNAが特定の遺伝子の発現を抑制する現象である。
標的とする遺伝子と塩基配列が同じ2本鎖RNAを細胞内に導入すると、ダイサーと呼ばれる酵素によって分解され、二本鎖の短いRNA(siRNA)となる。次いで、二本鎖siRNAは一本鎖siRNA(パッセンジャー鎖とガイド鎖)に分離された後、ガイド鎖はRISC複合体に組み込まれ、複合体の中で標的メッセンジャーRNAへと導くガイド役として機能する。その後、ガイド鎖が標的メッセンジャーRNAと相補対を形成するとRISC複合体内のAgoタンパク質による標的メッセンジャーRNAの切断を誘導する。
RNA干渉を応用する際は、siRNAの長さが約21塩基と短く標的遺伝子と全く無関係な遺伝子にも相同部分が存在する可能性が高いため、標的遺伝子とは無関係な遺伝子の発現まで抑制されてしまう現象(オフターゲット)に注意する必要がある。

Ataru
Ataru

これもノーベル賞で脚光を浴びた実験手法「RNA干渉」

2006年のノーベル医学・生理学賞です。

 

問題を解き終えた感想

【2017年度の特徴】

  • 穴埋め問題は比較的優しい
  • 穴埋め問題の配点は低め
  • 「分子生物学」の問題が多め
  • ノーベル賞に関する問題が多く出た

 

合格の基準が「60点」なので、問1で8割方正解して、問2~3はとりあえず全ての問題を埋めれば合格点まで届くかな~…といった感触です。

 

やはりインターネットの情報だけでは太刀打ちできないので、専門書「Essential細胞生物学」の準備をオススメします。

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2017年度の派生問題

リボソームには3つのtRNA結合サイト「Aサイト」、「Pサイト」、「Eサイト(EXIT)が存在する。「Pサイト」に配置されるのは「ぺプチジルtRNA」であるが、「Aサイト」に配置されるtRNAは?

アミノアシルtRNA

 

ファンデルワールス引力と水素結合の違いは?

水素結合は特定の基の間で生じる相互作用であり、通常、酸素又は窒素に結合した水素原子と酸素原子又は窒素原子の間に生じる。一方、ファンデルワールス引力は水素結合よりも弱いものの、あらゆる原子の間で生じる。

 

CRISPR/Cas9を用いた遺伝子ノックアウトマウスの作成法を説明せよ。

原核生物において発見された獲得免疫機構をCRISPR/Casといい、このうちCas9タンパク質と呼ばれるエンドヌクレアーゼと標的となるDNA配列へ導くガイドRNAを複合化し、DNA改変技術に応用したものをCRISPR/Cas9という。CRISPR/Cas9を用いたノックアウトマウス法の手順としては、まず標的となるDNA配列とDNA-RNA塩基対を形成するようにガイドRNAを調整する。次いで、調整したガイドRNAとCas9タンパク質をウイルスベクターもしくはエレクトロポテーションによりマウスの受精卵に導入し、別のマウス(仮親)の卵管に移植する。受精卵のゲノムDNAは、ガイドRNAによって標的配列にCas9タンパク質が動員され、Cas9タンパク質のエンドヌクレアーゼ活性によって、二本鎖切断が作られる。ゲノムDNA自身の修復機構により非相同組み換え型修復が行われるが、この過程で誤りを生じやすくゲノムDNAの標的遺伝子を崩壊することとなる。そして、仮親から産仔を取得し、目的領域の塩基配列の確認を行う。

 

過去問リンク

 

 

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