【弁理士試験】生物化学の過去問を解いてみた(2023年度)

弁理士に挑戦

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二次試験(論文/選択科目)の対策!

特許庁のWebサイトで公開されている過去問の中から、理工IV(生物)の「生物化学」を解いてみました。

 

今回は、2023年度(令和5年)の問題です。

 

ボクなりの回答と、ボクが考えた派生問題を共有させていただきます。

Ataru
Ataru

おかしな箇所があれば、Comment欄にてご指摘ください。

 

2023年度の過去問

問1(計30点)

以下の事項について、空欄の( ① )から( ⑳ )に適切な語もしくは数字を入れよ。ただし、同じ番号には同じ語もしくは数字が入る。

(1) 遺伝子の本体である DNA は核酸の一種で( ① )と糖と( ② )からなる( ③ )が鎖状につながって構成された高分子化合物である。このうち( ① )( ④ )、グアニン、チミン、シトシンの4種類からなるが、DNA と構造がよく似た RNA ではチミンの代わりに( ⑤ )が含まれる。

① 塩基
② リン酸
③ ヌクレオチド
④ アデニン

⑤ ウラシル

Ataru
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「糖+塩基=ヌクレオド」もあわせて覚えておこう!

 

(2) 真核生物は細胞内に多様なオルガネラを有している。核は脂質( ⑥ )重膜で囲われており、核膜孔を介して mRNA などが輸送される。分泌タンパク質の多くは( ⑦ )で合成された後に、輸送小胞によって( ⑧ )に運ばれる。( ⑧ )ではタンパク質の糖鎖修飾や選別が行われる。酸性オルガネラである( ⑨ )はタンパク質分解を担うオルガネラであり、細胞外から( ⑩ )によって取り込まれたタンパク質の一部は( ⑨ )に輸送されて分解される。( ⑪ )は細胞内の化学エネルギー通貨とも言われる( ⑫ )を産生する器官であり、独自の DNA を含有している。

⑥ 二
⑦ 小胞体
⑧ ゴルジ体
⑨ リソソーム
⑩ エンドサイトーシス
⑪ ミトコンドリア
⑫ ATP

 

(3) 低分子窒素化合物を元にして生体の構成に必要な有機窒素化合物を合成する働きを窒素という。植物は( ⑭ )というアミノ酸に( ⑮ )イオンを結合させて( ⑯ )というアミノ酸を合成する。

⑬ 窒素同化
⑭ グルタミン酸
⑮ アンモニウム
⑯ グルタミン

Ataru
Ataru

窒素同化の問題は珍しい!

難易度は低めだけど、意表を突かれると難しく感じるかも

 

(4) タンパク質を構成する標準的な 20 種類のアミノ酸のうち、側鎖に水酸基を持つアミノ酸はチロシンと( ⑰ )( ⑱ )であり、硫黄元素を含むアミノ酸は( ⑲ )( ⑳ )である。

⑰ セリン
⑱ スレオニン
⑲ システイン
⑳ メチオニン

Ataru
Ataru

泳げるセティ(STY)

サッカーはメッシ(MS)

 

問2(計10点)

生物化学に関する以下の問いに答えよ。

ヒトゲノム中においては 5′-CG-3′の DNA 配列が統計的に期待される出現頻度より大幅に少なくなっている。この現象を引き起こしうるメカニズムを5行程度で説明せよ。

DNAのメチル化修飾は、ヒトでは5′-CG-3’配列をもつシトシンに限られている。そして、生体内で代表的なDNA傷害の一つである脱アミノ化反応により、シトシンはウラシルに変化するが、メチル化シトシンはチミンに変化する。ウラシルはゲノムDNAに存在しないため、DNA修復酵素系により容易にシトシンに戻されるのに対して、チミンはDNAに普通に存在する塩基であるために修復系から逃れやすく、修復されないまま残ってしまう可能性が高くなる。生殖細胞にもこの変異が起こることがあるため、世代を重ねる毎に5′-CG-3’配列の割合が少なくなる。

Ataru
Ataru

やや難易度の高い問題。

(ヒトの場合)DNAのメチル化は、5′-CG-3’配列のシトシンに限られ、メチル化が起こるとシトシンからチミンに変異しやすいってこと。

 

問3(計20点)

動物細胞で遺伝子 X を相同組換えにより遺伝子 Y に置換した。正しく置換されたことを以下の2つの異なる実験技術を用いて確認するにはどのように実験を行えば良いか。
それぞれ4~6行程度で説明せよ。

(1) PCR 法

遺伝子Yをコードする塩基配列の特定の領域と結合するプライマーを作製する。次いで、遺伝子組み換え後の動物細胞の溶解液、DNA増幅酵素、ヌクレオチドを準備し、先ほど作成したプライマーを用いてPCR法を行う。そして、PCR法で増幅されたDNA断片をアガロースゲル電気泳動で分離した後、エチジウムブロマイドで染色して、蛍光撮影する。遺伝子Yに置換されている場合は、PCR法によって増幅されたターゲット配列のバンドが観察される。


(2) サザンブロッティング法

遺伝子組み換え後の動物細胞からDNAを抽出し、制限酵素で処理をする。次いで、作成したDNA断片をアガロースゲル電気泳動で分離した後、ニトロセルロース又はナイロン膜のメンブレンに転写する。そして、遺伝子Yをコードする塩基配列と相補的な塩基配列をもつ放射能標識又は蛍光標識プローブ配列をハイブリダイズさせる。メンブレンを洗浄した後、放射線感光フィルムなどを使用してバンドを視覚化する。遺伝子Yに置換されている場合は、目的配列にハイブリダイズしたプローブが検出される。

 

問4(計30点)

次の対比する二つの語に関して違いが分かるように4行程度で説明せよ。

(1) ポリシストロニック mRNA とモノシストロニック mRNA

一本のmRNAの中に複数個のタンパク質がコードされたものをポリシストロニックmRNAいい、原核生物に多く見られる。一方、一本のmRNAの中に一つのタンパク質がコードされたものをモノシストロニックmRNAといい、真核生物に多く見られる。


(2) セントロメアとテロメア

2本の染色体が中央部分で付着している部分をセントロメアといい、このセントロメアから伸びた染色体の端をテロメアという。テロメアはTTAGGGの6塩基対の繰り返しからなり、細胞分裂のたびに50塩基対づつ短縮する。テロメアが元の長さの半分くらいになると細胞分裂ができなくなるため、一般の体細胞には分裂限界があるとされている。

Ataru
Ataru

テロメアに関する問題も珍しい。

出題範囲が広いからいくら対策してもカバーしきれないな~…


(3) エンドペプチダーゼとエキソペプチダーゼ

エンドペプチダーゼは、タンパク質がもつ非末端のペプチド結合を分解するタンパク質分解酵素である。一方、エキソペプチダーゼもタンパク質分解酵素であるが、末端からペプチド結合を1つ1つ分解する点がエンドペプチダーゼと異なる。

 

問題を解き終えた感想

【2023年度の特徴】

  • 穴埋め問題、説明問題ともに、簡単な問題が多い
  • 分子生物学寄りの問題が多い印象
  • 実験方法を問う、ちょっとした応用問題が出題された

 

解き終わった感想は、ここ数年の出題傾向の通り

「全体的に難易度の低い問題」と「単純に知識を問うだけではなく、応用問題(問3)」が出題されました。

 

唯一、問2に関しては少々マニアックな知識が問われましたが、5年、10年前の過去問であれば、平均レベルの問題だと思います。

Ataru
Ataru

たしか、大学2年の発生学で習った気がする…

 

選択科目は一度合格すれば永遠に免除されるので、軟化している間に突破しておきたいところですね。

 

2023年度の派生問題

空気中に多量に存在する安定な窒素分子を反応性の高い( ① )、硝酸塩、二酸化窒素などの窒素化合物に変換するプロセスを( ② )という。これはメタン菌などの( ③ )によって行われる。反対に窒素化合物を窒素分子として大気中へ放散させる作用は( ④ )と呼ばれる。
生物が( ① )などの窒素化合物を吸収して、生体を構成するアミノ酸やタンパク質などの有機窒素化合物に合成することを( ⑤ )という。

① アンモニア
② 窒素固定
③ 古細菌

④ 脱窒
⑤ 窒素同化

 

エピジェネティック(後成学)について簡単に説明せよ。

DNA塩基配列の変化によらず、細胞分裂後も継承される、遺伝子発現を制御・伝達するシステムおよびその学問をエピジェネティックという。主なメカニズムとして、DNAメチル化とヒストン修飾がある。

 

過去問リンク

 

 

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