おはようございます。
明日は論文(必須科目)試験ですね!ボクは短答試験に落ちてしまったので、お家でお留守番になりますが、これから試験を受ける方は頑張ってください(`・ω・´)ゞ
…そんなボクはといえば、生化学の勉強がだんだん辛くなってきた今日この頃。。。同じ勉強を続けていると新鮮味がなくなってきますよね~
ボクなりの勉強のコツは、『いろいろな分野を組み合わせて取り組むこと』だと思っています。たしかに、一つの分野に特化した方が周りと差別化しやすいメリットがあるかもしれません。しかし、人生100年時代といわれる今、ボクに残された時間は約70年!!長期的な視野で考えて、いかに勉強の習慣を楽しむかを大切にしていきたいなぁ~と思っています♪
今から弁理士試験のギアを上げてしまうと来年の試験までもたないので、もうしばらく我慢(O_O)
ということで、今回も二次試験(選択科目)の対策として理工IV(生物)の『生物化学』の過去問『2021年度』に取り組みたいと思います!!
他の過去問にも興味のある方は↓もご参照ください♪
・2017年度の過去問
・2018年度の過去問
・2019年度の過去問
・2020年度の過去問
それではよろしくお願いします\(^o^)/

2021年度の過去問
弁理士試験の過去問は特許庁のWebサイトで公開されています。冒頭で申し上げたとおり、今回は『2021年(令和3年度)』の過去問を解いてみました^^
選択科目(生化学)の全般的な対策に関する記事はこちら!
問1(計40点)
1 以下の事項について、空欄の( ① )から( ⑳ )に適切な語を入れよ。ただし、同じ番号には同じ語が入る。
(1) 細胞は細胞周期と呼ばれる規則的な過程を繰り返し増殖する。細胞周期はまず大きく( ① )期と間期に分けられる。間期は更に( ② )期(DNA の合成準備期)、( ③ )期(DNA 合成期)、( ④ )期 (分裂準備期)に分けられる。細胞周期を進行させる細胞周期エンジンとして機能する複合体は( ⑤ )と( ⑤ )依存性キナーゼから構成され、( ⑤ )は細胞周期特異的に発現するタンパク質として発見された。
① M期
② G1
③ S
④ G2
⑤ サイクリン

こ、これは…発生生物学!?また新たな分野の問題が出てきましたね…
サイクリン依存タンパクキナーゼは「Cdk」と呼ばれています。
(2) 酵母などにおける( ⑥ )発酵ではピルビン酸が2段階の反応で( ⑦ )に変換される。この反応ではまずピルビン酸から二酸化炭素が外され、ピルビン酸は炭素2個の( ⑧ )に変換される。次に( ⑧ )は NADH によって還元されて( ⑦ )になる。一方、ヒトの筋肉などの組織における嫌気呼吸ではピルビン酸は直接 NADH によって還元され、最終産物として( ⑨ )を生じるが二酸化炭素は発生しない。生成した( ⑨ )は( ⑩ )回路によって肝臓で再びピルビン酸に戻される。
⑥ アルコール
⑦ エタノール
⑧ アセトアルデヒド
⑨ 乳酸
⑩ コリ

この辺りは高校時代の教科書&資料集で調べました。ヒトにおける乳酸の経路は、酸素が不足している状況下でのエネルギー生成手段として利用されています。運動すると乳酸が溜まるっていいますよね~
<アルコール発酵>
グルコース→ピルビン酸→アセトアルデヒド→エタノール
<乳酸発酵>
グルコース→ピルビン酸→乳酸
(3) 酵素は生体( ⑪ )として機能する分子である。酵素は無機( ⑪ )と同じように、化学反応の( ⑫ )を増加させるが反応物と生成物の( ⑬ )に影響しない。これは反応の出発物質を( ⑭ )状態に励起するのに必要な( ⑮ )エネルギーを( ⑯ )させ反応を促進することを意味している。
⑪ 触媒
⑫ 速度
⑬ 結果
⑭ 遷移
⑮ 活性化
⑯ 低下

有名な無機触媒といえば二酸化マンガン。過酸化水素水の分解を促進します。生体触媒と無機触媒の違いといえば最適温度があるかどうか…ぐらい?文脈的に⑬はおかしい気がしますが他に思い浮かばないです。
(4) アミノ酸は様々な生理活性物質の原料となっている。ドーパミンの前駆体である Lドーパは( ⑰ )の水酸化によって作られる。ヒスタミンは( ⑱ )、GABA と呼ばれる γ-アミノ酪酸は( ⑲ )、セロトニンは( ⑳ )を前駆体アミノ酸として生合成される。
⑰ チロシン
⑱ ヒスチジン
⑲ グルタミン酸
⑳ トリプトファン
問2(計10点)
2 生物化学に関する以下の問いに答えよ。
ある 8.0 kbp の環状 DNA を制限酵素 HindIII で切断すると 3.0 kbp と 5.0 kbp の DNA 断片が得られた。同じ環状 DNA を制限酵素 HindIII と EcoRI で同時に切断すると 4.0 kbp、2.5 kbp、1.0 kbp、0.50 kbp の DNA 断片が得られた。この環状 DNA を EcoRI だけで切断するとどのような大きさの DNA 断片が得られると考えられるか。すべてのパターンを記せ。(kbp:kilobase pairs)
・1.5kbpと6.5kbp
・3.5kbpと4.5kbp

新しいタイプの問題!?
本番で出題されると焦るかもしれませんが、実は超簡単
HindIIIのみで切断した場合「2断片」、HindIIIとEcoRIで切断した場合「4断片」なので、EcoRIの切断部位は2箇所。このうちEcoRIで得られる「5.0kbp⇒4.0kbpと1.0kbp」、「3.0kbp⇒2.5kbpと0.5kbp」といった具合に切断するってことですよね?
HindIIIとEcoRIで切断した場合の並びは4パターン
① 4.0kbp, 1.0kbp, 2.5kbp, 0.5kbp
② 1.0kbp, 4.0kbp, 2.5kbp, 0.5kbp
③ 4.0kbp, 1.0kbp, 0.5kbp, 2.5kbp
④ 1.0kbp, 4.0kbp, 0.5kbp, 2.5kbp
※ 直線ではなく円形に断片が並んでいます
EcoRIのみで切断すると青と緑が繋がるため…
① (0.5kbp+4.0kbp), (1.0kbp+2.5kbp) = 4.5kbp, 3.5kbp
② (0.5kbp+1.0kbp), (4.0kbp+2.5kbp) = 1.5kbp, 6.5kbp
③ (2.5kbp+4.0kbp), (1.0kbp+0.5kbp) = 6.5kbp, 1.5kbp
④ (2.5kbp+1.0kbp), (4.0kbp+0.5kbp) = 3.5kbp, 4.5kbp
よって、得られる断片は2パターン(「4.5kbp, 3.5kbp」 or 「1.5kbp, 6.5kbp」)ですね^^
問3(計20点)
3 タンパク質 A とタンパク質 B との相互作用を検証したい。以下の実験技術を用いて検証する手順について6行以内で説明せよ。
(1) 共免疫沈降法
まずタンパク質Aに対する抗体を準備し、ビーズに結合させておく。これをタンパク質A及びタンパク質Bを含む溶液に加えると、タンパク質Aと抗体が複合体を形成し、ビーズ上に捕捉され沈殿回収できる。最後に、ビーズに結合したタンパク質を溶出し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動で解析する。タンパク質Aとタンパク質Bとの相互作用がある場合、タンパク質Aだけでなくタンパク質Bも検出される。

相互作用するタンパク質の目星がついている場合、この実験法が用いられます。タンパク質同士が強く結合する必要がある(感度が弱い)ところが難点。
(2) 酵母ツーハイブリッド法
まず組み換えDNA技術でタンパク質Aを指令するDNAの塩基配列を遺伝子活性化タンパクのDNA結合ドメインの指令領域と結合させる。一方、タンパク質Bを指令するDNAの塩基配列を遺伝子活性化タンパクの活性化ドメインの指令領域と結合させる。最後に、これらの融合タンパクを酵母の細胞内で発現させる。タンパク質Aとタンパク質Bが相互作用する場合は、遺伝子活性化タンパクの結合ドメインと活性化ドメインを含む複合体が形成され、レポーター遺伝子の転写が活性化する。

相互作用するタンパク質がよくわからないとき、未知のタンパク質をスクリーニングする目的で用いられることが多いです。
これはあくまでも実験法を既に理解している人に向けた回答です。何をいっているのかよくわからない方はAZARASHIさんのブログで勉強しましょう^^
問4(計30点)
4 次の対比する2つの語に関して違いが分かるように4~6行で説明せよ。
(1) ユビキチン・プロテアソームシステムとオートファジー
ユビキチン・プロテアソームシステムとは、ユビキチンが共有結合した標的タンパク質をプロテアソームが認識し選択的に分解するシステムのことをいう。不要タンパク質の分解、抗原提示、細胞周期調節など重要な役割を果たしている。一方、オートファジーは、細胞内部の不要物質をオートファゴゾームという膜で包み込み、リソソームと融合することで、それら不要物質を分解することをいう。ユビキチン・プロテアソームシステムはタンパク質を標的とするが、オートファゴソームはオルガネラなど大きなレベルで分解する。

簡単に説明しろっていわれるとめちゃくちゃ難しいテーマですね…
(2) 非相同末端結合修復と相同組換え修復
非相同末端結合修復は二本鎖切断されたDNA修復メカニズムの一つである。DNAの相同性とは無関係に切断された末端同士を直接繋ぎ合わせるため、姉妹染色体を必要とせず、すべての細胞周期において機能する。その一方、修復の正確性は低く、DNA末端の接合部において変異が起こりやすい。相同組み換え修復も二本鎖切断されたDNA修復メカニズムの一つであるが、姉妹染色体を利用するため非相同末端結合修復よりも正確な修復機構である。

非相同末端結合修復=姉妹染色体を利用しない。ミスが多い。
相同組換え修復=姉妹染色体を利用する。正確性が高い。
(3) 糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸
糖原性アミノ酸はアミノ酸の代謝の過程の代謝物としてオキサロ酢酸またはピルビン酸を生じるアミノ酸のことをいう。多くのアミノ酸が糖原性アミノ酸である。一方、ケト原性アミノ酸は代謝物としてアセト酢酸またはアセチルCoAを生じるアミノ酸のことをいう。ロイシンとリシンがこれに該当する。チロシン、イソロイシン、トリプトファン、フェニルアラニンの4種類は糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸の両方に該当する。

糖原性アミノ酸=代謝物として「オキサロ酢酸」or「ピルビン酸」
ケト原性アミノ酸=代謝物として「アセト酢酸」or「アセチルCoA」
覚え方はAZARASHIさんのブログを参考にしましょう♪
問題を解き終えた感想
- 「発生学」寄りの問題が出題された
- 全体として「分子生物学」よりも「生化学」の問題が多い印象
- DNA配列の設計に関する問題が出題された
2021年度のサプライズは問2(プラスミドの調整に関する問題)ですね! 制限酵素はDNA配列を認識して切断する(切断部位はいつも同じ)ということさえ記憶していれば簡単に解ける問題なので、ラッキー問題でした。
2019年度のミカエリス・メンテン式も簡単だったので、サプライズ問題がでたらラッキーと覚えておきましょう^^
2017年度⇒2021年度の過去問へと順々に解いていきましたが、全体的な傾向としてはより広く浅い問題が増えているように感じます。
まぁ…元々が難しすぎたのかもしれませんね~^^;
派生問題
好気呼吸においては、グルコースは(①)、(②)、(③)という3つの反応経路によって完全に分解され、水と二酸化炭素そして(④)分子のATPができる。
① 解糖系
② クエン酸回路
③ 電子伝達系
④ 38

アルコール発酵、乳酸発酵の問題があったので、好気呼吸の復習をしました。④をしっかりと覚えていたら凄い!
まず、グルコース(C6H12O6)1分子は解糖系で2分子のピルビン酸(C3H4O3)と4分子の[H]に分解され2分子のATPが生じます。
C6H12O6 → 2C3H4O3 + 4[H] + 2ATP
次に、2分子のピルビン酸(C3H4O3)はクエン酸回路で20分子の[H]に分解されます
2C3H4O3 + 6H2O → 6CO2 + 20[H] + 2ATP
解糖系で生じた4分子の[H]とクエン酸回路で生じた20分子の[H](合計24[H])をもちいて電子伝達系で34分子のATPがつくられます。
24[H] + 6O2 → 12H2O + 34ATP
よって、一連の反応でつくられるATPは『合計38分子』となります
(①)、(②)、(③)は3大神経伝達物質と呼ばれ、脳内で神経現象のコントロールをしている。(①)は快楽や達成感、(②)は幸せ感、(③)やる気に関与している。
① ドーパミン
② セロトニン
③ ノルアドレナリン
タンパク質 A とタンパク質 B との相互作用を検証したい。蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の実験技術を用いて検証する手順について6行以内で説明せよ。
まず組み換えDNA技術でタンパク質Aを指令するDNAの塩基配列を青色蛍光タンパク質を指令するDNAの塩基配列と結合させる。一方、タンパク質Bを指令するDNAの塩基配列を緑色蛍光タンパク質を指令するDNAの塩基配列と結合させる。最後に、これらの融合タンパクを細胞内で発現させ、紫色光を照射する。青色蛍光タンパクは紫色光で励起され青色光を発し、緑色蛍光タンパクは青色光で励起され緑色光を発するので、タンパクAとタンパクBが結合する場合、紫色光の照射により緑色光が検出される。

相互作用を調べる実験法として有名です!
今回の記事で2017年度~2021年度までの5年分の過去問が完了しました!!!…これを必須科目と並行してやろうと思ったらめちゃくちゃキツイですね(^-^;
選択科目の試験(7/24)までもう少し時間があるので、2016年度~2014年度も記事にしていきたいと思います!!
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