【弁理士試験】生物化学の対策(まとめ)

弁理士に挑戦

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弁理士二次試験(選択科目)の対策!

特許庁のWebサイトで公開されている過去問の中から、理工IV(生物)の「生物化学」に関する問題(2013年~2023年の11年分)をまとめてみました。

 

過去問に取り組む前に、こちらの記事でウォーミングアップしておきましょう!

 

対策全般

広く浅く

他の選択科目についてはわかりませんが、生物化学は出題範囲が膨大です。

 

科目名の通り「生物化学」の問題に限定

…されているわけではなく、「分子生物学」や「細胞生物学」などなど、多岐にわたる問題が出題されます。

100点満点中「60点」を取ればいいので、過去に出題された問題を一つ一つ完璧に覚えていくよりも、浅く広く勉強することを心がけましょう。

 

出題傾向としても、直近の過去問ほど広く浅い知識を問う問題が増えています。

 

話題のニュース

過去問を見る限り、話題のニュースに関連した問題が出題されやすい傾向を感じます。

とくに、注目されている日本人の研究やノーベル賞に関する研究の出題率が高いので、狙われやすそうなところを重点的に対策しておきましょう。

 

日本人の研究はこちらでチェック!

 

生物化学の対策(基礎)

細胞の基本

細胞内小器官

細胞内小器官の主な役割を簡単に説明せよ。

・核

核膜という2枚の同心円状の膜に包まれ、中にはDNA分子が入っている。DNAは生物の遺伝情報を暗号化しているきわめて長い重合体であり、遺伝情報の貯蔵庫として働いている

Ataru
Ataru

細胞の情報貯蔵庫を担当

 

・小胞体

小胞体には粗面小胞体と滑面小胞体の2種類があり、粗面小胞体は、リボソームを用いたタンパク質の合成と合成したタンパク質のプロセシング(折り畳み、ジスルフィド結合、糖鎖の付加)に関与している。一方、滑面小胞体は、中性脂肪、コレステロール、ステロイドの合成に関与している。

Ataru
Ataru

タンパク質の合成やプロセシングを担当

 

・ゴルジ体

分泌タンパク質や細胞外タンパク質の糖鎖修飾、リボソームタンパク質のプロセシングなど小胞体により生産された前駆体タンパク質の化学的修飾を行うとともに、各々のタンパク質を分類し、分泌顆粒、リソソームあるいは細胞膜にそれぞれ振り分ける働きをもっている。また、分泌顆粒そのものの生成も行い、細胞外へ分泌などを行う。

Ataru
Ataru

細胞内タンパクの輸送を担当

 

・リソソーム

生体膜につつまれた構造体で内部に加水分解酵素を含んでおり、エンドサイトーシスやオートファジーによって膜内に取り込まれた生体高分子はここで加水分解される。分解された物体のうち有用なものは、細胞質に吸収され、不用物はエキソサイトーシスによって細胞外に廃棄されるか、残余小体として細胞内に留まる。

Ataru
Ataru

物質の分解を担当

 

・ペルオキシソーム

膜でできた小胞で、反応性が高く害のある過酸化水素を生成、分解する隔離された場となっている。その働きには脂肪酸の酸化やアミノ酸の代謝などさまざまなものがあり,活発な代謝を行っている。

Ataru
Ataru

細胞の代謝機能を担当

 

・ミトコンドリア

酸素と細胞質で生成されたピルビン酸を利用して、水と二酸化炭素に分解し、その過程で生じたエネルギーでATPを合成する。また、β酸化に関する酵素を有しているため、脂肪酸を分解し、そのエネルギーでATPを合成することもできる。

Ataru
Ataru

細胞内のエネルギー生成を担当

 

 

細胞骨格

真核細胞における3種類の細胞骨格について簡単に説明せよ。

・アクチンフィラメント

アクチンタンパクの二本鎖らせんで構成され、直径約7nm。その主な役割は細胞の進展や収縮で、アクチンフィラメントによって、筋肉が伸びたり縮んだりすることができる。また、細胞内の原形質流動にも関わっている。

Ataru
Ataru

主な役割は、「細胞の進展や収縮」と「原形質流動」

 

・中間径フィラメント

ケラチンタンパクが束になって構成され、直径約10nm。細胞骨格繊維のうち最も丈夫で耐久力が高い。中間径フィラメントが細胞内に網目状に張り巡らされることで、細胞の形態を保持している。また、核の位置を保持する役割も担っている。

Ataru
Ataru

主な役割は、「細胞の形態の保持」と「核の位置の保持」

 

・微小管

チューブリンでできた長い中空の筒であり、直径約25nm。ミトコンドリアなどの膜につつまれた細胞小器官の位置を定めたり、細胞内輸送を導く機能を担っている。また、細胞分裂の際には、紡錘糸として染色体を2つに分ける働きも担っている。

Ataru
Ataru

主な役割は、「細胞小器官の輸送」と「染色体の分離」

 

 

細胞分裂

細胞は細胞周期と呼ばれる規則的な過程を繰り返し増殖する。細胞周期はまず大きく( ① )期と間期に分けられる。間期は更に( ② )期(DNA の合成準備期)、( ③ )期(DNA 合成期)、( ④ )期 (分裂準備期)に分けられる。細胞周期を進行させる細胞周期エンジンとして機能する複合体は( ⑤ )( ⑤ )依存性キナーゼから構成され、( ⑤ )は細胞周期特異的に発現するタンパク質として発見された。

① M期
② G1
③ S
④ G2
⑤ サイクリン

 

体細胞分裂について、説明せよ。

1個の細胞が2個の細胞にわかれることを細胞分裂といい、「体細胞分裂」は体をつくる細胞(体細胞)をつくるための細胞分裂のことをいう。分裂の前と後で染色体の数は変わらない。

 

減数分裂について、説明せよ

1個の細胞が2個の細胞にわかれることを細胞分裂といい、「減数分裂」は、卵や精子などの生殖のための特別な細胞(生殖細胞)をつくるための特別な細胞分裂のことをいう。減数分裂によってできた生殖細胞は染色体の数が元の細胞の半分になる。

 

細胞膜

リン脂質は構造中に( ① )結合をもつ脂質の総称である。脂肪酸などを単純脂質と呼ぶのに対し、リン脂質は( ② )脂質と呼ばれる。リン脂質は親水性と( ③ )の二つの性質を有するため、生体内では( ④ )層を形成して細胞膜を構成することができる。

① エステル
② 複合
③ 疎水性
④ 脂質二重

 

リン脂質の構造について、説明せよ。

一般的なリン脂質はグリセロールやスフィンゴシンを中心骨格として脂肪酸とリン酸が結合し、さらにリン酸にアルコールがエステル結合した構造をもつ。

 

生体膜としてのリン脂質の機能について、説明せよ

構造中に疎水性の部位と親水性の部位が共存するため、水中では外側に親水性部を向けて疎水性部同士が集まり二重膜構造を形成する。この構造は生体膜として利用されており、内部の物質の拡散を防ぐとともに、イオンポンプを有することで塩濃度やpHを調整することができる。

 

能動輸送を簡単に説明せよ。

エネルギーを用いて低濃度側から高濃度側へ物質を輸送する仕組みのことをいう。

 

受動輸送を簡単に説明せよ。

浸透現象などによってエネルギーを使用せずに物質を輸送する仕組みのことをいう。

 

 

細胞の情報伝達

細胞間シグナル伝達には大きく分けて5種類の様式がある。( ① )型は、細胞から分泌されたホルモンが血液を通って標的細胞まで運ばれるタイプの様式、( ② )型は、細胞から分泌された物質が局所的に近隣した細胞まで運ばれるタイプの様式、( ③ )型は、細胞から分泌された物質が自分自身に作用するタイプの様式、( ④ )型は、接触しあった細胞同士がその細胞の表面に提示した物質を通じて情報を伝達するタイプのシグナル伝達の様式、( ⑤ )型は、神経細胞のシナプスから神経伝達物質が放出されることによって情報を迅速に伝達するタイプの様式のことをいう。

① エンドクリン
② パラクリン
③ オートクリン
④ 細胞接触
⑤ 神経

 

シグナル伝達は細胞間で行われるものと、細胞内で行われるものとに分けることができる。ホルモンに代表される細胞外シグナルを( ① )といい、これに対して細胞内シグナル分子を( ② )という。

① シグナル分子
② セカンドメッセンジャー

 

アポトーシスについて説明せよ。

プログラム細胞死の最も一般的な形態であり、多細胞生物の細胞で増殖制御機構として管理・調節された能動的な細胞死である。内容物がすべて細胞膜によって閉じ込められたままマクロファージ等によって貪食されるため、周囲の細胞に何の害も及ぼさない。

Ataru
Ataru

プログラム細胞死

 

ネクローシスについて説明せよ。

栄養不足、毒物、外傷などの外的環境要因によっておこる受動的細胞死である。細胞の壊死を起こし通常は膨張・破裂して細胞内の様々な有機物質がばらまかれてしまうため、周囲に害を与える恐れのある炎症反応を引き起こす。

Ataru
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受動的細胞死

 

 

神経細胞

神経細胞の構造と機能

以下の構造と機能について簡単に説明せよ。

・軸索

神経細胞の細胞体から伸びた突起状の構造で、神経細胞における信号の出力を担う。神経細胞につき通常1本存在し、その神経細胞から伸びる最も長い突起であることが多い。

 

・樹状突起

神経細胞の細胞体から樹木の枝のように分岐した複数の突起構造で、外部からの刺激や他の神経細胞の軸索から送り出される情報の受信を担う。

 

・髄鞘

神経細胞の軸索の周りに存在する絶縁性の脂質の層を指す。絶縁性により神経パルスの伝導を高速にする機能がある。

 

・シナプス

神経細胞間あるいは神経細胞と他種細胞間に形成され、神経情報の伝達を担う。最も基本的な構造はシナプス前細胞の軸索末端がシナプス後細胞の樹状突起に接触しているものである。

 

 

神経伝達物質

主な神経伝達物質としてγ-アミノ酪酸などの( ① )、「アドレナリン」、「ノルアドレナリン」、「ドーパミン」、「セロトニン」、「ヒスタミン」などの( ② )、「アスパラギン酸」、「グルタミン酸」、「グリシン」( ③ )が知られる。

① アセチルコリン
② モノアミン
③ アミン

 

アミノ酸は様々な生理活性物質の原料となっている。ドーパミンの前駆体である Lドーパは( ① )の水酸化によって作られる。ヒスタミンは( ② )、GABA と呼ばれる γ-アミノ酪酸は( ③ )、セロトニンは( ④ )を前駆体アミノ酸として生合成される。

① チロシン
② ヒスチジン
③ グルタミン酸
④ トリプトファン

 

( ① )( ② )( ③ )は3大神経伝達物質と呼ばれ、脳内で神経現象のコントロールをしている。( ① )は快楽や達成感、( ② )は幸せ感、( ③ )やる気に関与している。

① ドーパミン
② セロトニン
③ ノルアドレナリン

 

 

エネルギーの生産

酵素の基本

酵素による( ① )作用は、自発的反応である。この自発的反応が起きるためには、( ② )エネルギーが減少する必要がある。( ② )エネルギーは、反応の自発性に関する情報を与えるが、酵素反応の速度についての情報は与えない。反応速度は、( ③ )エネルギーに依存する。酵素は反応速度を速めるが、反応の( ④ )点は変えられない。したがって、反応における酵素の有無によって最終的な生成物の量は変わらない。酵素が反応を加速させる機構は、化学反応の( ⑤ )の形成を容易にすることで説明される。

① 触媒
② 活性化
③ 自由
④ 開始
⑤ 遷移状態

 

酵素反応では、基質との非共有結合性相互作用が重要な役割を担っている。生体において重要な非共有結合性相互作用としては、水素結合、( ① )及び( ② )が知られている。( ① )は、塩類によって阻害される。( ② )の結合エネルギーは、1から2kcal/mol程度である。

① 静電引力
② ファンデルワールス引力

 

酸化還元反応を担う酵素の中には、触媒反応に( ① )を必要とする酵素が知られている。ビタミンの多くが( ① )の前駆体となっている。( ① )に結合する前のタンパク質(不活性型酵素タンパク質)を( ② )酵素と呼ぶ。( ① )( ② )酵素の複合体を( ③ )酵素と呼ぶ。

① 補酵素
② アポ
③ ホロ

 

ある種の酵素は、合成された後、一箇所若しくは複数箇所のアミノ酸配列が切断されることで活性化される。切断前の不活性なタンパク質を( ① )と呼ぶ。例えば、ウシのキモトリプシンは、不活性な( ② )として( ③ )で合成された後、小腸に運ばれ、15 番目のアルギニンと 16 番目のイソロイシンの間の( ④ )結合が( ⑤ )によって切断されることで活性型となる。( ⑤ )は、代表的なセリンプロテアーゼであり、セリンの( ⑥ )基が活性中心を形成している。この( ⑥ )基が標的となる( ④ )結合中の( ⑦ )を求核攻撃し、( ⑧ )反応によって( ④ )結合を切断する。( ④ )結合の炭素-( ⑨ )結合は、共鳴構造によって部分的な( ⑩ )を有する。そのため、比較的強い結合となる。さらに、( ④ )結合中の( ⑦ )原子は、カルボン酸エステル化合物中の( ⑦ )原子よりも求核性が弱く、求核攻撃を受けにくい。そのため、非酵素的な( ⑧ )反応が起きにくい。

① 前駆体
② キモトリプシノーゲン
③ 膵臓(の腺房細胞)
④ ペプチド
⑤ エンテロペプチダーゼ
⑥ セリン残
⑦ カルボニル炭素
⑧ 開裂
⑨ 窒素
⑩ 二重結合

 

有名なセリンプロテアーゼとして「トリプシン」、「キモトリプシン」、「エラスターゼ」の3種類が知られ、小腸におけるペプチド消化の大半を触媒している。これら3種類のセリンプロテアーゼは不活性な前駆体として膵臓で貯蔵されており、トリプシンの前駆体は( ① )、キモトリプシンの前駆体は( ② )、エラスターゼの前駆体は( ③ )である。

① トリプシノーゲン
② キモトリプシノーゲン
③ プロエスターゼ

 

アロステリック効果とは?

アロステリック効果とは、タンパク質の機能が他の化合物(エフェクター)によって調節されることをいう。

 

ヘモグロビンを例として、アロステリック効果を説明せよ。

赤血球中のヘモグロビンは酸素と結合する鉄中心をもつヘムを四つもち、それぞれのヘムと酸素との結合には一定の平衡定数が存在する。しかし、ヘモグロビン中の一つのヘムが酸素と結合すると、ヘモグロビン全体の構造が変化し、他のヘムと酸素との結合が促進される。すなわち、酸素濃度の高いところでは単独のヘムよりも効果的に酸素を取り入れることができる。

 

ヘモグロビンがアロステリック効果をもつことの生理的意義を説明せよ。

ヘモグロビンは、アロステリック効果により酸素濃度の高いところでは酸素を吸収し、酸素濃度の低いところで酸素を放出する。この特性により、酸素濃度の高い肺から酸素濃度の低い抹消組織へと酸素の運搬を行っている。

 

 

酵素の反応速度

ミカエリス・メンテン式は?

v=Vmax[S]/Km+[S]

 

基質濃度をKm濃度の4倍で用いた時、その反応速度は最大反応速度(Vmax)の何%になるか。

80%

S=4Kmをミカエリス・メンテン式にあてはめると
v=4VmaxKm/Km+4Km
v=0.8Vmax

よって、基質濃度をKm濃度の4倍で用いた時、その反応速度は最大反応速度の80%

 

ラインウィーバー・バークプロットの式は?

1/v=(Km/Vmax) x 1/[S] + 1/Vmax

 

 

「糖」の分解と利用

単糖分子は、( ① )基かケトン基のいずれか一つと複数のヒドロキシ基を有する。( ① )をもつ糖をアルドース、ケトン基をもつ糖を( ② )と呼ぶ。血糖とも呼ばれるヒト生体内の代表的単糖は( ③ )である。代表的な六単糖のアルドースといえば、( ③ )、マンノース、ガラクトース、代表的な五単糖のアルドースといえば、( ④ )( ⑤ )( ⑥ )である。( ④ )はヌクレオチドの構成成分として知られ、( ⑤ )( ⑥ )は植物に豊富に含まれる成分として知られる。自然界においては、( ⑤ )はD体よりもL体が多く存在する一方、( ⑥ )はD体のみが存在し、L体は有機化学合成によって作られる。

① アルデヒド
ケトース
グルコース
④ リボース
⑤ アラビノース
⑥ キシロース

 

代表的な六単糖のアルドースといえば、グルコース、マンノース、ガラクトースであるが、代表的な五単糖のアルドースといえば、( ① )( ② )( ③ )である。( ① )はヌクレオチドの構成成分として知られ、( ② )( ③ )は植物に豊富に含まれる成分として知られる。自然界においては、( ② )はD体よりもL体が多く存在する一方、( ③ )はD体のみが存在し、L体は有機化学合成によって作られる。

① リボース
② アラビノース
③ キシロース

 

好気呼吸においては、グルコースは( ① )( ② )( ③ )という3つの反応経路によって完全に分解され、水と二酸化炭素そして( ④ )分子のATPができる。

① 解糖系
② クエン酸回路
③ 電子伝達系
④ 38

[解糖系]
グルコース→2ピルビン酸+4[H]+2ATP
C6H12O6 + 2NAD + 2ADP + 2H3PO4 → 2CH3COCOOH + 2NADH + 2H+ + 2ATP + 2H2O
[クエン酸回路]
2ピルビン酸→20[H]+2ATP
2C3H4O3 + 6H2O + 8NAD+ + 2FAD + 2ADP + 2H3PO4 → 6CO2 + 8NADH + 8H+ 2FADH2 +2ATP + 2H2O
[電子伝達系]
24[H]→34ATP
24[H] + 6O2 → 12H2O + 34ATP

 

クエン酸回路はアセチル CoA のアセチル基を 2 分子の( ① )に酸化し、遊離するエネルギーを( ② )産生に利用する仕組みである。クエン酸回路に関与する酵素群は( ③ )に存在し、アセチル CoA は( ④ )と縮合してクエン酸となり回路に組み込まれる。

① CO2
② ATP
③ ミトコンドリア
④ オキサロ酢酸

 

クエン酸回路で生成される化合物の順番は?

オキサロ酢酸
クエン酸
イソクエン酸
α-ケトグルタル酸
スクシニルCoA
コハク酸
フマル酸
リンゴ酸

ボクはこちらの語呂合わせで覚えました。

 

ヒトの筋肉などの組織における嫌気呼吸ではピルビン酸は直接 NADH によって還元され、最終産物として( ① )を生じるが二酸化炭素は発生しない。生成した( ① )回路によって肝臓で再びピルビン酸に戻される。

① 乳酸
② コリ

 

 

「脂肪」の分解と利用

脂肪酸は構造の違いから( ① )脂肪酸と( ② )脂肪酸に分類され、炭化水素の尾部に二重結合があるものを( ① )脂肪酸、二重結合をもたないものを( ② )脂肪酸とよぶ。( ① )脂肪酸は同じ炭素数の( ② )脂肪酸と比べて融点が( ③ )い。

不飽和
② 飽和

③ 低

 

脂肪酸はミトコンドリアに運ばれた後、( ① )によってアセチルCoAに分解され、( ② )( ③ )という反応経路を経てエネルギーに変換される。

① β酸化
② クエン酸回路
③ 電子伝達系

 

脂肪酸のβ酸化について説明せよ。

脂肪酸を酸化して脂肪酸アシルCoAを生成し、そこからアセチルCoAを取り出す代謝経路のことである。β酸化は4つの反応の繰り返しから成り、一順するごとにアセチルCoAが1分子生成され、最終産物もアセチルCoAとなる。

 

CH3(CH2)16COOH(ステアリン酸)が 酸化系で C2 単位まで分解される際の化学反応式を書け。物質は以下の記号で表すこと。
[AMP ATP CoA FAD FADH2 H+ H2O NAD+ NADH PPi]

CH3(CH2)16COOH + HS-CoA + ATP
→ CH3(CH2)16 COS-CoA + H2O + AMP +PPi
CH3(CH2)16 COS-CoA + 8FAD + 8NAD + 8HS-CoA
→ 9CH3COOS-CoA + 8FADH2+8NADH +8H

 

 

アルコール発酵

酵母などにおける( ① )発酵ではピルビン酸が2段階の反応で( ② )に変換される。この反応ではまずピルビン酸から二酸化炭素が外され、ピルビン酸は炭素2個の( ③ )に変換される。次に( ③ )は NADH によって還元されて( ② )になる。

① アルコール
② エタノール
③ アセトアルデヒド

 

アルコール脱水素酵素について説明せよ。

アルコール脱水素酵素は、アルコールからアルデヒドへの酸化反応を触媒する酵素である。ヒトの場合、肝臓に多く存在する。NAD+はアルコール脱水酵素の補酵素として働き、電子受容体の役割を担っている。

 

アルコール脱水素酵素によるエタノール酸化反応の化学反応式を示せ。

CH3CH2OH+NAD+ → CH3CHO+NADH+H+

 

 

窒素固定・窒素同化

空気中に多量に存在する安定な窒素分子を反応性の高い( ① )、硝酸塩、二酸化窒素などの窒素化合物に変換するプロセスを( ② )という。これはメタン菌などの( ③ )によって行われる。反対に窒素化合物を窒素分子として大気中へ放散させる作用は( ④ )と呼ばれる。
植物が( ① )などの窒素化合物を吸収して、生体を構成するアミノ酸やタンパク質などの有機窒素化合物に合成することを( ⑤ )という。( ⑥ )というアミノ酸に( ⑦ )イオンを結合させて( ⑧ )というアミノ酸を合成する。

① アンモニア
② 窒素固定
③ 古細菌
④ 脱窒
⑤ 窒素同化
⑥ グルタミン酸
⑦ アンモニウム
⑧ グルタミン

 

 

アミノ酸

アミノ酸の構造

アミノ酸とは酸性基である( ① )と塩基性基である( ② )を有する化合物の総称である。
アミノ酸の( ① )( ② )とが( ③ )結合とよばれるアミド結合でつながった長い重合体となることでタンパク質を構成する。アミノ酸にはL型とD型の2通りの鏡像異性体(立体異性体)が存在するが、タンパク質は( ④ )型アミノ酸のみでなる。

① カルボキシル基(-COOH)
② アミノ基(-NH2

③ ペプチド結合
④ L

 

 

アミノ酸の名称

タンパク質を構成する20種類のアミノ酸を答えよ

[ヒント]
・酸性側鎖(2種類)
・塩基性側鎖(3種類)
・非荷電性側鎖(5種類)
・非極性側鎖(10種類)

【酸性側鎖】
・(D) アスパラギン酸
・(E) グルタミン酸

【塩基性側鎖】
・(K) リシン
・(R) アルギニン
・(H) ヒスチジン

【非荷電極性側鎖】
・(N) アスパラギン
・(Q) グルタミン
・(S) セリン
・(T) スレオニン
・(Y) チロシン

【非極性側鎖】
(A) アラニン
(V) バリン
(L) ロイシン
(I) イソロイシン
(P) プロリン
(F) フェニルアラニン
(M) メチオニン
(W) トリプトファン
(G) グリシン
(C) システイン

Ataru
Ataru

これは気合でおぼえるしかない!

 

 

アミノ酸の分類

タンパク質を構成する20種類のアミノ酸のうち…

・ 必須アミノ酸「9種類」は?

【塩基性側鎖】
・(K) リシン
・(H) ヒスチジン

【非荷電極性側鎖】
・(T) スレオニン

【非極性側鎖】
(V) バリン
(L) ロイシン
(I) イソロイシン
(F) フェニルアラニン
(M) メチオニン
(W) トリプトファン

Ataru
Ataru

体内では合成できず、食事から摂取するしかないアミノ酸。

★ 覚え方 ★

フ  →  フェニルアラニン
ロ  →  ロイシン
  →  バリン
イ  →  イソロイシン
  →  スレオニン
  →  ヒスチジン
  →  トリプトファン
リジ →  リシン
  →  メチオニン

 

・「糖原性」と「ケト原性」は?

【糖原性アミノ酸】
・(D) アスパラギン酸
・(E) グルタミン酸
・(R) アルギニン
・(H) ヒスチジン

・(N) アスパラギン
・(Q) グルタミン
・(S) セリン
・(T) スレオニン

・(A) アラニン
(V) バリン
(P) プロリン
(M) メチオニン
(G) グリシン
(C) システイン

【糖原性&ケト原性】
・(F) フェニルアラニン
・(W) トリプトファン
・(Y) チロシン

(I) イソロイシン

【ケト原性アミノ酸】
(L) ロイシン
・(K) リシン

★ 覚え方 ★

フ  →  フェニルアラニン
ト  →  トリプトファン
チョ →  チロシン
イ  →  イソロイシン
ケド →  (ケト原性)
  →  ロイシン
  →  リシン

Ataru
Ataru

ケト原性以外のアミノ酸は全部糖原性

 

ちなみに…

糖原性アミノ酸は、代謝物として「オキサロ酢酸」又は「ピルビン酸」を生じるアミノ酸。一方、ケト原性アミノ酸は、代謝物として「アセト酢酸」又は「アセチルCoA」を生じるアミノ酸。

 

・ 「親水性」と「疎水性」は?

【親水性アミノ酸】
・(S) セリン
(T) スレオニン
(Y) チロシン

【疎水性アミノ酸】
(
G) グリシン
(A) アラニン
(V) バリン
(L) ロイシン
(I) イソロイシン
(F) フェニルアラニン

★ 覚え方 ★

泳げるセティ(STY)
S  →  セリン
T  →  スレオニン
Y  →  チロシン

泳げぬガブリフ(GAVLIF)
G  →  グリシン
A  →  アラニン
V  →  バリン
L  →  ロイシン
I  →  イソロイシン
F  →  フェニルアラニン

 

・ 不斉炭素原子をもたないアミノ酸は?

・(G) グリシン

Ataru
Ataru

グリシンだけが不斉炭素原子をもたない理由は、構造的に一番単純なアミノ酸だから。

 

・ 不斉炭素原子を二つもつアミノ酸は?

・(I) イソロイシン
・(T) スレオニン

★ 覚え方 ★

ITふせい
I  →  イソロイシン
T  →  スレオニン

 

・ 側鎖に硫黄をもつアミノ酸は?

・(S) システイン
・(M) メチオニン

★ 覚え方 ★

サッカーはメッシ
S  →  システイン
M  →  メチオニン

 

・ カルボキシル基をもつアミノ酸は?

・(D) アスパラギン酸
・(N) グルタミン酸
・(E) アスパラギン
・(Q) グルタミン

 

・ アミノ基をもつアミノ酸は?

・(H) ヒスチジン
・(K) リシン
・(P) プロリン
・(W) トリプトファン
・(R) アルギニン

★ 覚え方 ★

NHKパワー
N   →  (アミノ基)
H   →  ヒスチジン
K   →  リシン
P   →  プロリン
W  →  トリプトファン
R   →  アルギニン

 

・翻訳反応時の開始アミノ酸は?

(M) メチオニン

 

 

DNAの構造と機能

DNAの構造

遺伝子の本体である DNA は核酸の一種で、塩基と糖とリン酸からなる高分子化合物である。糖と塩基が結合した化合物を( ① )という。糖にはリボースとデオキシリボースの二種類があり、デオキシリボースにリン酸が結合したものを( ② )といい、DNAの最小単位を構成する。一方、リボースにリン酸が結合したものを( ③ )といい、RNAの最小単位を構成する。

① ヌクレオシド
② ヌクレオチド
③ リボヌクレオチド

 

遺伝情報が記録されているDNAは、( ① )の二重らせん構造を有している。それぞれのDNA鎖は、デオキシリボースとリン酸が共有結合の一種である( ② )結合で交互につながっている。DNA に固有な塩基は( ③ )、RNA に固有な塩基は( ④ )である。( ⑤ )( ③ )が相補対を形成できる。

① 右巻き
② ホスホジエステル
③ チミン
④ ウラシル
⑤ アデニン

 

DNAは( ① )と呼ばれるタンパク質の( ② )に巻きつくことでヌクレオソームと呼ばれる構造をとる。この( ③ )を最小単位としたDNAとタンパク質の複合体のことを( ④ )という。

① ヒストン
② 8量体
③ ヌクレオソーム
④ クロマチン

 

 

遺伝子情報の発現

DNAに記録された遺伝情報は( ① )による転写反応によってメッセンジャーRNAに転写される。真核生物のメッセンジャーRNAには5‘末端に( ② )、3’末端に( ③ )が付加される。さらに、真核生物の多くのメッセージRNAでは( ④ )反応によるイントロンの除去を経て成熟型メッセンジャーRNAとなる。

① RNAポリメラーゼ
② キャップ
③ ポリA尾部
④ RNAスプライシング

 

メッセージRNAを鋳型として( ① )上で翻訳反応が進行し、酵素などのタンパク質が合成される。翻訳反応では、( ① )のAサイトに( ② )が配置され、( ③ )サイトにペプチジルトランスファーRNAが配置される。また、Eサイトにはアミノ酸のはずれたトランスファーRNAが一時的に結合する。

① リボソーム
② アミノアシルトランスファー
RNA
③ P

 

真核生物のmRNAプロセッシングについて簡単に説明せよ。

まず、RNAポリメラーゼIIによって転写されたhnRNAの5’末端に、5’キャップ構造が形成される。次に、RNAスプライシングによって、イントロンが取り除かれる。最後に、ポリAポリメラーゼによって、mRNAの3’末端にポリA尾部が形成される。このように、hnRNAが成熟mRNAとなる一連の過程をRNAプロセッシングという。

 

 

遺伝子発現の調節

大腸菌のラクトースオペロンにおける転写制御について、説明せよ。

Lacオペロンの転写開始は、転写活性化因子CAPとLacリプレッサーにより制御される。グルコースがないと、CAPがプロモーターのすぐ上流にあるアクチベーター結合部位に結合し、RNAポリメラーゼをプロモーターに引き寄せることでオペロンの転写を促進する。一方、ラクトースがないと、LacリプレッサーがLacオペレーターに結合して、オペロンの転写を抑制する。このようにしてLacオペロンはグルコースがなくラクトースがあるという2つの条件が満たされたときにだけ、高レベルで発現する。

 

ポリシストロニック mRNA とモノシストロニック mRNAについて、説明せよ

一本のmRNAの中に複数個のタンパク質がコードされたものをポリシストロニックmRNAいい、原核生物に多く見られる。一方、一本のmRNAの中に一つのタンパク質がコードされたものをモノシストロニックmRNAといい、真核生物に多く見られる。

 

マイクロ RNA の生合成過程について、以下の語を全て用いて6行程度で説明せよ。

まず核内において、RNAポリメラーゼIIを介した転写によりpri-miRNAが産生される。次いで、RNase III系酵素であるDroshaにより切断されpre-miRNAが産生される。その後、Exportin5を介して核より細胞質へと移送される。細胞質では別のRNaseIII酵素であるDicerの触媒反応により2本鎖mature miRNAが産生される。2本鎖mature miRNAはAgoタンパク質に取り込まれ、片方のRNA鎖だけがAgoタンパク質と安定な複合体を形成し、RISC複合体を形成する。この一本鎖化されたmature miRNAが遺伝子発現制御のガイド役として働く。

 

マイクロ RNA による遺伝子発現抑制機構について、以下の語を全て用いて6行程度で説明せよ。

マイクロRNA(miRNA)による遺伝子発現抑制機構で中心的な役割を果たすのがAgoタンパク質である。miRNAとAgoタンパク質の複合体であるRNA誘導サイレシング複合体(RISC)は、RISCに取り込まれたmiRNAと部分的に相補的な配列を有する標的mRNAと結合し、その標的mRNAのタンパク質への出力を抑制する。これまでの研究でさまざまなAgoタンパク質が存在することがわかっており、標的mRNAの切断、mRNA分解反応促進、翻訳反応抑制などにより、標的mRNAのタンパク質への出力を抑制していると考えられている。

 

 

エピジェネティック

エピジェネティック(後成学)について簡単に説明せよ。

DNA塩基配列の変化によらず、細胞分裂後も継承される、遺伝子発現を制御・伝達するシステムおよびその学問をエピジェネティックという。主なメカニズムとして、DNAメチル化とヒストン修飾がある。

 

ヒトゲノム中においては 5′-CG-3′の DNA 配列が統計的に期待される出現頻度より大幅に少なくなっている。この現象を引き起こしうるメカニズムを5行程度で説明せよ。

DNAのメチル化修飾は、ヒトでは5′-CG-3’配列をもつシトシンに限られている。そして、生体内で代表的なDNA傷害の一つである脱アミノ化反応により、シトシンはウラシルに変化するが、メチル化シトシンはチミンに変化する。ウラシルはゲノムDNAに存在しないため、DNA修復酵素系により容易にシトシンに戻されるのに対して、チミンはDNAに普通に存在する塩基であるために修復系から逃れやすく、修復されないまま残ってしまう可能性が高くなる。生殖細胞にもこの変異が起こることがあるため、世代を重ねる毎に5′-CG-3’配列の割合が少なくなる。

 

 

タンパク質の合成と分解

タンパク質分子が正常な機能を発揮するために正しく折りたたまれることを補助するタンパク質を総称して( ① )という。例えば、タンパク質分子が高温にさらされて変性した時には、( ① )の一種である( ② )が誘導され、変性タンパク質を正しく折りたたんで修復する。変性タンパク質は( ③ )アミノ酸残基を分子の外側に露出しており、容易に( ④ )して細胞毒性を示すが、( ① )( ③ )アミノ酸残基を認識して結合し、タンパク質の( ④ )を抑制する。

① シャペロン
② HSP70
③ 疎水性
④ 凝集

 

ユビキチンは 76 個のアミノ酸からなるタンパク質で、真核生物に普遍的に存在し、他のタンパク質の修飾を介して多様な生命現象に関わる。標的タンパク質のリジン残基に C 末端の( ① )を介してイソペプチド結合したユビキチンは、さらに自身の( ② )番目のリジン残基を介して重合し、ポリユビキチン鎖を形成する。このポリユビキチン鎖は( ③ )によって認識され、タンパク質分解の標識となる。

① グリシン残基
② 48
③ プロテアソーム

 

p53 は全ヒトがんの半数以上で変異や欠失が認められ、その機能不全により、がんが起こることから、( ① )の一つと考えられている。p53 は転写因子として働き、DNA が修復可能な損傷を受けた場合には、p21 などのタンパク質を誘導して( ② )を止め、DNA 修復を完了させる一方、DNA が修復不可能な損傷を受けた場合には、細胞死を誘導する。p53 は、通常状態では、( ③ )である MDM2 によってユビキチン化され、プロテアソームを介して分解されているが、DNA 損傷などのストレス刺激時には、p53 のユビキチン化が抑制されて発現量が増加する。

① がん抑制遺伝子
② 細胞周期
③ ユビキチンリガーゼ

 

がん抑制遺伝子は、がんの発生を抑制する機能を持つタンパク質をコードする遺伝子である。特に有名ながん抑制遺伝子として、p53、( ① )( ② )などが知られている。p53の変異は、大腸癌や乳癌、( ① )の変異は網膜細胞芽腫や骨肉腫( ② )の変異は乳癌や子宮癌などでみられる。

( ① )は E2F などの転写因子を介してプロモーターに結合することで、( ③ )に関与している。

( ② )は RAD51 などと協調して( ④ )に関与している。

① Rb
② BRCA1
③ 細胞周期の調節
④ DNA損傷を修復

 

26S プロテアソームによるタンパク質の分解について説明せよ

26Sプロテアソームはプロテアーゼ活性をもつ20Sとその調節ユニットからなる。20Sは中空円筒構造を持ち、細胞内のタンパク質と空間的に隔離されている。調節ユニットは、ユビキチンリガーゼとユビキチン結合酵素によってユビキチン鎖が付加されたタンパク質と選択的に結合する。その後、ATP加水分解を利用してそのタンパク質のポリペプチド鎖をほどいた上で、20Sの内部に送り込む。20Sの内部に送り込まれたタンパク質は、短いペプチドに分解された後,20Sの外部に放出される。

 

ユビキチン・プロテアソームシステムとオートファジーの違いについて説明せよ

ユビキチン・プロテアソームシステムは、ユビキチンが共有結合した標的タンパク質をプロテアソームが認識し選択的に分解するシステムのことをいう。不要タンパク質の分解、抗原提示、細胞周期調節など重要な役割を果たしている。一方、オートファジーは、細胞内部の不要物質をオートファゴゾームという膜で包み込み、リソソームと融合することで、それら不要物質を分解することをいう。ユビキチン・プロテアソームシステムはタンパク質を標的とするが、オートファゴソームはオルガネラなど大きなレベルで分解する。

 

エンドペプチダーゼとエキソペプチダーゼについて、説明せよ

エンドペプチダーゼは、タンパク質がもつ非末端のペプチド結合を分解するタンパク質分解酵素である。一方、エキソペプチダーゼもタンパク質分解酵素であるが、末端からペプチド結合を1つ1つ分解する点がエンドペプチダーゼと異なる。

 

DNAの複製

DNA 複製は開始点で( ① )が二重らせんをほどくことから開始する。複製は両方向に進行し、連続的に複製が進行する( ② )鎖と不連続に進行する( ③ )鎖が存在する。( ② )鎖では DNA複製のために 1 個の( ④ )を合成すれば良いが、( ③ )鎖では( ⑤ )フラグメントごとに( ④ )が必要となる。作られた( ⑤ )フラグメント同士は( ⑥ )によって連結され、新しい DNA 鎖が複製される。

① DNAヘリカーゼ
② リーディング鎖
③ ラギング鎖
④ プライマーRNA
⑤ 岡崎
⑥ DNAヘリカーゼ

 

セントロメアとテロメアについて、説明せよ

2本の染色体が中央部分で付着している部分をセントロメアといい、このセントロメアから伸びた染色体の端をテロメアという。テロメアはTTAGGGの6塩基対の繰り返しからなり、細胞分裂のたびに50塩基対づつ短縮する。テロメアが元の長さの半分くらいになると細胞分裂ができなくなるため、一般の体細胞には分裂限界があるとされている。

 

レトロウイルスの生活環について説明せよ

まず、ウイルスのエンベロープが宿主細胞となる細胞の細胞膜の受容体と結合し細胞内にRNAと逆転写酵素を侵入させる。その後、逆転写酵素が作用し、プラス鎖ウイルスRNAを鋳型にマイナス鎖DNAを合成する。次いで、合成されたマイナス鎖DNAを鋳型にプラス鎖DNAを合成し、一本鎖RNAを二本鎖DNAに変換する。そして、二本鎖DNAは宿主細胞のDNAに組み込まれプロウイルスと呼ばれる状態になる。プロウイルスはウイルスRNAやメッセンジャーRNAを次々と合成し、完成したウイルスは宿主細胞から発芽する。

 

DNAトポイソメラーゼIとIIの違いについて説明せよ

I型トポイソメラーゼはDNAの二本鎖のうち一本だけを切断する。その切れ目の間をもう一方の鎖が通過した後、切れ目を再結合することでリンキング数を一つ変化させる。主にDNAの複製や転写の際に生じるDNA超らせんを緩和する働きをもつ。一方、II型トポイソメラーゼはDNA二本鎖を切断する。その切れ目の間を別の二本鎖が通過した後、切れ目を再結合することでリンキング数を二つ変化させる。DNA超らせんの緩和に加えて、複製後に生じるDNA間の絡まりの解消を担う。

 

I 型トポイソメラーゼの反応と生理機能とカンプトテシン誘導体による反応阻害機構について説明せよ

I型トポイソメラーゼの反応は、主にDNAの複製や転写の際に生じるよじれの問題を緩和する働きを担う。2本鎖DNAのうち一方を切断することで、その切れ目の間をもう一方の鎖が通過しリンキング数が一つ変化する。カンプトテシンはI型トポイソメラーゼ・DNA複合体と結合することでDNAの再生を妨げ、その結果としてDNAがアポトーシスを引き起こす。

 

 

DNA発見の歴史

  • 1928年: グリフィスは、S型とR型二種類の( ① )を用いて、バクテリアにおける( ② )を発見。遺伝情報が転移できることが示唆された。
  • 1944年: アベリーは、アベリーはS型菌の成分を( ③ )の分解酵素や( ④ )の分解酵素で処理をしても形質転換がおこるが、( ⑤ )の分解酵素で処理をすると形質転換がおこらなくなることを発見した。これによって、DNAが遺伝情報伝達物質であることが示唆された。
  • 1952年: ハーシーとチェイスは、T2バクテリオファージのDNAを( ⑥ )、タンパク質を( ⑦ )でそれぞれ標識して、いずれの生体成分が子孫ファージへと伝達されるかを調べた。その結果、( ⑥ )が子孫ファージへ伝達されることを示し、遺伝情報伝達物質であることを証明した。

肺炎双球菌
② 形質転換
③ タンパク質
④ RNA
⑤ DNA

⑥ P32
⑦ S35

 

  • 1953年: ワトソンとクリックは、DNAの( ① )モデルを構築して、アデニンと( ② )、グアンニンと ③ )が水素結合しているとともに、DNAの( ④ )複製を提唱した。
  • 1958年: メセルソンとスタールは、同位元素を用いた実験から DNA 複製の際に( ① )が分離することを示した。すなわち、第一世代として( ⑤ )を含む培地で菌を生育させて DNA を( ⑤ )で標識した。次に、( ⑤ )を含まない培地で菌を生育させて第二世代と第三世代の菌を増殖させた。最後に、菌から抽出した DNA を( ⑥ )法で分離した。その結果、第一世代の DNA は比重が重く、第二世代は中間の比重を示し、第三世代は中間の比重と軽い比重の DNA となっていた。これら一連の実験から、DNA は( ④ )的複製をしていることが示された。

① 二重らせん
② チミン
③ シトシン
④ 半保存的
⑤ N15
⑥ 遠心

 

 

実験手法

抗体

ミエローマを用いたモノクローナル抗体の作製法を説明せよ。

まず目的の抗原でマウスを免疫し、その抗原を特異的に認識する抗体を生産するB細胞を増殖させる。次いで、そのマウスの脾臓もしくはリンパ節からB細胞を取り出す。B細胞の寿命は有限であるため、ミエローマ細胞と融合させることで無限に増殖する能力を合わせもつハイブリドーマを作成した後、1細胞単位で単離培養する。一つのB細胞からは一種類のエピトープを認識する抗体しか作られないため、ハイブリドーマを1細胞単位で単離した培地はモノクローナル抗体の安定かつ永続的な供給源となる。

 

ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体の違いを説明せよ

1つの抗体は1種類のエピトープを認識する。一般的に、動物を目的の抗原で免疫して得られる抗体には、目的の抗原の様々なエピトープを認識する抗体が混合しており、これをポリクローナル抗体という。一方、抗体の認識部位が同じになるように、単一の抗体産生細胞をクローニングして作られたものをモノクローナル抗体という。

 

 

タンパク質の検出・定量

ウエスタンブロッティング法について説明せよ。

ウエスタンブロット法は、電気泳動によって分離したタンパク質を膜に転写し、任意のタンパク質に対する抗体でそのタンパク質の存在を検出する手法である。電気泳動の高い分離能と抗原抗体反応の高い特異性を組み合わせた手法であるため、細胞抽出液などの複雑なタンパク質溶液中に微量に含まれるタンパク質でも明瞭に検出することができる。特に不溶性のタンパク質、標識が困難なタンパク質、容易に分解されて免疫沈降法などに適応不可能なタンパク質を取り扱う場合に有効である。

 

ELISA法について説明せよ。

ELISA法とは、抗体の特異性とシンプルな酵素測定法を組み合わせた技術で、試料中に含まれる抗原の濃度を検出・定量する際に用いられる。

 

サンドイッチ型 ELISA 法について説明せよ。

サンドイッチ型ELISA法は2つの抗体を使って行われるELISA法である。マイクロプレートに目的タンパク質に対する抗体を固相化し、目的タンパク質を反応させる。次いで酵素標識した目的タンパク質に対する別の抗体を反応させ、洗浄後、マイクロプレートに残る酵素活性を検出する。反応の特異性が高くなるため、高い検出精度を求められる場合に有効な方法である。欠点として、抗原の別々のエピトープを認識し、互いの結合を邪魔しない2種類の抗体の組み合わせが必要となる。

 

競合型ELISA法について説明せよ。

競合型ELISA法は試薬間の競合を利用して抗原の相対量を測定するELISA法である。マイクロプレートに目的タンパク質に対する抗体を固相化し、目的タンパク質及びあらかじめ分かっている酵素標識抗原を同一マイクロプレート内で同時に反応させる。そして、マイクロプレートに残る酵素活性を検出する。目的タンパク質が低分子であり2つの抗体の間に挟むことができない場合、この測定法が用いられる。

 

 

タンパク質の分離

薄層クロマトグラフィー法について説明せよ。

薄層クロマトグラフィー法は、液体クロマトグラフィーの一種で、低コストかつ手軽な分析法として知られている。ガラス板やアルミシートなどの表面にシリカゲル、アルミナもしくはポリアミド樹脂などを添付した薄層板を試料溶液中に立てかけるように入れる。溶媒は毛細管現象によって薄層に浸み込み上昇していき、展開が開始される。試料を分離した結果は、溶媒の移動距離と求めたい物質の移動距離の相対値(Rf値)を求めて評価する。

 

 

タンパク質の相互作用解析

共免疫沈降法について説明せよ。

まずタンパク質Aに対する抗体を準備し、ビーズに結合させておく。これをタンパク質A及びタンパク質Bを含む溶液に加えると、タンパク質Aと抗体が複合体を形成し、ビーズ上に捕捉され沈殿回収できる。最後に、ビーズに結合したタンパク質を溶出し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動で解析する。タンパク質Aとタンパク質Bとの相互作用がある場合、タンパク質Aだけでなくタンパク質Bも検出される。

 

酵母ツーハイブリッド法について説明せよ。

まず組み換えDNA技術でタンパク質Aを指令するDNAの塩基配列を遺伝子活性化タンパクのDNA結合ドメインの指令領域と結合させる。一方、タンパク質Bを指令するDNAの塩基配列を遺伝子活性化タンパクの活性化ドメインの指令領域と結合させる。最後に、これらの融合タンパクを酵母の細胞内で発現させる。タンパク質Aとタンパク質Bが相互作用する場合は、遺伝子活性化タンパクの結合ドメインと活性化ドメインを含む複合体が形成され、レポーター遺伝子の転写が活性化する。

 

蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)について説明せよ。

まず組み換えDNA技術でタンパク質Aを指令するDNAの塩基配列を青色蛍光タンパク質を指令するDNAの塩基配列と結合させる。一方、タンパク質Bを指令するDNAの塩基配列を緑色蛍光タンパク質を指令するDNAの塩基配列と結合させる。最後に、これらの融合タンパクを細胞内で発現させ、紫色光を照射する。青色蛍光タンパクは紫色光で励起され青色光を発し、緑色蛍光タンパクは青色光で励起され緑色光を発するので、タンパクAとタンパクBが結合する場合、紫色光の照射により緑色光が検出される。

 

 

DNAとタンパク質の相互作用

ゲルシフト法について説明せよ。

特定の塩基配列をもつ長さのわかったDNA断片を放射性標識し、細胞抽出液と混ぜたのちにポリアクリルアミドゲル電気泳動を行う。タンパクが結合したDNA断片はゆっくりと流れるため、オートラジオグラフィーによって分析することで、タンパク質が結合したDNA断片を特定することができる。

 

クロマチン免疫沈降法について説明せよ

細胞内で遺伝子調節タンパクと結合したDNAを抽出し、制限酵素あるいは超音波でDNAを切断する。目的の遺伝子調節タンパクに対する抗体を用いることでそのタンパクに結合したDNAを精製することができる。

 

 

DNAの増幅

PCR法について説明せよ。

PCR 法は極めて微量の DNA サンプルから特定の DNA 断片を短時間に大量に増幅することができる方法である。PCR法は3つの試薬(プライマー、遊離ヌクレオチド、DNA合成酵素)を混交したDNA溶液の温度を上げて下げるという一連の熱サイクルによって動作する。このDNAサンプルの加熱と冷却の繰り返しサイクルの中で、二本鎖DNAの乖離、プライマーの結合、酵素反応によるDNA合成、という3つの反応が進み、最終的に特定領域のDNA断片が大量に複製される。

 

 

遺伝子発現の定量

DNAマイクロアレイ法(DNAチップ)

DNAマイクロアレイ(DNAチップ)とは、数万から数十万に区切られた基板上に塩基配列の明らかな1本鎖のDNAを高密度に配置して固定したものを指す。検体から抽出した遺伝子と基準となる標準検体を別々の蛍光色素で標識した後、DNAチップとハイブリダイゼーション反応をさせる。反応後、洗浄したDNAチップをスキャナーで読み取り、抽出した遺伝子と基準となる標準検体のシグナルの比を調べることにより、どのような遺伝子がどの程度発現しているかを調べることができる。

 

 

ゲノム解析

サンガー法について説明せよ。

サンガ―法とは、DNA合成の材料として取り込まれるとDNAの伸長が止まる4種類のジデオキシリボヌクレオシド三リン酸(ddATP、ddGTP、ddCTP、ddTTP)を用いた塩基配列決定法である。配列を決定したいDNAにジデオキシリボヌクレオシド三リン酸いずれか1種類を加え4つのDNA合成を行う。各反応では配列の異なる位置で伸長が止まった一連の産物ができる。この4つの反応産物を4つのレーンに並べてポリアクリルアミドゲル電気泳動で展開し、ゲルの下から順にすべてのレーンにわたってバンドを読み取る。

 

マキサム・ギルバート法について説明せよ。

塩基配列を決定したい二本鎖DNAを一本鎖DNAに分離した上で、5’末端を放射性リンで標識する。次いで、4種類の塩基特異的なDNA切断溶液をいずれか一種類ずつ加え、DNA断片の切断を行う。この4つの反応産物を4つのレーンに並べてポリアクリルアミドゲル電気泳動で展開すると断片のサイズごとに分離される。最後にオートラジオグラムにかけてバンドを下から読み取っていくことでDNAの塩基配列を決定できる。

 

 

遺伝子導入

DNAを細胞に導入するためのトランスインフェクション技術は大きく3種類に分類され、細胞質又は核に直接導入する( ① )遺伝子導入法、( ② )遺伝子導入法、遺伝子組み換えウイルスを介して導入する( ③ )遺伝子導入法がある。

① 物理的
② 化学的
③ 生物学的

 

リン酸カルシウム共沈殿法について説明せよ

リン酸カルシウムとプラスミドDNAを混合すると、リン酸カルシウム-プラスミドDNA共沈殿物が生じ、この沈殿を培養細胞の上に乗せるとエンドサイトーシスにより細胞内へ取り込まれる。特殊な装置や技術を必要とせず、操作も比較的簡単な化学的遺伝子導入法である。

 

エレクトロポテーション法について説明せよ。

エレクトロポレーションは、電気パルスを用いて一時的に細胞膜に孔を形成し、その孔を介して、プラスミドを細胞内に通過させる。高価な機材を必要とするが、操作が簡単で遺伝子導入効率も高い、物理的トランスフェクション法である。

 

 

RNAi

 siRNAを用いたRNA 干渉法について説明せよ。

RNA干渉とは2本鎖RNAが特定の遺伝子の発現を抑制する現象である。
標的とする遺伝子と塩基配列が同じ2本鎖RNAを細胞内に導入すると、ダイサーと呼ばれる酵素によって分解され、二本鎖の短いRNA(siRNA)となる。次いで、二本鎖siRNAは一本鎖siRNA(パッセンジャー鎖とガイド鎖)に分離された後、ガイド鎖はRISC複合体に組み込まれ、複合体の中で標的メッセンジャーRNAへと導くガイド役として機能する。その後、ガイド鎖が標的メッセンジャーRNAと相補対を形成するとRISC複合体内のAgoタンパク質による標的メッセンジャーRNAの切断を誘導する。

 

RNA干渉法を応用する際の注意点は?

RNA干渉を応用する際は、siRNAの長さが約21塩基と短く標的遺伝子と全く無関係な遺伝子にも相同部分が存在する可能性が高いため、標的遺伝子とは無関係な遺伝子の発現まで抑制されてしまう現象(オフターゲット)に注意する必要がある。

 

 

話題の研究

iPS細胞

体細胞をリプログラミングする方法を二通り、説明せよ。

従来、受精卵から個体が形成されていく過程は一方向性であり、一度分化した細胞は元の未分化細胞に戻れないと考えられていたが、分化した体細胞核を卵子の細胞質に移植すると受精卵の状態に戻ることが知られている。最近では、ウイルスベクターによって初期化因子を体細胞へ導入すると多能性を持つ細胞が誘導されることが発見された。

 

ES 細胞と iPS 細胞の作製方法を説明せよ。

ES細胞は、受精卵が胚盤胞と呼ばれる段階まで発生したところで内部細胞塊を取り出し、フィーダ細胞という下敷きとなる細胞と一緒に培養することで作成される。一方、iPS細胞は、レトロウイルス・ベクターを使って4つの遺伝子(Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Myc)を体細胞に導入することで作成される。

 

 ES 細胞に対する iPS 細胞の利点を論ぜよ。

ヒトES細胞を作成するには「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊を伴うことから倫理的な問題があるとされていた。また、細胞移植治療に応用する際、患者とは他人の細胞であることから、免疫拒絶反応が惹起されてしまう可能性が高い。一方、iPS細胞は体細胞から作られるため、倫理的な問題には該当せず、患者さん自身の細胞から作成することができるため、分化した組織や臓器の細胞を移植する際、拒絶反応が起こりにくいと考えられている。

 

ES細胞を用いたノックアウトマウスの作り方を説明せよ

まずノックアウトしたい遺伝子を確定し、ゲノムライブラリーの情報に基づいてターゲティングベクターを作成する。次いで、ターゲティングベクターをエレクトロポレーション法でES細胞に導入した後、相同組み換えが起きたES細胞を単離する。相同組み換えが起きたES細胞を胚盤胞にインジェクションし、マウスの子宮に入れるとキメラマウスが産まれる。このキメラマウスはノックアウトしたい遺伝子が欠損した細胞と正常な野生型の細胞を併せ持っている。キメラマウスと野生型のマウスを交配することで、完全に遺伝子が欠損したマウスを作成することができる。

 

 

がん免疫療法

自然免疫について説明せよ。

自然免疫は体内に侵入してきた病原体や異常になった自己の細胞をいち早く感知し、それを排除する仕組みのことである。一つの分子が多種の異物や病原体に反応することができるが、特定の病原体に繰り返し感染しても自然免疫が増強することはない。

 

獲得免疫について説明せよ

獲得免疫は感染した病原体を特異的に見分け、それを記憶することで同じ病原体に出会ったときに効果的に病原体を排除する仕組みのことである。自然免疫に比べると応答までにかかる時間が長い反面、病原体に対して強い殺傷能力を示す。

 

がん免疫療法に用いられるメカニズムについて説明せよ

がん免疫療法とは免疫機能を利用してがん細胞を攻撃する治療法である。最近の研究では、がん細胞が免疫の働きにブレーキをかけていることがわかり、そのブレーキを解除する方法として、免疫チェックポイント阻害療法が注目されている。免疫チェックポイント阻害剤の一つニボルマブは、がん細胞のPD-L1とT細胞のPD1との結合を阻害する。

 

 

CRISPR-Cas9

CRISPR/Cas9 を用いた遺伝子ノックアウト法を説明せよ。

原核生物において発見された獲得免疫機構をCRISPR/Casといい、このうちCas9タンパク質と呼ばれるエンドヌクレアーゼと標的となるDNA配列へ導くガイドRNAを複合化し、DNA改変技術に応用したものをCRISPR/Cas9という。
ノックアウトしたい遺伝子のPAM領域の直前に位置するDNA配列とDNA-RNA塩基対を形成するようにガイドRNAを調整する。すると、ガイドRNAによってCas9タンパク質が標的としたDNA配列部位に動員される。Cas9タンパク質はエンドヌクレアーゼ活性により、標的DNA配列部位に二本鎖切断を作る。二本鎖切断された部位は非相同組み換え修復が行われるが、この過程で誤りを生じやすい。誤りを生じるとフレームシフトを引き起こし、遺伝子を崩壊させることとなる。 CRISPR/Cas9の技術により、狙った遺伝子を短時間かつ高効率で改変することが可能となった。

 

CRISPR/Cas9を用いた遺伝子ノックアウトマウスの作成法を説明せよ。

まず標的となるDNA配列とDNA-RNA塩基対を形成するようにガイドRNAを調整する。次いで、調整したガイドRNAとCas9タンパク質をウイルスベクターもしくはエレクトロポテーションによりマウスの受精卵に導入し、別のマウス(仮親)の卵管に移植する。受精卵のゲノムDNAは、ガイドRNAによって標的配列にCas9タンパク質が動員され、Cas9タンパク質のエンドヌクレアーゼ活性によって、二本鎖切断が作られる。ゲノムDNA自身の修復機構により非相同組み換え型修復が行われるが、この過程で誤りを生じやすくゲノムDNAの標的遺伝子を崩壊することとなる。そして、仮親から産仔を取得し、目的領域の塩基配列の確認を行う。

 

CRISPR/Cas9 システムを用いて、内在遺伝子Aから発現するタンパク質AのC末端にGFP が融合したノックインマウスを作製したい。その方法について、以下の語を全て用いて5行程度で説明せよ。また、用いた語には下線を引け。なお、以下の語はそれぞれ複数回用いても良い。
[マウス受精卵、Cas9 タンパク質、ガイド RNA、ターゲッティングベクター、相同組換え]

まず遺伝子Aを含むDNA配列とDNA-RNA塩基対を形成するようにガイドRNAを調整する。次いで、遺伝子AのC末端にGFPを融合させたDNA配列を含むターゲッティングベクターを作成する。そして、Cas9タンパク質及び調整したガイドRNAとターゲティングベクターをマウス受精卵に導入し、別のマウス(仮親)の卵管に移植する。マウス受精卵のゲノムDNAは、ガイドRNAによって標的配列にCas9タンパク質が動員され、Cas9タンパク質のエンドヌクレアーゼ活性によって、二本鎖切断が作られる。すると、ターゲティングベクターを参照して相同組み換え修復が行われ、遺伝子AのC末端にGFPを結合させたDNA配列が組み込まれる。そして、仮親から産仔を取得し、目的領域の塩基配列の確認を行う。

 

 

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