【弁理士試験】2023年度の一次試験(短答式)を解き直してみた

弁理士に挑戦

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2023年度 弁理士一次試験(短答式)の問題を解き直してみましたので、ボクなりの回答とその理由を共有します。

(何でこの問題は「1」なんだろう〜…?)

と気になる問題がありましたら、参考にしていただけると嬉しいです(*^^*)

 

なお、問題の解き直しに際して、Lecの解答速報会を参考にさせていただきました。

 

Ataru
Ataru

おかしなところがあれば、コメントお願いします。

 

特許・実用新案

【特許・実用新案】1

特許法に規定する拒絶査定不服審判又は特許法第 162 条に規定する審査(いわゆる前置審査)に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。

(イ) 拒絶査定不服審判の請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した図面についてのみ補正があった。当該補正が軽微なものである場合、特許庁長官は、審査官にその請求を審査させないものとすることができる。

(ロ) 拒絶査定不服審判の請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した図面についてのみ補正があった。当該補正が、特許法第 17 条の2第3項に規定する要件(いわゆる新規事項の追加の禁止)を満たしていないことが明らかな場合、特許庁長官は、審査官にその請求を審査させないものとすることができる。

(ハ) 拒絶査定不服審判の請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した特許請求の範囲について補正があった。この場合、特許庁長官は、拒絶をすべき旨の査定をした審査官にその請求を審査させなければならない。

(ニ) 拒絶査定不服審判の請求人は、前置審査をする審査官について審査の公正を妨げるべき事情があるときは、これを忌避することができる。

(ホ) 2以上の発明を包含する特許出願Aについての拒絶査定不服審判の請求時に、特許法第 44 条(特許出願の分割)第1項の規定により、特許出願Aの一部を新たな特許出願Bとした場合において、特許出願Bの審査において必要があると認めるときは、特許出願Aについての拒絶査定不服審判の審決が確定するまで、特許出願Bの手続を中止することができる。

1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし

正解は「1」

(イ)× 図面のみの補正でも前置審査の対象となる(特162条)。軽微であれば前置審査を省略できる規定はない。 

(ロ)× そんな規定はない

(ハ)× 前置審査を担当するのは当該拒絶査定をした審査官であるが、退官や転職などによりその職務を執行することができないときは他の審査官が担当する(青本_特162条)

(ニ)× 審査官であるため忌避の対象とならない…?(特141条1項)

(ホ)〇  審査において必要があると認めるときは審決が確定するまでその手続きを中止することができる(特54条1項)

 

【特許・実用新案】2

特許権についての実施権等に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

1 特許権について専用実施権が設定され、その登録がされている場合、特許権者は、専用実施権者の承諾を得なくとも特許権を移転することができるが、専用実施権者は、特許権者の承諾を得ない限り、専用実施権を移転することができない。

2 特許権者甲は、乙に対してその特許権に関して設定行為で実施の範囲を制限することなく通常実施権を許諾し、その後、丙に対してその特許権に関して設定行為で実施の範囲を制限して専用実施権を設定し、その登録がされたとき、丙は、甲及び乙の両者の承諾を得た場合に限り、その専用実施権について質権を設定することができる。

3 特許法における通常実施権の規定には、特許法第 35 条第1項に規定する職務発明に係る特許権についての通常実施権及び同法第 79 条に規定する特許権についての先使用による通常実施権については、当該特許権者は当該通常実施権を有する者から相当の対価を受ける権利を有することは規定されていないが、同法第 79 条の2に規定する特許権の移転の登録前の実施による通常実施権、同法第 80 条に規定する特許権についての無効審判の請求登録前の実施による通常実施権及び同法第 82 条に規定する意匠権の存続期間満了後の特許権についての通常実施権については、当該特許権者は当該通常実施権を有する者から相当の対価を受ける権利を有することが規定されている。

4 特許庁長官は、自己の特許発明の実施をするための通常実施権を設定すべき旨の裁定をした後に裁定の理由が消滅したときは、職権で裁定を取り消すことができ、裁定の取消しがあったときは、その通常実施権は初めから存在しなかったものとみなされる。

5 甲が所有する特許権に、公共の利益のための通常実施権の設定の裁定により、時期を令和5年1月1日から5年の間とし、対価の額を 10 億円とする通常実施権が設定された。この場合、甲は、その時期及び対価の額の両方についての不服を、その裁定についての行政不服審査法の規定による審査請求における不服の理由とすることができる。

正解は「3」

(1)× 一般承継又は事業とともに移転する場合なら、特許権者の承諾は不要(特77条3項)

(2)× 乙の承諾はいらいない(特77条4項)

(3)〇 

(4)× 通常実施権はその後消滅する(特91条)

(5)× 裁定で定める対価については特183条で特別規定を置いているため、行政審査不服法の請求理由にできない(青本_特191条の2)

 

【特許・実用新案】3

特許を受ける権利及び特許法に規定する実施権等に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。

(イ) 仮専用実施権に基づいて取得すべき専用実施権についての仮通常実施権を有する者は、当該仮通常実施権を、特許を受ける権利を有する者又は仮専用実施権者のいずれかの承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合、移転することができる。

(ロ) 特許権についての通常実施権は、登録その他何らの要件を備えなくても、また、いかなる発生原因によるものであっても、その発生後にその特許権を取得した者に対して、その効力を有する。

(ハ) 特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について設定された仮専用実施権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なくても、その特許を受ける権利を有する者の承諾を得た場合には、その仮専用実施権に基づいて取得すべき専用実施権について、他人に仮通常実施権を許諾することができる。

(ニ) 特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡すること、その持分を目的として質権を設定すること及びその持分を放棄することのいずれもできないと、特許法に規定されている。

(ホ) 甲と乙は共同で発明をし、特許を受ける権利を共有していたところ、乙及び丙が甲に無断で当該発明について共同で特許出願をし、その後特許権を取得し、共有するに至った。この場合、甲が丙に対して当該特許権の自己の持分の移転を請求し、当該請求に基づく特許権の持分の移転の登録があったときは、その特許権の持分は初めから甲に帰属していたものとみなされる。なお、上記以外の特許出願はないものとする。

1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし

正解は「2」

(イ)× 「特許を受ける権利を有するもの」と「仮専用実施権者」双方の承諾を要する(特34条の2第4項)

(ロ)〇 通常実施権は登録その他何らの要件を備えなくても第三者に対抗できる(青本_特99条)

(ハ)× 共有者の同意を要する(特34条の2第8項) 

(ニ)× 共有者の同意がなくても放棄は可能(特97条1項)

(ホ)〇 特74条2項

 

【特許・実用新案】4

特許無効審判における審理に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

1 証拠調べに際し、審判官は、当事者に対して文書の提出を命ずることができ、当事者が文書提出命令に従わないときは、当該文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることができる。

2 証拠調べは、双方の当事者が口頭審理の期日に出頭せず、出頭したものともみなされない場合には、することができない。

3 被請求人側から答弁書の提出がなされず、口頭審理の期日にも出頭がなく、出頭したものともみなされなかった場合には、請求人の主張する無効理由の存在を被請求人側が認めたものとみなされる。

4 顕著な事実については証明が不要であるから、審判官は証拠調べをすることなく当該事実を基礎とする審決をすることができる。

5 審判の係属中、当事者又は参加人のいずれにも該当しない利害関係人の特許庁長官に対する申立てにより、証拠保全をすることができる。

正解は「4」

(1)× 特許法の審判が職権主義によって貫かれているため、この問題と関連する民訴224条1項のような当事者主義の規定は準用されていない(青本_特151条)

(2)× 証拠調べは、当事者が期日に出頭しない場合においてもすることができる(特151条で準用する民訴183条)

(3)× 民訴208条(不出頭等の効果)は準用されていない(特151条)

(4)〇 特151条で準用する民訴179条

(5)× 利害関係人が申し立てられるのは審判請求の前まで(特150条2項)

 

【特許・実用新案】5

実用新案登録出願及び実用新案登録に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、誤っているものの組合せは、どれか。

(イ) 実用新案権の設定登録後、最初の実用新案技術評価書の謄本の送達があった日から2月を経過したとき、又は、実用新案登録無効審判について最初に指定された答弁書提出可能期間を経過したときでも、実用新案権者がそれまでに訂正を一回も行っていない場合は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とした訂正をすることができる。

(ロ) 実用新案技術評価は、実用新案登録出願人又は実用新案権者でない者も請求することができ、実用新案権者又は専用実施権者は、侵害する者に対し、自らの請求によるものではない実用新案技術評価書を提示して警告し、自己の実用新案権又は専用実施権を行使することができる。

(ハ) 実用新案権者甲が、乙に対し、実用新案権を行使した場合において、その実用新案権に係る考案が、実用新案登録出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された考案であることを理由として、実用新案登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、甲は、相当の注意をもって権利を行使したことを立証しない限り、その権利の行使により乙に与えた損害を賠償する責任を負う。

(ニ) 実用新案登録請求の範囲に3つの請求項1~3を記載した実用新案登録において、請求項1及び2について実用新案登録無効審判が請求された場合、その実用新案登録無効審判について、最初に指定された答弁書提出可能期間の経過後は、請求項1及び2に係る考案の実用新案登録に基づく特許出願はできないが、請求項3に係る考案の実用新案登録に基づく特許出願はできる場合がある。

(ホ) 実用新案登録を受けることができるのは、物品の形状、構造又は組合せに係る考案のみであり、プログラム自体について実用新案登録を受けることはできないが、登録実用新案に係る物品の製造に用いられるプログラムの生産や譲渡が、その登録実用新案に係る実用新案権を侵害するものとみなされる場合がある。

1 (イ)と(ニ)
2 (ロ)と(ホ)
3 (イ)と(ハ)
4 (ロ)と(ニ)
5 (ハ)と(ホ)

正解は「1」

(イ)× 実14条の2第1項1,2号

(ロ)〇 評価書の請求は何人もできる(実12条1項)。自ら請求した評価書でなければ権利行使できないとされていない(実29条の2)

(ハ)〇 青本_実29条の3

(ニ)× 実14条の2第1項は請求項ごとに権利があるものとみなされるものでない(実50条の2)から、無効審判が請求されていない項目についても答弁書の提出期間が過ぎたら訂正できなくなる(青本_実14条の2)

(ホ)〇 実28条1号に該当

 

【特許・実用新案】6

特許法に規定する総則に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。

(イ) 特許法には、物の発明にあっては、その物の生産、使用、譲渡等、輸出若しくは輸入(外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為を含む)又は譲渡等の申出をする行為は、いずれも発明の実施にあたると規定されている。

(ロ) 特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で、特許法第 108 条第1項(特許料の納付期限)、特許法第 121 条第1項(拒絶査定不服審判)及び特許法第 173 条第1項(再審の請求期間)に規定するいずれの期間も延長することができる。

(ハ) 日本国内に住所又は居所を有する者であって特許に関する手続をするものの委任による代理人は、特別の授権を得なければ、出願公開の請求、拒絶査定不服審判の請求又は特許権の放棄のいずれもすることができない。

(ニ) 特許に関する手続をする者の代理人が甲、乙及び丙であって、本人が、甲、乙及び丙との委任契約において、甲、乙及び丙の共同代理によってのみ代理されるべき旨の定めをしても、特許庁に対しては、甲、乙及び丙の各人が本人を代理する。

(ホ) 特許無効審判において特許権者甲が証拠調べを申し立てた後、その特許権の全部を乙に移転した場合、特許庁は特許権の当該移転後も証拠調べの申立てがあったものとして取り扱わなければならない。

1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし

正解は「4」

(イ)× カッコ書き部分が意匠法と商標法の表現(意2条2項1号、商2条7項)に置き換わってる

(ロ)〇 特4条

(ハ)〇 特9条

(ニ)〇 代理人が2人以上あるときは、特許庁に対しては、各人が本人を代理する(特12条)。この規定は強行規定と解すべき(青本_特12条)

(ホ)〇 

 

【特許・実用新案】7

特許法に規定する特許料及び罰則について、次の(イ)~(ホ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。

(イ) 特許料の納付期限までに特許料の納付がなく、その後、所定の追納期間内に特許料の追納がなかったが、特許料の追納による特許権の回復の規定により特許権が回復した場合、当該特許権の効力は、納付期限経過の翌日に行われた、当該特許権に係る発明の実施行為に及ぶ。

(ロ) 秘密保持命令に違反した者に対して公訴を提起するには、告訴を要しない。

(ハ) 法人の従業者が、その法人の業務に関して審査官を欺いて虚偽の資料を提出し、特許要件を欠く発明について特許を受けた場合、従業者は3年以下の懲役又は 300 万円以下の罰金に処せられ、法人に対しては両罰規定により 300 万円以下の罰金刑が科せられる。

(ニ) 過誤納の特許料の返還を受ける場合、及び、特許を無効にすべき旨の審決が確定した年の翌年以後の既納の各年分の特許料の返還を受ける場合は、いずれの場合であっても、納付した者の請求を要する。

(ホ) 特許法の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から呼出しを受けた者が、正当な理由がないのに出頭せず、又は宣誓、陳述、証言、鑑定若しくは通訳を拒んだときは、過料に処せられる。

1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 5つ

正解は「2」

(イ)〇 回復した権利の効力は追納できる期間の経過〜回復登録における当該発明行為の実施等に及ばない(特112条の3)。追納期間であれば及ぶ。

(ロ)× 秘密保持命令違反は親告罪(特200条の3第2項)

(ハ)× 法人に対しては1億円以下の罰金(特201条)

(ニ)〇 特111条1項

(ホ)〇 特203条

 

【特許・実用新案】8

特許法に規定する拒絶査定不服審判又は特許法第 162 条に規定する審査(いわゆる前置審査)に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

1 審査において、特許法第 29 条第2項(いわゆる進歩性)の規定による拒絶をすべき旨の査定がされ、その後の前置審査において、審査官は査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した。この場合、審査官は上記の異なる拒絶の理由を出願人に通知することなく、その審査の結果を特許庁長官に報告しなければならない。

2 審査官は、前置審査において、拒絶の理由を発見しないときは、特許をすべき旨の審決をしなければならず、当該審決において、審判の請求に係る拒絶をすべき旨の査定を取り消さなければならない。

3 審判官は、拒絶査定不服審判の請求と同時にされた願書に添付した特許請求の範囲の補正について、当該補正前に受けた拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された発明と、当該補正後の特許請求の範囲に記載される事項により特定される発明とが、特許法第 37 条の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものとならないと特許をすべき旨の審決の謄本の送達前に認めた場合、決定をもってその補正を却下しなければならない。

4 特許法第 50 条の2(既に通知された拒絶理由と同一である旨の通知)の規定は、前置審査には準用されない。

5 拒絶査定不服審判の請求後に拒絶理由の通知を受けた場合、特許請求の範囲についてする補正には、特許法第 17 条の2第5項各号に掲げる事項を目的とするものに限られるという補正の制限が課されることはない。

正解は「3」

(1)× 特163条2項で拒絶の理由の通知(特50条)を準用している

(2)× 審決ではなく査定(特163条3項で準用する特51条)

(3)〇 特17条の2第4項

(4)× 準用される(特163条2項)

(5)× 前置審査でも制限が課される。

 

【特許・実用新案】9

出願についての優先権に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものの組合せは、どれか。

(イ) 特許出願Bを先の出願として国内優先権の主張を伴う特許出願Aをした場合、優先権の主張の基礎とされた特許出願Bは特許出願Bの出願の日から所定の期間を経過した時に取り下げられたものとみなされる。ただし、特許出願Aの出願の際に、先の特許出願Bが、放棄され、取り下げられ、若しくは却下されている場合、先の特許出願Bについて査定若しくは審決が確定している場合又は先の特許出願Bに基づく全ての優先権の主張が取り下げられている場合には、取り下げられたものとはみなされない。

(ロ) 特許を受けようとする者が、その国際特許出願に係る発明について、その者が特許を受ける権利を有する特許出願であって先にされたもの(以下「先の出願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(先の出願が外国語書面出願である場合にあっては、外国語書面)に記載された発明に基づいて優先権を主張することができるのは、先の出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その国際特許出願の際に、その承諾を得ている場合に限られる。

(ハ) 国内優先権の主張を伴う特許出願の出願人がその優先権の主張を取り下げることができる期間は、優先権主張を伴う特許出願が国際特許出願であるか否かにかかわらず、経済産業省令で定める期間に限られる。

(ニ) 国内優先権の主張の基礎とされた先の出願について、出願審査の請求をすることができる場合がある。

(ホ) 特許出願をする場合において、世界貿易機関の加盟国においてした出願に基づく優先権は、日本国民又はパリ条約の同盟国の国民(パリ条約第3条の規定により同盟国の国民とみなされる者を含む。)のみが主張することができる。

1 (イ)と(ニ)
2 (ロ)と(ホ)
3 (イ)と(ハ)
4 (ロ)と(ニ)
5 (ハ)と(ホ)

正解は「1」

(イ)〇 特42条1項

(ロ)× 国際特許出願の国内優先権の主張については、仮専用実施権者の承諾を要さない(特184条の15第1項) 

(ハ)× 国際出願の優先権主張は優先日から30箇月を経過する前にいつでも取り下げることができる(PCT規則90の2.3)。

(ニ)〇 国内優先権の主張が取り下げられた場合は、先の出願について出願審査の請求をすることができる

(ホ)× 特43条の3第2項 

 

【特許・実用新案】10

特許権の侵害及びその訴訟に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。

1 特許が物を生産する方法の発明についてされている場合において、その方法により生産した物を業としての輸出のために所持する行為は、実際にその物を輸出する前であっても、当該特許権を侵害するものとみなされる。

2 特許権の侵害に係る訴訟において、既に提出された準備書面に当事者の保有する営業秘密が記載されている場合には、当該営業秘密について裁判所が秘密保持命令を発するための要件を満たさない。

3 裁判所は、訴訟の当事者ではない第三者が所持し、又は管理する書類又は装置その他の物については、査証人に対して査証を命ずることはできない。

4 裁判所が査証人に対して査証を命ずるためには、特許権を相手方が侵害したことを疑うに足りる相当な理由があると認められることを要し、査証を申し立てる当事者は、申立書に、当該理由があると認められるべき事由を記載しなければならない。

5 東京地方裁判所又は大阪地方裁判所が第一審の裁判所となる特許権の侵害に係る訴訟において、裁判所が、特許法の規定に基づき、当事者の申立てにより、広く一般に対し当該事件に関する特許法の適用その他の必要な事項について意見を求めることは、第一審、控訴審のいずれにおいても可能である。

正解は「2」

(1)〇 特101条6号

(2)× 提出された準備書面に営業秘密が書かれていても秘密保持命令を発する要件を満たす場合はある(特105条の4第1項1号)

(3)〇 「相手方が所持し」に該当しない(特105条の2)

(4)〇 特105条の2第2項1号

(5)〇 特105条の2の11第1,2項

 

【特許・実用新案】11

特許無効審判及び延長登録無効審判に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。

(イ) 審判長は、特許無効審判に係る請求書が特許法に定める方式の規定に違反しているときは、請求人に対し、相当の期間を指定して、当該請求書について補正をすべきことを命じなければならず、その補正をすべきことを命じた者が指定した期間内にその補正をしないときは、決定をもって当該請求書を却下することができる。

(ロ) 請求項が1のみである特許について特許異議の申立てをした特許異議申立人が、さらに、同一の特許について当該特許異議の申立てと同一の事実及び同一の証拠に基づく特許無効審判の請求を行った場合において、その後、当該特許無効審判の係属中に当該特許異議の申立てについての取消決定が確定したときは、当該特許無効審判の請求は審決をもって却下されることがある。

(ハ) 特許無効審判により、特許請求の範囲に記載されたすべての請求項についての特許を無効にすべき旨の審決が確定した後には、その特許について、新たに特許無効審判を請求できる場合はない。

(ニ) 特許無効審判が請求されていない請求項について誤記の訂正を目的とする訂正の請求をする場合、その訂正は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。

(ホ) 審判長は、特許無効審判又は延長登録無効審判の事件が審決をするのに熟した場合において、審判の請求に理由があると認めるときは、いずれの審判事件においても審決の予告を当事者及び参加人にしなければならない。

1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 5つ

正解は「2」

(イ)〇 特133条1項,3項

(ロ)〇 特135条で却下?

(ハ)× 後発的無効理由で無効となった場合は遡及消滅しないため、新たに無効審判を請求できる。

(ニ)〇 特126条7項

(ホ)× 延長登録無効審判については、審決の予告を要しない(特164条の2第1項)

 

【特許・実用新案】12

特許出願の分割・変更等に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。

(イ) 特許出願人は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内であればいつでも、2以上の発明を包含する特許出願の一部を分割して新たな特許出願とすることができる。

(ロ) 特許をすべき旨の査定の謄本の送達があった場合、送達があった日から 30 日以内であれば、どのような場合でも2以上の発明を包含する特許出願の一部を分割して新たな特許出願とすることができる。

(ハ) 外国語書面出願の出願人は、2以上の発明を包含する特許出願の一部を分割して新たな特許出願とする場合には、外国語書面出願による出願とすることができる。

(ニ) 実用新案権者は、自己の実用新案登録に基づいて特許出願をする場合において、専用実施権者があるときは、その者から、その実用新案権の放棄についての承諾と、実用新案登録に基づく特許出願それ自体についての承諾を得る必要がある。

(ホ) 特許法には、仮専用実施権に係る特許出願について特許出願の分割があったときは、当該特許出願の分割に係る新たな特許出願に係る特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、当該仮専用実施権の設定行為に別段の定めがあるときを除き、当該仮専用実施権の設定行為で定めた範囲内において、仮専用実施権が設定されたものとみなす規定がある。また、特許法には、仮通常実施権に係る特許出願について特許出願の分割があったときは、当該特許出願の分割に係る新たな特許出願に係る特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、当該仮通常実施権の設定行為に別段の定めがあるときを除き、当該仮通常実施権の設定行為で定めた範囲内において、仮通常実施権が許諾されたものとみなす規定がある。

1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし

正解は「4」

(イ)〇 特44条1項1号

(ロ)× 拒絶査定不服審判で差し戻された審査や前置審査で特許査定がなされた場合は、査定謄本の送達から30日以内でも分割できない(特44条1項1号)

(ハ)〇 

(ニ)〇 特46条の2第4項

(ホ)〇 特34条の2第5項、特許34条の3第6項

 

【特許・実用新案】13

審決等に対する訴えに関し、次の(イ)~(ホ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。

(イ) 特許無効審判において審決がされたときに、不服のある当事者は、付加期間が定められた場合を除き、当該審決の謄本の送達があった日から 30 日以内に限り、審決に対する訴えを提起することができる。

(ロ) 特許無効審判の確定審決に対する再審の審決に対する訴えにおいては、特許庁長官を被告としなければならない。

(ハ) 特許権に関する審決に対する訴えにおいては、裁判所は当事者が申し立てない理由についても審理することができる。

(ニ) 拒絶査定不服審判の請求は成り立たないとする審決の取消訴訟において、裁判所は、原告の請求に理由があるとして当該審決を取り消す場合、特許をすべき旨の判決をすることができる。

(ホ) 共有に係る特許権について、その特許を無効にすべき旨の審決がされたときは、共有者の1人は、単独で当該審決の取消訴訟を提起することができるが、その請求を認容する判決が確定した場合には、特許庁で共有者全員との関係で審判手続が行われる。

1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 5つ

正解は「3」

(イ)〇 特178条3,4,5項

(ロ)× 特許無効審判又は延長登録無効審判は、審判/再審の請求人または被請求人を被告とする(特179条)

(ハ)× 職権審理の規定は訴訟に準用されていない

(ニ)× 裁判所は特許査定できない。裁判所によって審決又は決定が取り消され(特181条1項)、審判官が更に審理を行い、審決又は決定を行う(特181条2項)

(ホ)〇 特許権が共有に係る場合であっても、保存行為であるため共有者単独で審決取消訴訟を提起できる(パチンコ装置事件)

 

【特許・実用新案】14

特許異議の申立てに関し、次のうち、正しいものは、どれか。

1 特許異議の申立てについての審理に参加を申請してその申請を拒否された者がいる場合、特許庁長官は、特許異議の申立てについての決定があったときに、当該申請を拒否された者に当該決定の謄本を送達しなければならない。

2 審判長は、特許異議の申立てがあったとき、当該特許権についての専用実施権者にはその旨を通知しなければならないが、当該特許権についての質権者にはかかる通知をしなくてもよい場合がある。

3 同一の特許権に係る2以上の特許異議の申立てについて、その審理を併合したときは、更にその審理の分離をすることはできない。

4 不適法な特許異議の申立てであって、その補正をすることができないものについては、決定により却下することができるが、この決定による却下に対しては不服を申し立てることができる場合がある。

5 特許異議の申立てについての審理においては、審判官の合議体は、特許権者、特許異議申立人又は参加人が申し立てない理由についても、審理しなければならない。

正解は「1」

(1)〇 特120の6第2項

(2)× 登録した権利を有する者に通知しなければならない規定あり(特115条4項)

(3)× 特120条の3

(4)× 審判合議体による審理経ていないため、補正できずに却下された場合は不服を申し立てることができない(青本_特120条の8)。なお、178条1項に規定されていない決定であるため、訴訟の対象にもならない(青本_178条)。

(5)× 申立てない理由について審理をすることが”できる”とされている(120条の2第1項)。審理しなければならないわけではない。

 

【特許・実用新案】15

訂正審判に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。

(イ) 特許権の消滅後において、訂正審判を請求することができない場合がある。

(ロ) 特許請求の範囲に請求項1及び請求項2のみが記載された特許について、そのうちの請求項1のみに特許異議の申立てがされているとき、当該特許異議の申立てについての決定が確定する前において、特許異議の申立てがされていない請求項2について訂正審判を請求することはできない。

(ハ) 同一の特許について、訂正審判の請求後に特許異議の申立てがされたとき、それらの審理を併合できる場合はない。

(ニ) 訂正審判において、審判の結果について利害関係を有する者は、審理の終結に至るまでは、その審判に参加することができる。

(ホ) 訂正審判において、その訂正の目的が特許請求の範囲の減縮である場合、当該訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであってはならないが、特許法第 36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものである必要はない。

1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 5つ

正解は「4」

(イ)〇 無効審判は消滅後でも請求できるため、訂正審判も消滅後でも請求できる(特126条8項)

(ロ)〇 請求項ごとに無効審判が請求された場合は、全ての請求項に係る審判が確定するまで、訂正審判を請求できない(特126条2項)

(ハ)〇 同種類の審判でなければ併合できない(審判便覧30-03)

(ニ)× 無効審判又は延長登録無効審判でなければ参加できない(148条1項)

(ホ)〇 特36条5項は独立特許要件(特126条7項)に含まれない

 

【特許・実用新案】16

審判手続に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。

(イ) 裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に関する訴えの提起があったときは、その旨を特許庁長官に通知するものとし、当該通知を受けた特許庁長官は、その特許権についての審判の請求の有無を裁判所に通知するものとする。

(ロ) 甲が特許を受ける権利を承継しないで特許出願をして特許権者となったという理由で甲を被請求人とする特許無効審判が請求されており、同時に裁判所において当該特許を受ける権利の甲への譲渡の有効無効が争われている場合、審判官は、審判において必要があると認めるときは、甲が特許を受ける権利を正当に承継したかどうかが裁判所で判断されるまで、審判手続を中止することができる。

(ハ) 審判が審決によらないで終了する場合として、請求人による審判の請求の取下げにより終了する場合がある。

(ニ) 審決は文書をもって行う必要があり、審決書には審決の結論に加えて理由を記載しなければならない。審決書に記載すべき理由としては、発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者の技術上の常識又は技術水準とされる事実などこれらの者にとって顕著な事実について判断を示す場合であるなどの特段の事由がない限り、審判における最終的な判断として、その判断の根拠を証拠による認定事実に基づき具体的に明示することを要する。

(ホ) 特許無効審判及び延長登録無効審判に関する費用の負担は、審判が審決により終了するときは、その審決をもって定めなければならない。負担すべき費用の額について請求人と被請求人との間に争いがある場合は、請求により、審決が確定した後に特許庁長官がその額について決定をする。

1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし

正解は「5」

(イ)〇 侵害の訴えがあったときはその旨を特許庁長官に通知(特168条3項)。無効審判が継続している場合は確定してから審理を進める方が効率的であるため、審判の有無を通知(特168条4項)

(ロ)〇 青本_特168条

(ハ)〇 審決が確定するまで取下げることができる(特155条1項)

(ニ)〇 

(ホ)〇 特169条1項

 

【特許・実用新案】17

特許法第 29 条の2(いわゆる拡大された範囲の先願)及び第 39 条(先願)に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
ただし、特に文中に示した場合を除いて、特許出願は、外国語書面出願、国際出願に係る特許出願、特許出願の分割に係る新たな特許出願、出願の変更に係る特許出願又は実用新案登録に基づく特許出願ではなく、取下げ、放棄又は却下されておらず、出願公開が行
われ、出願審査の請求がされ、査定又は審決が確定しておらず、設定の登録がされておらず、いかなる補正もされておらず、いかなる優先権の主張も伴わず、発明者・出願人の異動もないものとする。

1 甲は、発明イをし、発明イを明細書に記載した特許出願Aをした。後日、甲及び乙は、発明イを改良した発明ロをしたうえで、甲及び乙共同で発明イ、ロを包含する上位概念の発明ハを特許請求の範囲に記載した特許出願Bをした。その後、特許出願Aは、出願公開された。この場合、特許出願Bの発明ハについては、特許出願Aを特許出願の日前の他の特許出願として、特許法第 29 条の2の規定による拒絶理由を有することはない。

2 甲は、発明イをし、発明イを明細書に記載した特許出願Aをした。その後甲は、発明イを改良した発明ロをし、明細書に発明イ及びロを記載して特許出願Aを先の出願として優先権の主張を伴う特許出願Bを特許出願Aの 11 月後にした。他方、乙は、自ら発明イをし、特許請求の範囲に発明イを記載した特許出願Cを特許出願Aの6月後にした。その後、特許出願Aは取り下げたものとみなされ、特許出願Bは出願公開された。この場合、特許出願Cの発明イについては、特許出願Bの明細書に記載された発明と同一であることを理由として、特許法第 29 条の2の規定による拒絶理由を有する。

3 甲は、発明イをし、発明イを明細書に記載した特許出願Aをした。その後、乙は、自ら発明イをし、特許請求の範囲に発明イを記載した特許出願Bをした。その後、特許出願Aは出願公開され、出願審査の請求がされたが、特許出願Aについて拒絶をすべき旨の査定が確定した。この場合、特許出願Bの発明イについては、特許出願Aの明細書に記載された発明と同一であることを理由として、特許法第 29 条の2の規定による拒絶理由を有することはない。

4 甲は、発明イをし、発明イを外国語で記載した明細書を含む特許協力条約に基づく国際出願Aをした。国際出願Aは、後日国際公開がされ、また、指定国に日本国を含むものであったが、甲は、適式に明細書の日本語による翻訳文を提出しなかったため、特許出願とみなされた国際出願A(国際特許出願A)は最終的に取り下げられたものとみなされた。一方、乙は、自ら発明イをし、特許請求の範囲に発明イを記載した特許出願Bを、国際出願Aの国際出願日よりも後であって国際公開の日よりも前の日に行った。この場合、特許出願Bの発明イについては、国際出願日における国際出願Aの明細書に記載された発明と同一であることを理由として、特許法第 29 条の2の規定による拒絶理由を有する。

5 甲は、自ら発明イをし、明細書及び特許請求の範囲に発明イを記載した特許出願Aをしようとしたが、明細書が添付されていなかったため、特許庁長官からの通知を受けて適式に手続補完書を提出した。一方、乙は、自ら発明イをし、特許請求の範囲に発明イを記載した特許出願Bを、甲が特許出願Aの願書を提出した日よりも後であって手続補完書を提出した日よりも前の日に行った。この場合、特許出願Bの発明イについては、特許出願Aの明細書に記載された発明と同一であることを理由として又は特許出願Aに係る発明と同一であることを理由として、それぞれ特許法第 29 条の2の規定又は特許法第 39 条の規定による拒絶理由を有することはない。

正解は「5」

(1)× 上位概念の発明であっても29条の2の適用を受ける。

(2)× 29条の2の適用については、優先権主張を伴う出願(B)が公開されたときに、先の出願(A)が公開されたものとみなされる(41条3項)。よって、CはAに記載された発明と同一であることを理由として拒絶される

(3)× Aは拒絶される前に公開されているため、Bは29条の2の規定により拒絶される。

(4)× 外国語特許出願については、国際公開がなされていても日本語の翻訳文を提出せずに取下げ擬制となった場合は国内公表がなされない(特184条の9第1項)ので、その発明を理由に拒絶されない

(5)〇 

 

【特許・実用新案】18

特許法に規定する願書に添付した明細書、特許請求の範囲、図面又は要約書の補正に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。
ただし、特に文中に示した場合を除いて、特許出願は、外国語書面出願、国際出願に係る特許出願、特許出願の分割に係る新たな特許出願、出願の変更に係る特許出願又は実用新案登録に基づく特許出願ではなく、取下げ、放棄又は却下されておらず、査定又は審決が確定しておらず、いかなる補正もされておらず、いかなる優先権の主張も伴わないものとし、文中に記載した優先権の主張は取り下げられていないものとする。また、以下において、「最初の拒絶理由通知」とは、特許法第 17 条の2第1項第1号に規定する「最初に受けた」拒絶理由の通知をいい、「最後の拒絶理由通知」とは、同項第3号に規定する「最後に受けた」拒絶理由の通知をいうものとする。

(イ) 特許出願の分割に係る新たな特許出願について最初の拒絶理由通知と併せて特許法第 50 条の2の規定による通知を受けた場合、特許請求の範囲についてする補正は、請求項の削除を目的とするもののみに限られる。

(ロ) 最後の拒絶理由通知において指定された期間内に特許請求の範囲についてする補正が特許請求の範囲の減縮を目的とする場合、特許法第 36 条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野が同一であれば、解決しようとする課題が同一でなくとも、当該補正をすることができる。

(ハ) 最後の拒絶理由通知において指定された期間内に特許請求の範囲についてする補正が特許請求の範囲の減縮を目的とする場合、その補正の要件となる産業上の利用分野の同一には、技術分野が密接に関連する場合が含まれる。

(ニ) 最後の拒絶理由通知において指定された期間内に特許請求の範囲についてする補正が誤記の訂正のみを目的とする場合、さらに補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければ当該補正をすることができない。

(ホ) 特許出願人は、経済産業省令で定める期間を除き願書に添付した要約書について補正をすることができない。

1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし

正解は「3」

(イ)× 請求の範囲の減縮、誤記訂正、明瞭でない記載の釈明を目的とした補正も可能(特17条の2第5項)

(ロ)× 産業場の利用分野及び解決しようとする課題が同一でなければならない(特17条の2第5項2号)

(ハ)〇 青本_17条の2_字句の解釈5

(ニ)× 請求の範囲の減縮を目的とする補正について、独立特許要件が課される(特17条の2第6項)。誤記の補正であれば、独立特許要件は課されない。なお、訂正審判の場合は誤記訂正でも独立特許要件が課される点に注意(特126条7項)

(ホ)〇 要約書の訂正期間は出願から1年4月(特17条の3、特施行規則11条の2の2)

 

【特許・実用新案】19

特許出願の審査、出願公開に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。
ただし、以下において、「最初の拒絶理由通知」とは、特許法第 17 条の2第1項第1号に規定する「最初に受けた」拒絶理由の通知をいい、「最後の拒絶理由通知」とは、同項第3号に規定する「最後に受けた」拒絶理由の通知をいうものとする。

(イ) 弁理士乙は、特許出願Aに関する特許庁における手続についての代理をしている。この場合、弁理士乙の大学時代からの親友である審査官甲は、特許出願Aの審査の職務の執行から除斥される。

(ロ) 審査官は、特許出願人でない者から出願審査の請求があったときは、その旨を特許出願人に通知しなければならない。

(ハ) 特許出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない理由のうち、特許無効審判を請求することができる理由ではないものには、特許法第 37 条(発明の単一性)及び特許法第 17 条の2第4項(補正の要件)に規定される要件を満たしていないときが含まれる。

(ニ) 特許出願Aの出願人甲は、特許出願Aの審査において、最後の拒絶理由通知を受けた後、特許請求の範囲について補正イをした。しかし、審査官は、補正イに係る補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、最初の拒絶理由通知及び最後の拒絶理由通知の理由と異なる理由aにより特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないとして、補正イの却下の決定をするとともに、拒絶をすべき旨の査定をした。その後、甲は、特許出願Aの一部を分割して新たな特許出願Bとしたが、特許出願Bは、特許出願Aの補正の却下の基礎となる理由aと実質的に同一の拒絶の理由により直ちに特許を受けることができないものであった。この場合、特許出願Bの審査において、審査官は、拒絶理由の通知と併せて、特許法第 50 条の2の規定による通知をしなければならない。

(ホ) 特許出願Aの特許出願人甲は、第三者である乙に対し、出願公開があった後に特許出願Aに係る発明イの内容を記載した書面を提示して警告をした。警告後、甲は、特許出願Aの出願審査の請求をし、特許請求の範囲に記載された発明イを発明ロに補正をし、特許をすべき旨の査定を受け、特許権の設定の登録をした。乙が警告を受けた後、特許権の設定の登録前に業として発明ロを実施した場合に、乙に対し特許法第 65 条第1項に規定される補償金の支払を請求するために、甲は、出願公開後の警告に加え、補正後の発明ロに基づいて再度警告することが必要となる場合がある。

1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし

正解は「2」

(イ)× 親友であっても直接の利害関係を有しない限り除斥の対象とならない(特139条8号)

(ロ)× 審査官ではなく特許庁長官が通知する(特48条の5第2項)

(ハ)〇 特49条、特許123条

(ニ)× AとBの拒絶理由について、根拠となる条文が同一で、その具体的な内容が実質的に同一であることを要する(審査基準第VI部1章2節2.2)

(ホ)〇 特許請求の範囲を減縮する補正であって、乙の侵害行為が補正前後の技術的範囲に属している場合は、再警告をする必要がない(アースベルト事件)。よって、再警告が必要となる場合はある。

 

【特許・実用新案】20

特許要件又は特許出願に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
ただし、特に文中に示した場合を除いて、特許出願は、外国語書面出願、国際出願に係る特許出願、特許出願の分割に係る新たな特許出願、出願の変更に係る特許出願又は実用新案登録に基づく特許出願ではなく、取下げ、放棄又は却下されておらず、査定又は審決が確定しておらず、設定の登録がされておらず、いかなる補正もされておらず、いかなる優先権の主張も伴わないものとする。

1 甲は、発明イをし、令和4年3月 22 日 15 時 30 分に、発明イについて特許出願Aをした。乙は、同一の発明イについて自ら発明をして、同日 10 時 30 分に特許出願Bをし、同日 14 時 30 分にテレビの生放送番組においてその発明の内容をすべて説明した。この場合、甲の特許出願Aは、乙の発明イが、特許法第 29 条第1項第3号に掲げられた電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明となることにより、拒絶の理由を有する。また、乙の特許出願Bが、先願とはならないため、特許法第 39 条第1項の規定により拒絶の理由を有することにはならない。

2 甲は、発明イをし、令和2年 12 月 10 日に、発明イについてインターネットを通じて公開し、令和3年3月 22 日に、発明イについて特許出願Aをし、同時に新規性の喪失の例外の規定の適用を受けようとする旨を記載した書面を特許庁長官に提出し、その出願の日から 30 日以内に、発明イが新規性の喪失の例外の規定の適用を受けることができる発明であることを証明する書面を特許庁長官に提出し、その後甲の特許出願Aは、出願公開された。乙は、同一の発明イについて自ら発明をして、令和3年2月 15 日に特許出願Bをし、その後、乙の特許出願Bは、出願公開された。この場合、発明イについて、甲の特許出願Aは乙の特許出願Bによる拒絶の理由を有しない。また、乙の特許出願Bはインターネットを通じて公開された発明イによる拒絶の理由を有する。

3 学会で発表した発明に関連して特許出願をする場合、当該特許出願について新規性の喪失の例外の規定の適用を受けることができるのは、発表した当該発明と同じ発明を出願した場合に限られるから、当該適用を受けたとしても、当該特許出願に係る発明は、発表した当該発明に基づく特許法第 29 条第2項の規定の拒絶の理由を有する場合がある。

4 甲は、令和3年3月 22 日に発明イについて外国語書面出願Aをし、令和3年 10 月 20日に発明ロについて外国語書面出願Bをし、令和4年3月 18 日に、発明イ及びロに基づく国内優先権の主張をして、発明イ、ロ及びハを含む外国語書面出願Cをした。この場合、甲は、外国語書面出願Bの特許出願の日から1年4月以内に、外国語書面出願Cについての外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。

5 甲がした外国語書面出願Aが、所定の期間内に外国語書面の翻訳文の提出がなかったことにより取り下げられたものとみなされたとしても、故意に当該翻訳文を提出しなかったと認められる場合でなければ、翻訳文を提出することができるときがある。

正解は「5」

(1)× テレビ放送であるため特29条1項1号で拒絶。3号は双方向での送信が必要となる。

(2)× 新規性喪失の例外の適用を受けたとしても、特許出願Aは特許出願Bの後願となるため特39条1項で拒絶される

(3)× 平成11年の改正により、発表した発明と相違する発明を出願をした場合でも、新規性喪失の例外の適用を受けられるようになった(青本_特30条)

(4)× Aの出願日から1年4月以内にCの翻訳文を提出しなければならない(特36条の2第2項)

(5)〇 特36条の2第6項

 

意匠

【意匠】1

意匠法第2条に規定する画像の意匠の意匠登録出願に関し、次のうち、正しいものは、いくつあるか。

(イ) 画像の意匠に係る意匠登録出願について、意匠法第3条第1項第1号の日本国内において公然知られた画像の意匠は、機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限られない。

(ロ) 画像の意匠に係る意匠登録出願について、意匠法第3条第2項の拒絶理由として引用される日本国内において公然知られた画像は、機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限られない。

(ハ) 意匠登録出願に係る画像の意匠が、画像の用途にとって不可欠な表示のみからなる意匠である場合は、意匠登録を受けることができない。

(ニ) 意匠登録出願に際して、意匠に係る画像が、その画像の有する機能に基づいて変化する場合において、その変化の前後にわたる画像について意匠登録を受けようとするときは、その旨及びその画像の当該機能の説明を願書に記載しなければならない。

(ホ) 画像の部分は組物の意匠を構成する場合がある。

1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし

正解は「4」

(イ)× 画像の意匠については機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限られる(意2条1項)

(ロ)〇 青本_意3条_字句の解釈5

(ハ)〇 意5条3項

(ニ)〇 意6条4項

(ホ)〇 令和元年の改正により、意2条1項のカッコ書から意8条を除く旨の記載が削除され、組物の意匠についても、部分意匠が認められることとなった(青本_意2条)

 

【意匠】2

意匠法に関して、次のうち、正しいものは、どれか。
ただし、各設問で言及した条件のみに基づいて判断し、他の条件は考慮しないこととする。すなわち、文中に記載した場合を除いては、各出願は、関連意匠、分割又は変更に係るものでも、冒認の出願でも、補正後の意匠についての新出願でもなく、かつ、放棄、取下げ又は却下されておらず、査定又は審決が確定しておらず、いかなる補正も名義変更もされていないものとする。また、文中に記載した優先権の主張は有効なものとし、文中に記載した場合を除いては、優先権の主張は存在せず、ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく特例を考慮しないものとする。

1 令和5年5月1日に、甲は「スマートフォン」に係る意匠イについての意匠登録出願Aをした。意匠登録出願Aの願書に添付した図面のうち「使用状態を示す参考図」に「スマートフォン」の意匠イと「スマートフォンホルダー」の意匠ロとが表されていたが、他の図面には意匠イのみが表されていた。令和5年7月1日に、甲は意匠ロに類似する「スマートフォンホルダー」の意匠ハを展示会に出品することで公知にした。令和5年8月1日に、甲は「スマートフォンホルダー」の意匠ロについて意匠登録出願Bをした。この場合、出願Bは、意匠ハについて意匠法第4条第2項の適用を受けなくても、意匠ハの存在によって拒絶されない場合がある。

2 令和3年1月1日に甲は意匠イについて意匠登録出願Aをして、その後登録を受けた。令和5年4月1日に、甲は意匠イに類似する意匠ロを展示会に出品することで公知とした。令和5年5月1日に、甲は意匠ハについて意匠登録出願Bをした。このとき、出願Bを、意匠イを本意匠とする関連意匠の出願とすれば、出願Bは意匠ロによって拒絶されることはない。なお、意匠イと意匠ハは類似し、また、意匠ロと意匠ハは類似する。

3 令和5年4月1日に、甲は展示会に出品することで意匠イを公知とした。令和5年5月1日に、甲は意匠イと非類似の意匠ロについて意匠登録出願Aをした。この場合、出願Aは、公知となった意匠イに基づき拒絶される場合はない。

4 令和5年4月1日に、甲は展示会に出品することで意匠イを公知とした。令和5年5月1日に、甲は意匠イに類似する意匠ロについて意匠登録出願Aをした。甲は、意匠法第4条第3項に規定される「意匠法第4条第2項の適用を受けようとする旨を記載した書面」を、甲の責めに帰することができない理由により、出願Aと同時に特許庁長官に提出することができなかった。その理由がなくなった令和5年5月 10 日に、甲は、同書面を特許庁長官に提出すれば、意匠イについて意匠法第4条第2項の適用を受けることができる。

5 令和5年1月1日に甲は意匠イが図面に表された実用新案登録出願Aをし、その後登録を受けた。令和5年4月1日に、出願Aについて、意匠イが記載された実用新案公報(実用新案法第 14 条第3項)が発行された。令和5年5月1日に、甲は、意匠イに類似する意匠ロについて意匠登録出願Bをするに際し、意匠イについて意匠法第4条2項の規定の適用を受けようとするための手続を行うことにより、意匠ロについて拒絶されない場合がある。

正解は「2」

(1)× イとロは物品が異なる(=非類似)であるため、関連意匠とすることはできない。 

(2)〇 関連意匠の出願であれば、類似の意匠が公知となっていても、意10条2項により登録を受けることができる。

(3)× 意3条2項に基づいて拒絶となる可能性がある

(4)× 意4条4項の適用を受けることができるのは「証明書」であって、「意4条2項の適用を受けようとする旨の書面」については、適用を受けることができない

(5)× 公報掲載されたものについては意4条2項の適用を受けられない

 

【意匠】3

意匠法におけるハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく特例に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。

1 日本国を指定締約国とする2以上の意匠を含む国際出願であって、その国際出願に係る国際登録について国際公表がされたものは、国際登録の日に国際登録の対象である意匠ごとにされた意匠登録出願とみなされる。

2 国際意匠登録出願に係る国際登録簿に記録された事項のうち、国際登録の対象である意匠を構成する製品が画像である場合には、当該意匠を構成する製品についての事項は、その事項から当該画像の用途を認識することができるときに限り、意匠法第6条第1項の規定により提出した願書に記載された「意匠に係る画像の用途」とみなされる。

3 国際意匠登録出願について、意匠の説明に関する手続補正書を日本国特許庁に提出するときは、当該意匠の説明の記載は、経済産業省令で定めるとおり英語でしなければならない。

4 パリ条約による優先権の主張の手続における優先権書類に関する注意喚起のための通知及び書類等の提出についての救済措置である特許法第 43 条第6項及び第7項の規定は、ジュネーブ改正協定の規定による優先権の主張をした者についても準用される。

5 パリ条約の例による優先権主張についての救済措置である特許法第 43 条の2の規定は、国際意匠登録出願についても準用される。

正解は「5」

(1)〇 意60条の6第1項,2項

(2)〇 意60条の6第3項

(3)〇 意施行規則2条の5

(4)〇 意60条の10第2項

(5)× 国際意匠登録出願には特43条の2は準用されない

 

【意匠】4

甲は、秘密にすることを請求した意匠イの意匠権者である。甲は、意匠イの設定登録後、意匠イに係る物品を製造し販売している。これに対し、乙は、意匠イの設定登録後、意匠イの秘密期間中に、意匠イと類似する意匠ロに係る物品を製造し販売している。以上の事案において、甲が秘密期間中に乙に対し意匠イに係る意匠権侵害に基づく損害賠償請求をする場合の説明として、正しいものはどれか。

1 甲が乙に対し、意匠法第 37 条第1項に規定される差止請求を行わずに損害賠償請求のみ行う場合であっても、その意匠に関し意匠法第 20 条第3項各号に掲げる事項を記載した書面であって特許庁長官の証明を受けたものを事前に乙に提示して警告することが、意匠法上の要件になっている。

2 甲が自らに生じた損害額として意匠法第 39 条第1項に基づき計算した場合、甲が乙による侵害行為がなければ販売することができた物品の単位数量当たりの利益の額に、乙が販売した物品の数量を乗じた額が甲の受けた損害額であると推定され、甲の意匠イの実施能力が損害額の算定において考慮されることはない。

3 甲が自らに生じた損害額として意匠法第 39 条第2項に基づき計算した場合、意匠ロに係る物品の販売総額が甲の受けた損害額であると推定される。

4 甲が乙に対し、意匠ロの実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額を超える損害の賠償を請求する場合、乙に故意又は重大な過失がなかったときは、裁判所は損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。

5 甲が乙に対し損害賠償請求をする場合、甲の意匠権を侵害した行為について乙の過失が推定される。

正解は「4」

(1)× そもそも損害賠償請求なら警告の必要がない。差し止めに必要(意37条3項)

(2)× 意39条1項は推定ではない。2項が推定規定。

(3)× 物品の販売総額ではなく、利益額(意39条2項)

(4)〇 意39条5項

(5)× 秘密期間中の侵害行為については過失推定されない(意40条)

 

【意匠】5

意匠権の専用実施権及び通常実施権に関し、次のうち、誤っているものはどれか。

1 通常実施権は、その発生後にその意匠権についての専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する。

2 意匠権者は、自己の登録意匠に類似する意匠について、通常実施権を許諾することができる。

3 登録意匠イの意匠権者である甲は、登録意匠イについて、実施の範囲や地域に制限を設けずに、乙に専用実施権を設定した場合、丙による登録意匠イの意匠権の侵害行為に対して、差止請求権を行使することができる。

4 登録意匠イの意匠権者である甲が、登録意匠イについて、乙に対し「販売地域:G県」とする専用実施権を既に設定している場合、乙以外の第三者に対し「販売地域:G県及びH県」として、登録意匠イについて専用実施権を設定することはできない。

5 基礎意匠又は関連意匠の意匠権についての通常実施権は、基礎意匠及び全ての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる。

正解は「5」

(1)〇 意28条3項で準用する特99条 

(2)〇 意匠権者は、業として登録意匠およびこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する(意23条)

(3)〇 意匠権者は、専用実施権を設定した範囲についても、差止請求権を行使することができる(リガンド分子事件)

(4)〇 意23条のただし書にて、専用実施権を設定した範囲については、この限りではないとされている

(5)× 専用実施権については、全ての関連意匠に対して同時に設定する場合に限り設定できる(意27条3項)。問題文の主語は通常実施権だから×

 

【意匠】6

意匠法上の再審制度に関し、次のうち、正しいものはどれか。

1 拒絶査定不服審判や無効審判の確定審決は再審の対象になるが、再審の確定審決に対して改めて再審の請求をすることはできない。

2 無効審判において、請求人及び被請求人が共謀して専用実施権者の権利又は利益を害する目的をもって無効審決をさせた場合であっても、専用実施権者は当該無効審判の確定審決に対し再審の請求をすることはできない。

3 無効にした意匠登録に係る意匠権が再審により回復したときは、当該無効審決が確定した後再審の請求の登録前に、善意に日本国内において当該意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしている者は、その実施をしている意匠及び事業の目的の範囲内において、その意匠権について通常実施権を有する。

4 再審の審理においては、当事者が申し立てていない再審の請求の理由を職権で審理することが許されている。

5 登録されている意匠について「登録意匠に類似する意匠がインターネットに掲載されている」という理由に基づいて新規性違反があるとして無効審判を申し立てた。この無効審判において、請求人は「登録意匠に類似する意匠が雑誌に掲載されている」という理由に基づいても新規性違反があるのではないかと思料したが、結局は「登録意匠に類似する意匠がインターネットに掲載されている」という理由のみ主張し、請求不成立審決が下され、その審決が確定した。このとき、請求人は、「登録意匠に類似する意匠が雑誌に掲載されている」という理由に基づいて新規性違反があるとして再審を申し立てることができる。

正解は「3」

(1)× そんな規定はない

(2)× 意54条1項

(3)〇 意56条

(4)× 職権審理は準用されていない

(5)× 意53条2項で準用する民訴338条1項にて、知りながら主張しなかったときは不服を申し立てることができない旨が規定されている

 

【意匠】7

意匠法に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
ただし、各設問で言及した条件のみに基づいて判断し、他の条件は考慮しないこととする。すなわち、文中に記載した場合を除いては、各出願は、関連意匠、分割又は変更に係るものでも、冒認の出願でも、補正後の意匠についての新出願でもなく、かつ、放棄、取下げ又は却下されておらず、査定又は審決が確定しておらず、いかなる補正も名義変更もされていないものとする。また、文中に記載した優先権の主張は有効なものとし、文中に記載した場合を除いては、優先権の主張は存在せず、ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく特例を考慮しないものとする。

1 甲は、令和5年3月1日にパリ条約の同盟国に正規かつ最先の実用新案登録出願Aを行い、出願Aに基づく優先権を主張して令和5年 10 月1日に日本国に実用新案登録出願Bをした。甲が実用新案登録出願Bを意匠登録出願Cに変更した場合、出願Cにおいて優先権主張の効果が認められる。

2 互いに類似する意匠イと意匠ロについて、意匠イに係る意匠登録出願と意匠ロに係る意匠登録出願が同日にあった場合、これらの出願は、出願人の異同にかかわらず意匠法に規定される協議の対象となる。

3 互いに類似する意匠イと意匠ロについて同日にそれぞれ意匠登録出願がされ、意匠イに係る出願A及び意匠ロに係る出願Bについて協議不成立により拒絶の査定が確定した。出願Aと出願Bの協議不成立による意匠公報に関し、出願時に意匠ロのみに2年の期間を指定して秘密意匠の請求がされていた場合、出願Bのみについて、当該2年の経過後に意匠ロの内容が意匠公報に掲載される。

4 意匠登録出願人は、意匠登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合、2以上の意匠を包含する意匠登録出願の一部を1又は2以上の新たな意匠登録出願とすることができる。

5 国際登録を基礎とした意匠権に質権が設定されているときは、その意匠権を有する者は、質権者の承諾を得ることなくその意匠権を放棄することができない。

正解は「2」

(1)× 意匠の優先期間は6ヶ月(パリ4条C(1))

(2)〇 類似の意匠も協議命令の対象となる(意9条2,4項)

(3)× 秘密請求のない出願Aも出願Bと同時に公報掲載される(意66条3項)

(4)× 訴訟係属中に分割できるのは商標。意匠はダメ

(5)× 国際意匠登録出願については専用実施権者や商標権者がいても承諾なしで放棄できる(意60条の17第2項)

 

【意匠】8

意匠の審判制度に関し、次のうち、正しいものは、いくつあるか。

(イ) 拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があった日から 30 日以内に限り拒絶査定不服審判を請求することができる。

(ロ) 補正却下決定不服審判を請求する者がその責めに帰することができない理由により意匠法第 47 条第1項に規定する期間内にその請求をすることができない場合には、その理由がなくなった日から 14 日以内(在外者にあっては、2月)でその期間の経過後6月以内であればその請求を行うことができる。

(ハ) 不適法な無効審判の請求については、いかなる場合であっても、被請求人に答弁書を提出する機会を与えないで、審決をもってこれを却下することができない。

(ニ) 意匠登録無効審判は、意匠権の消滅後には請求することができない。

(ホ) 意匠登録は、意匠登録無効審判以外の方法により、無効にできる場合がある。

1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし

正解は「1」

(イ)× 拒絶査定不服審判の請求期間は「30日以内」ではなく「3月以内」

(ロ)〇 (意47条2項で準用する意46用2項)

(ハ)× 135条の条文通り。審判請求以外の手続きなら「決定をもって却下」だから〇(意56条1項で準用する特133条の2第1項)

(ニ)× 後発的無効理由で無効になった場合は「該当するに至った時」から存在しなかったものとみなされる(意49条)。こういったケースでは、無効審判で遡及消滅させる意義がある。

 

【意匠】9

関連意匠制度に関し、次のうち、正しいものは、どれか。なお、意匠イと意匠ロは類似し、意匠ロと意匠ハは類似し、意匠イと意匠ハは類似しない。
ただし、各設問で言及した条件のみに基づいて判断し、他の条件は考慮しないこととする。すなわち、文中に記載した場合を除いては、各出願は、関連意匠、分割又は変更に係るものでも、冒認の出願でも、補正後の意匠についての新出願でもなく、かつ、放棄、取下げ又は却下されておらず、査定又は審決が確定しておらず、いかなる補正も名義変更もされていないものとする。また、文中に記載した優先権の主張は有効なものとし、文中に記載した場合を除いては、優先権の主張は存在せず、ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく特例を考慮しないものとする。

1 パリ条約の同盟国へ正規かつ最先の出願をし、その出願に係る意匠を基礎意匠とした場合、その関連意匠及びその関連意匠に連鎖する段階的な関連意匠の意匠権の存続期間は、当該基礎意匠の第一国の出願日から 25 年をもって終了する。

2 甲は本意匠イに係る出願が設定登録された後、意匠ロをその関連意匠として出願した。意匠ロの意匠権の設定登録の際に、本意匠イに係る意匠権が放棄されていた。このとき、甲は、意匠ロについて、意匠イの関連意匠として意匠登録を受けることはできない。

3 甲の基礎意匠イの意匠権Aと意匠イを本意匠とする関連意匠ロの意匠権Bのうち、意匠ロの意匠権Bは冒認出願に係るものであった。基礎意匠イの意匠権Aが正当な理由なく登録料を追納できる期間内に納付しなかったことにより消滅した。このとき、意匠ロについて意匠登録を受ける権利を有する真の権利者である乙は、意匠権Aを無効にすることなく、甲に対し、意匠ロの意匠権Bの移転を請求することができる。

4 意匠イと意匠ハが類似しない場合であっても、甲の先願に係る意匠イの類似範囲に意匠ハの類似範囲の一部が重なる場合、甲は、意匠ハについて、意匠イを本意匠とする関連意匠として意匠登録できる場合がある。

5 甲は、意匠イについて、令和5年3月1日に第一国としてパリ条約の同盟国に意匠登録出願をし、その出願に基づく優先権の主張を伴って令和5年8月 15 日に日本に出願して意匠登録を受けた。その後、甲は、意匠ロについて、令和 15 年5月 10 日に第一国としてパリ条約の同盟国に意匠登録出願をし、その出願に基づく優先権の主張を伴って、令和 15 年7月1日に日本に意匠イを本意匠とする関連意匠として意匠ロを出願した。他の登録要件を具備する場合、意匠ロは意匠イを本意匠とする関連意匠として意匠登録を受けることができる。

正解は「2」

(1)× 優先権の有無で存続期間の違いを設けてはいけない(パリ4条の2(2)) 

(2)〇 設定登録の際に本登録が放棄されていたらダメ(意10条1項)

(3)× 遡及消滅であれば移転できるが、不能だとダメ(意26条の2第2項)

(4)× 類似していないとダメ。もし意匠ロを関連意匠として登録していれば、それを本意匠とみなして、意匠ハを登録できる(意10条4項)

(5)× パリ条約の基礎となる意匠イから10年以上経過しているからダメ

 

【意匠】10

秘密意匠に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
ただし、特に文中に示した場合を除き、意匠登録出願は、いかなる優先権の主張も伴わず、秘密意匠に係るものでも、分割又は変更に係るものでも、補正後の意匠についての新出願でも、冒認の出願でもなく、かつ、放棄、取下げ又は却下されておらず、査定又は審決が確定しておらず、いかなる補正もされていないものとし、また、名義変更、秘密にする期間の変更は行わないものとし、ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく特例を考慮しないものとする。さらに、意匠権は存続しているものとする。また、明記した以外の出願は、本意匠、関連意匠の出願ではない。

1 意匠登録出願人は、出願と同時でなければ、その出願に係る意匠を秘密にすることを請求できない。

2 本意匠の意匠登録出願について秘密にすることを請求したときは、同日になされた関連意匠の意匠登録出願についても秘密にすることを請求したものとみなされる。

3 意匠権の設定登録後は、秘密にすることを請求した期間を延長することを請求することはできない。

4 先の出願に係る意匠について秘密にすることを請求しているとき、当該出願が設定登録された後に発行される意匠公報の発行の日から秘密期間終了後に発行される意匠公報の発行の日前までに、当該出願に係る意匠の一部と類似の意匠について出願された後願は、同一出願人による出願であっても、意匠法第3条の2の規定により拒絶される。

5 特許庁長官は、秘密にすることを請求した意匠に関する訴訟の参加人から請求があった場合、意匠権者の承諾を得られなければ、その意匠を当該参加人に示すことができない。

正解は「4」

(1)× 一年分の登録料の納付と同時でも請求できる(意14条2項)

(2)× そんな規定なし

(3)× 秘密期間内であれば延長できる

(4)〇 秘密請求をした場合でも、設定登録の公報発行の日後は同一人であっても「意3条の2」が適応されてしまう

(5)× 「意14条4項2号」の条文通り

 

商標

【商標】1

指定商品を「ボールペン,消しゴム,マガジンラック,ハンドバッグ」とする登録商標イの使用に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。
ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

1 登録商標イの商標権者が、登録商標イと同一の商標を化粧水の容器に付して販売する行為は、登録商標の使用に該当しない。

2 登録商標イの商標権者以外の者であって外国にある者が、登録商標イと同一の商標を付したボールペンを日本国内で販売するために外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為は、登録商標の使用に該当する。

3 登録商標イの商標権者以外の者が、登録商標イと同一の標章を付したマガジンラックを、その者が業としてではなく個人で使用するために製作する行為は、登録商標の使用に該当しない。

4 登録商標イが文字、図形及び色彩を構成要素とする商標である場合に、登録商標イに類似する商標であって、色彩を登録商標イと同一にするものとすれば登録商標イと同一の商標であると認められるものを付した消しゴムを登録商標イの商標権者が製造し、販売する行為は、登録商標の使用に該当する。

5 登録商標イの商標権者以外の者が、登録商標イと同一の商標を付したハンドバッグを日本国内で販売するために自らの荷物として外国から日本国内に持ち込む行為は、登録商標の使用に該当する。

正解は「1」

(1)× 指定商品でない場合であっても、登録商標の「使用」には該当する

(2)〇 法改正で含まれることとなった(商2条7項)

(3)〇 個人で使用する場合は商標の定義に当てはまらない(商2条) 

(4)〇 普通に該当

(5)〇 自分で持ち込む行為はセーフと見せかけたひっかけ。販売するために持ち込む行為は「輸入」に該当

 

【商標】2

商標登録出願等の手続に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。
ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする

(イ) 商標登録を受けようとする商標が立体商標である場合、願書にその旨を記載しなければならないが、このような記載が必要となるのは、立体商標、動き商標、ホログラム商標、音商標及び位置商標の5つに限られない。

(ロ) 商標登録出願において、商標登録出願人の氏名の記載が商標登録出願人を特定できる程度には明確でない場合であっても、願書に商標登録を受けようとする旨の明確な表示があり、かつ、商標登録を受けようとする商標の記載及び指定商品又は指定役務の記載があるときは、特許庁長官は、当該願書を提出した日を商標登録出願の日として認定しなければならない。

(ハ) 願書に記載した商標登録を受けようとする商標についてした補正が要旨を変更するものと商標権の設定の登録があった後に認められたときは、その商標登録出願は、その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなされる。その結果、当初の商標登録出願の時と手続補正書を提出した時との間に、当該商標と同一又は類似の商標に係る他人の商標登録出願があった場合には、その商標登録は、商標登録の無効の審判により無効とされることがある。

(ニ) 防護標章登録出願を商標登録出願に変更することはできるが、商標登録出願を防護標章登録出願に変更することはできない。

(ホ) 特許庁長官は、商標登録出願に係る願書に記載した商標を商標公報に掲載することが公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると認めるときは、当該出願の出願公開をしない。

1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし

正解は「3」

(イ)〇 色彩の商標もある(商5条2項3号)

(ロ)×  出願人を特定できないとダメ(商5条の2第1項2号)

(ハ)〇 条文通り(商9条の4)

(ニ)×  商標→防護標章(商12条1項)

(ホ)×  商標&指定役務以外は公表される(商12条の2第2項)

 

【商標】3

商標法上の商標(商標法第2条第1項に規定する商標)に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

1 業として商品を加工する者がその商品について使用をする文字からなる標章は、商標法上の商標とは認められない。

2 色彩のみからなる標章は、2以上の色彩を組み合わせてなるものである場合に限り、商標法上の商標として認められる。

3 立体的形状からなる標章は、その立体的形状が「商品等表示」として不正競争防止法上の保護を受け得るものでなければ、商標法上の商標とは認められない。

4 色彩のみからなり、当該色彩及びそれを付する位置を特定した標章は、商標法上の商標として認められる。

5 音と時間の経過に伴って変化する文字との結合は、商標法上の商標として認められる。

正解は「4」

(1)〇 加工する者は含まれない(商2条1,2項

(2)× 2以上の色彩という条件は存在しない

(3)× 不競法の保護という条件は存在しない

(4)○ 色彩と位置の組み合わせは認められる

(5)× 音と映像の組み合わせは認められていない

 

【商標】4

商標権の設定登録、移転、消滅等に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。
ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

(イ) 地域団体商標に係る商標権は、移転することができる場合がある。
(ロ) 特許庁長官は、商標掲載公報の発行の日から2月間、特許庁において出願書類及びその附属物件を公衆の縦覧に供しなければならないが、個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがある書類について、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるもの以外のものを縦覧に供しようとするときは、当該書類を提出した者に対し、その旨及びその理由を通知しなければならない。

(ハ) 商標権の設定の登録があったときは、商標権者に対し商標登録証が交付されるが、商標登録証の交付を受けた者は、商標登録証の再交付を請求できる場合がある。

(ニ) 放棄による商標権の消滅は、商標公報に掲載されるが、存続期間の満了による商標権の消滅及び後期分割登録料の不納による商標権の消滅は、商標公報に掲載されない。

(ホ) 商標権者は、指定商品又は指定商品の包装に登録商標を付する場合は、その登録商標にその商標が登録商標である旨の表示(商標登録表示)を付するように努めなければならないが、登録商標に類似する商標(その登録商標に類似する商標であって、色彩を登録商標と同一にするものとすれば、登録商標と同一の商標であると認められるものを除く。)の使用をする場合は、その登録商標に類似する商標に商標登録表示を付する行為をしてはならない。

1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし

正解は「5」

(イ)〇 一般承継であれば移転可能(青本-商24条の2)

(ロ)〇 商18条5項

(ハ)〇 再交付は経産省令に定める(商71条の2第2号)

(ニ)〇 存続期間満了と登録料不納付は数が多いから掲載しない(商75条2項4号)

(ホ)〇 禁止権の範囲で使用する場合は商標登録表示をしてはいけない(青本-商73条)

 

【商標】5

商標法第3条に規定する商標の登録要件に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。
ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

1 商標登録出願に係る商標が、その指定商品又は指定役務の普通名称であっても、商標登録を受けることができる場合がある。

2 その商品の産地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標が商標登録を受けることができないのは、そのような商標は、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであり、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによる。

3 自己の業務に係る商品又は役務について「使用をする」とは、現在使用をしているもの及び使用をする意思があり、かつ、近い将来において信用の蓄積があるであろうと推定されるものの両方が含まれるが、この要件は商標登録出願時に備わっていなければならない。

4 「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない」とは、需要者がその商品又は役務が一定の出所から流出したものであることを一般的に認識することができないことをいい、必ずしも特定の者の業務に係るものであることを認識することができないことをいうものではない。

5 商標登録出願に係る商標と実際に使用をされている商標が、外観上一致しない場合であっても、当該商標登録出願に係る商標について、商標法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるときがある。

正解は「3」

(1)〇  普通名称を「普通に用いられる方法」でなければ登録を受けられる場合がある(商3条1項)

(2)〇 青本の記載通り(青本-商3条1項3号)

(3)× 商3条1項柱書の要件に該当するため、「査定審決時」に備わっていればよい

(4)〇 青本の記載通り(青本-商3条1項6号)

(5)〇 取引の実情を考慮して同一性を損なわなければok

 

【商標】6

商標の登録異議の申立てに関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。
ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

(イ) 登録異議申立制度は、過誤による商標登録を存続させておくことは本来権利として存在することができないものに排他的独占権の行使を認める結果となることの是正を趣旨としており、その商標登録を取り消すことについて利害関係を有する者に限り、登録異議の申立てをすることができるものである。

(ロ) 立体商標の商標登録出願に係る願書に記載された商標の詳細な説明が明確性に欠け、商標登録を受けようとする商標を特定するものでないとしても、商標登録をすべき旨の査定がされ、商標権の設定登録がされたものについては、それを理由として登録異議の申立てをすることはできない。

(ハ) 共有に係る商標権の商標権者の1人について、登録異議の申立てについての審理及び決定の手続の中断の原因がある場合でも、審判官とその他の共有者との間で手続が進められることから、その中断は、共有者全員についてその効力を生ずるものではない。

(ニ) 商標登録を取り消すべき旨の決定に対する訴えに係る事件について、東京高等裁判所が5人の裁判官の合議体で審理及び裁判をすることができる場合はない。

(ホ) 商標登録を維持すべき旨の決定に対しては、不服を申し立てることができないとされており、当該決定の確定後において、登録異議申立人がその登録異議の申立てと同一の事実及び同一の証拠に基づいて商標登録の無効の審判を請求することは、一事不再理効が及び許されない。

1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし

正解は「1」

(イ)× 何人も請求できる(商43条1項)

(ロ)× 拒絶理由であって異議理由でないものは6条1,2項のみ(商43条の2第1項)。商標の詳細な説明(商5条5項)違反は異議理由になる。

(ハ)× 権利者側に中断の原因がある場合は共有者全員に効力を生ずる(43条の6第3項)

(ニ)× 特許・実用新案であれば5人の裁判官でできる(108条)が、意匠・商標には準用されていない

(ホ)× 「異議申立」と「無効審判」の間に一事不再理効は働かない(商56条1項で準用する特167条)

 

【商標】7

商標法第4条第1項に規定する不登録事由等に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

1 商標登録出願に係る商標が、当該出願の時に、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものであっても、日本国内における需要者の間に広く認識されていない限り、商標登録を受けることができる。

2 他人の登録防護標章と同一の商標であって、その防護標章登録に係る指定商品又は指定役務に類似する指定商品又は指定役務について使用をするものについては、商標登録を受けることができる場合はない。

3 位置商標(構成要素として立体的形状又は色彩を含むものを除く。)が、商標法第3条第2項の規定により、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる商標と認められた場合、商品等が当然に備える特徴のうち政令で定めるもののみからなる商標(商標法第4条第1項第 18 号)に該当するときはない。

4 商標登録出願に係る商標が、当該出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標と外観、称呼、観念のいずれかにおいて類似する場合、商標登録を受けることができるときはない。

5 商標登録がされた後において、その登録商標が商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標になっていても、商標権の設定登録の日から5年を経過した後は、当該商標登録について、商標登録の無効の審判の請求をすることができない。

正解は「3」

(1)× 海外の需要者に認識されていれば商4条1項19号に該当

(2)× ”類似”であれば商4条1項12号に該当しない

(3)〇 位置商標であれば商4条1項18号に該当しない(商施行令1条)

(4)× 外観、観念、称呼の類似は、出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎない(氷山印事件)

(5)× 商47条1項に商4条1項16号は含まれない

 

【商標】8

商標の審判に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。
ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

(イ) 「A,B,C」を指定役務とする商標登録出願について、拒絶をすべき旨の査定を受けた者が、当該査定に対して審判を請求したときは、その請求人は、当該出願が当該審判に係属している場合、当該指定役務中「B,C」を削除する補正をすることができる。

(ロ) 商標権が移転された結果、同一の商品について使用をする類似の登録商標に係る商標権が異なった商標権者に属することとなった場合において、その一の登録商標に係る商標権者が、不正競争の目的で指定商品についての登録商標の使用であって他の登録商標の商標権者の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたときは、何人も、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができるが、当該審判においては、指定商品ごとに取消しを請求することは認められない。

(ハ) 一商標一出願の原則(商標法第6条第1項)に違反して商標登録がされたとしても、そのことを理由として、その商標登録を無効にすることについて審判を請求することはできない。

(ニ) 不使用による商標登録の取消しの審判(商標法第 50 条第1項)においては、被請求人が、登録商標の使用をしていることの挙証責任を負っている。

(ホ) パリ条約の同盟国において商標権に相当する権利を有する者は、日本国の登録商標が当該権利に係る商標と類似する商標であって、当該権利に係る商品と類似する商品を指定商品とするものであり、かつ、その商標登録出願が、正当な理由がないのに、当該権利を有する者の承諾を得ないで当該商標登録出願の日前1年以内にその代理人であった者によってされたものであるときは、商標権の設定の登録の日から5年経過後であっても、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。

1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし

正解は「4」

(イ)〇 審査、審理、審判、再審に係属していれば補正できる(商68条の40第1項)

(ロ)〇 商69条に商52条の2第1項は列挙されていない

(ハ)〇 商46条に商6条1項は列挙されていない 

(ニ)〇 被請求人が証明しない限り取消しを免れない(商50条2項) 

(ホ)× 登録日から5年を経過したら請求できない(商53条の3)

 

【商標】9

商標に関する訴訟及び商標権の効力等に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。
ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

1 商標登録出願人が、商標登録出願をした後に当該出願に係る内容を記載した書面を提示して警告をし、その警告後商標権の設定の登録前に当該出願に係る指定商品又は指定役務について当該出願に係る商標の使用をした者に対し、当該使用により生じた業務上の損失に相当する額の金銭の支払を請求する場合、当該警告の時期は、当該出願の出願公開後である必要はない。

2 商標法第 38 条の2においては、商標権侵害訴訟の終局判決が確定した後に、当該商標登録を取り消すべき旨の審決が確定したときは、当該訴訟の当事者であった者は、当該終局判決に対する再審の訴えにおいて、当該審決が確定したことを主張することができない旨規定されている。

3 商標権の効力は、当該商標権に係る指定商品に類似する商品の特徴を普通に用いられる方法で表示する商標には、及ばない。

4 商標権者からその商標権について通常使用権を許諾された通常使用権者は、当該通常使用権者の業務とともにする場合であっても、商標権者の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合のいずれかに該当しないと、当該通常使用権を移転することができない。

5 商標権侵害訴訟において、原告の商標登録につき、その登録商標が被告の業務に係る商品等を表示するものとして当該商標登録の出願時において需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって商標法第4条第1項第 10 号に該当することを理由とする商標登録の無効の審判が請求されないまま商標権の設定登録の日から5年を経過した後であっても、当該商標登録が不正競争の目的で受けたものであるか否かにかかわらず、被告は、当該理由により、被告に対する商標権の行使が権利の濫用に当たることを抗弁として主張することが許される。

正解は「2」

(1)〇 特許の場合は公開後の警告を要するが、商標は公開前の警告でもok(商13条の2第1項)

(2)× 商38条の2は、無効審決及び取消し決定を侵害訴訟の再審で主張できないことを規定している。取り消し審決(不使用取り消し審判or不正使用取り消し審判)あれば、遡及消滅しないため、そもそも再審事由とならない。

(3)〇 商26条1項2号

(4)〇 特実意なら「実施の事業とともに移転」があるけど、商標にはない。

(5)〇 商4条1項の無効理由を有するものの商47条により無効審判できなくなったとしても、その無効理由を根拠に民法1条3項の職権濫用の抗弁をすることが許される(エマックス事件)

 

【商標】10

マドリッド協定の議定書に基づく特例等に関し、次のうち、正しいものはどれか。

1 国際登録の名義人の変更は、国際登録が領域内で効力を有する締約国の一部についてすることはできるが、指定された商品及びサービスの一部についてすることはできない。

2 マドリッド協定の議定書第6条(4)に規定する、いわゆる「セントラルアタック」により国際登録が取り消された後の再出願に係る商標登録については、当該再出願の商標権の設定の登録の日から5年を経過するまでは、商標登録の無効の審判を常に請求することができる。

3 マドリッド協定の議定書の締結の主体となり得るのは、工業所有権の保護に関するパリ条約の当事国に限られる。

4 日本国を指定する領域指定に係る国際登録について、マドリッド協定の議定書第9条の2(ⅲ)に規定する商品及びサービスに関する限定をすることができるのは、当該領域指定に係る国際商標登録出願が商標法第 15 条の2又は商標法第 15 条の3の規定による拒絶理由の通知を受けた後に事件が審査、審判又は再審に係属している場合に限られる。

5 日本国における基礎登録に係る国際登録の名義人が、国際登録後に領域指定をする場合は、当該領域指定を特許庁長官にすることができる。

正解は「5」

(1)× 指定された商品及び役務ごとにすることができる(商68条の6第2項)

(2)× セントラルアタックで国際登録が消された時点で既に5年経過している場合は、再出願の商標権登録の日から5年を経過せずとも無効審判を請求できない(商68条の39)

(3)× 「パリ条約の当事国」ではなく「マドリッド協定の当事国」(青本-商68条の2)

(4)× 特許庁に対する手続であれば正解だが、指定商品及び役務は国際登録簿に記載される(国際事務局に対する手続である)ため×

(5)〇 日本に基礎登録がある場合は領域指定を特許庁長官にすることができる。

 

条約

【条約】1

特許協力条約に基づく国際出願に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

1 発明の単一性の要件の規定に従うことを条件として、従属請求の範囲の特徴がそれ自体で発明を構成すると認められる場合であっても、独立請求の範囲に記載されている発明の特定の態様について保護を求める相当の数の従属請求の範囲を同一の国際出願に包含させることが許される。

2 国際出願は、出願人がその国民であるか又は居住者である締約国の国内官庁又はその締約国のために行動する国内官庁に対してのみ行わなければならない。

3 受理官庁は、国際出願として提出される書類が、特許協力条約第 11 条(1)に掲げる要件を満たしていない、又は満たしていると思われないと認めた場合には、当該受理官庁は、出願人に対して必ず補充書の提出を求めなければならない。

4 国際出願に発明の名称の記載がない場合において、受理官庁が出願人に対し当該欠陥の補充をすることを求めた旨を国際調査機関に通知したときは、国際調査機関は、その欠陥が補充されるまで国際調査を中断する。

5 国際調査は、当該発明を分類することができる技術分野に属する技術についてのみではなく、類似の技術についても調査の対象とするが、類似の技術とすべきかの問題は、当該国際出願に明示的に記載されている特定の機能のみに照らして考慮する。

正解は「1」

(1)〇 PCT規則13.4

(2)× 国際事務局に対して出願できる(PCT規則19.1(a))

(3)× 引用に含めることができる(PCT規則20.3(a))

(4)× 取り下げられたものとみなす旨の通知を受領しない限り続行する(PCT規則37.1)

(5)× 「…特定の機能のみならず、当該発明の必然的かつ本質的な機能または用途であると思われるものに照らして考慮する」(PCT規則33.2(C))

 

【条約】2

特許協力条約に基づく国際出願に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

1 受理官庁は、出願人に対し、特許協力条約第 14 条(1)(b)の規定に基づく補充の求めの日から2月以内に、必要とされる補充書を提出するよう求め、かつ、意見を述べる機会を出願人に与えるが、この期間は延長されることはない。

2 出願人は、優先日から 16 月の期間又は、優先権の主張の補充若しくは優先権の主張の願書への追加により優先日について変更が生じる場合には、変更された優先日から 16月の期間のうちいずれか早く満了する期間内であれば、いかなる場合であっても、優先権の主張の補充又は追加をすることができる。

3 受理官庁又は、受理官庁が怠ったときは、国際事務局は、優先権の主張における表示がこれに対応する優先権書類に記載されている表示と合致しない場合において、国際出願日が当該優先期間の満了の日から2月以内であるときは、規則 26 の2.3(受理官庁による優先権の回復)の規定に従って優先権の回復のための請求の提出の可能性を出願人に通知する。

4 国際事務局及び国際調査機関は、国際出願の国際公開が行われる前には、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合を除いて、いかなる者又は当局に対しても、管轄国際調査機関への送付、指定官庁への国際出願の写しの送付及び指定官庁への国際出願に係る文書の送達をも含めて国際出願が知得されるようにしてはならない。

5 出願時における国際出願の開示の範囲を超えてする補正を指定国の国内法令が認めている場合には、特許協力条約第 19 条(2)の規定に従わないことは、当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない。

正解は「5」

(1)× 決定が行われたら延長できない(PCT規則26.2)

(2)× 早期の国際公開を請求した場合は16月経過する場合でも補充/追加できない可能性あり(PCT規則26.0の2.1(b))

(3)× 優先権の回復のための請求の提出の可能性を出願に通知するのは「PCT規則26.0の2.2(i)」の場合。問題文の「表示と合致しない場合」は「PCT規則26.0の2.2(iii)」に該当。

(4)× 管轄国際調査機関への送付、PCT13条の送付、PCT20条の送達についは適用しない(PCT30条(b))

(5)〇 PCT19条(3)

 

【条約】3

特許協力条約に基づく国際出願に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。

(イ) 出願人以外の国際予備審査の請求により、国際出願が国際予備審査の対象とされる場合がある。

(ロ) 国際予備審査に当たっては、請求の範囲に記載されている発明は、所定の基準日に当該技術分野の専門家にとって規則に定義する先行技術からみて自明のものではない場合には、進歩性を有するものとされるが、所定の基準日は、常に国際予備審査の対象である国際出願の国際出願日である。

(ハ) 国際予備審査に当たって、国際調査報告に列記されたすべての文献を考慮に入れる必要はない。

(ニ) 請求の範囲が国際調査報告の作成されていない発明に関する場合であって、そのため国際予備審査の対象とならないときは、国際予備審査報告にその旨を表示する。

(ホ) 締約国の選択が優先日から 19 月を経過する前に行われた場合には、特許協力条約第23 条の国内手続の繰延べの規定は、当該締約国については適用されず、当該締約国の国内官庁又は当該締約国のために行動する国内官庁は、優先日から 30 月の期間の満了前に、国際出願の審査及び他の処理を開始できる場合はない。

1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 5つ

正解は「1」

(イ)× 出願人じゃないと予備審査を請求できない(PCT31条(1)) 

(ロ)× 予備審査は優先日が基準となる。国際審査は出願日。

(ハ)× 列記する必要はないけど、考慮に入れないといけない(PCT33条(6))

(ニ)〇 PCT規則70.2(d)

(ホ)〇× 出願人の明示の請求があれば開始できる(PCT40(2))

 

【条約】4

特許協力条約に基づく国際出願に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。

1 国際予備審査機関は、国際出願の対象の全部又は一部が、動物の体の診断方法である場合でも、当該国際出願の全部又は一部について国際予備審査を行うことができる。

2 特許協力条約第 31 条(2)(b)の規定に基づいて行われた国際予備審査の請求については、総会は、いずれかの国内官庁にされた国際出願について管轄する国際予備審査機関を特定するに当たり、当該国内官庁が国際予備審査機関である場合には当該国内官庁を優先させ、当該国内官庁が国際予備審査機関でない場合には当該国内官庁が推薦する国際予備審査機関を優先させる。

3 国際予備審査機関は、国際出願の形式又は内容に特許協力条約又は規則に定める欠陥があると認めた場合、出願人にその旨を書面で通知し、この通知において、補正書を提出することを出願人に求めることがあるが、答弁書を提出することを出願人に求めることはない。

4 出願人は、国際予備審査機関と書面で連絡する権利を有するのみならず、口頭で国際予備審査機関と連絡する権利をも有する。

5 国際予備審査報告には、請求の範囲に記載されている発明がいずれかの国内法令により特許を受けることができる発明であるかどうか又は特許を受けることができる発明であると思われるかどうかの問題についてのいかなる陳述をも記載してはならない。

正解は「3」

(1)〇 動物の体の診断方法は審査を要しないとされている(PCT規則67.1)が、審査を行うことはできる

(2)〇 PCT規則59.2

(3)× 「答弁書及び適当な場合には補正書を提出することを出願人に求める(PCT規則66.2(c))」とあるため× 

(4)〇 PCT34条(2)

(5)〇 PCT35条

 

【条約】5

特許法に規定する国際特許出願に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

1 外国語特許出願については、出願人が要約の日本語による翻訳文を国内書面提出期間内に提出しない場合であって、補正命令に応答しなかったときは、特許庁長官が自ら翻訳文を作成しなければならない。

2 外国語特許出願については、特許協力条約第 34 条(2)(b)の規定に基づく補正をしたとき、国内処理基準時の属する日までに、当該補正書の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなかったときでも、特許法第 17 条の2第1項の規定による補正がされたものとみなされる場合がある。

3 在外者である国際特許出願の出願人は、当該出願の出願審査の請求をした後であっても、国内書面提出期間内であれば、特許管理人によらないで手続をすることができる。4 外国語特許出願については、所定の書面及び所定の翻訳文を提出し、かつ、納付すべき手数料を納付した後であって国内処理基準時を経過した後でなければ、仮専用実施権の登録を受けることができない。

5 発明の新規性喪失の例外の適用を受けようとする国際特許出願の出願人は、その旨を記載した書面及び新規性喪失の例外の適用を受けることができる発明であることを証明する書面を、国内処理基準時の属する日までに限り、特許庁長官に提出することができる。

正解は「4」

(1)× 要約書翻訳文の提出がない場合は特184条の5第2項の手続き補正がなされ(青本-特184条の4)、補正をしないときは却下(特183条の5第3項)。なお、明細書or請求の範囲の翻訳文の提出がない場合は特184条の4第3項でみなし取下げ。

(2)× 国際書面提出期間の経過後でも、故意でない場合は、提出できるようになった日から2月以内(1年を超えるときは、国際書面提出期間の経過後1年以内)であれば翻訳文を提出できる(特184条の4第4項、特施行規則38条の2第2項)が、提出せずに提出したものとみなされる規定はない。

(3)× 在外者は国際処理基準時まで特許管理人によらないで手続きできる(特184条の11第1項)。

(4)〇 特184条の12第の2

(5)× 国際処理基準時の属する日後30日以内まで提出できる(特184条の14)から×

 

【条約】6

意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。

1 国際出願において、意匠が平面的なものであり、かつ、公表の延期の請求がなされている場合には、意匠の複製物を含めることに代えて、所定の部数の意匠の見本を添付することができる。

2 国際出願は、国際事務局から、この改正協定及び規則の要件を満たしていないとして補正を求められた場合において、出願人が所定の期間内に求めに応じない場合には、締約国の指定を含まないものとみなされた場合を除き、放棄されたものとみなす。

3 国際出願が公表の延期の請求を含む場合において、第 11 条(6)の規定による手数料が所定の方法により支払われないときには、国際登録は、取り消され、及び公表されない。

4 国際登録について、指定締約国の官庁が当該国際登録の一部又は全部の効果を拒絶した場合、当該官庁は、国際事務局に対しその拒絶を通報した後、その一部又は全部についての拒絶を取り下げることができない。

5 指定締約国の領域において国際登録の効果が無効となった締約国の官庁は、その無効について知った場合には、その旨を国際事務局に通報する。

正解は「4」

(1)〇 ハーグ5条(1)(iii)

(2)〇 ハーグ8条(2)(a) 

(3)〇 公表手数料の支払いがなければ公表されない(ハーグ11条(6)(a))

(4)× 拒絶の通報はいつでも取り下げできる(ハーグ12条(4)) 

(5)〇× ハーグ15条(2)

 

【条約】7

パリ条約のストックホルム改正条約(以下「パリ条約」という。)に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。

(イ) 優先権は、発明の構成部分で当該優先権の主張に係るものが最初の出願において請求の範囲内のものとして記載されていないことを理由としては、最初の出願書類の全体により当該構成部分が明らかにされていない場合であっても、否認することができない。

(ロ) 同盟国の国民が各同盟国において出願した特許は、他の国(同盟国であるか否かを問わない。)において同一の発明について取得した特許から独立したものとするというパリ条約の規定は、優先期間中に出願された特許が、無効又は消滅の理由については、独立のものであるという意味に解釈しなければならないが、通常の存続期間についてまで、独立のものであるという意味に解釈する必要はない。

(ハ) 優先権の主張の基礎となる出願の日付及びその出願がされた同盟国の国名は、権限のある官庁が発行する刊行物(特に特許及びその明細書に関するもの)に掲載することを要しない。

(ニ) 各同盟国の国民が工業所有権を亨有するためには、保護が請求される国に住所又は営業所を有することが条件とされることはない。

(ホ) 優先権の期間の満了前に他の同盟国においてされた後の出願は、その間に行われた行為によって不利な取扱いを受けないものとし、また、当該行為は、第三者のいかなる権利又は使用の権能をも生じさせない。

1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 5つ

正解は「

(イ)× 最初の出願書類の全体により当該構成部分が明らかにされている場合に限る(パリ4条H)

(ロ)× 通常の存続期間についても独立のものであるという意味に解釈しなければならない(パリ4条の2(2))

(ハ)× 日付・国名は刊行物に掲載する(パリ4条D(2))

(ニ)〇 保護が請求される国に住所又は営業所を所有することが条件とされることはない(パリ2条(2))

(ホ)〇 パリ4条B

 

【条約】8

パリ条約のストックホルム改正条約に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

1 商標の所有者が1の同盟国において登録された際の形態における商標の識別性に影響を与えることなく構成部分に変更を加えてその商標を使用する場合、その商標の登録の効力は、失われ、また、その商標に対して与えられる保護は縮減される。

2 各同盟国は、特許、実用新案、意匠及び商標を公衆に知らせるための中央資料館を設置することを、要しない。

3 監督用及び証明用の公の記号及び印章の禁止に関する規定は、当該記号又は印章を含む商標が当該記号又は印章の用いられている商品と類似の商品について使用される場合には、適用されない。

4 産品の性質、製造方法、特徴、用途又は数量について公衆を誤らせるような取引上の表示及び主張は、不正競争行為として禁止されない。

5 各同盟国は、団体商標の保護について特別の条件を定めることができるものとし、また、公共の利益に反する団体商標についてその保護を拒絶することができる。

正解は「5」

(1)× 識別性に影響を与えず、商標の同一性を損なわない変更は、その変更を唯一の理由として登録を拒絶されることはない(パリ6条の5 2C(2)) 。その国の言語に変更する場合などがこのパターン

(2)× パリ12条(1)

(3)× 類似の範囲も適用される(パリ6条の3(1)(a)) 

(4)× パリ10条の2(3)

(5)〇 パリ7条の2(2)

 

【条約】9

知的所有権の貿易関連の側面に関する協定について述べた文章である。①~④の空欄に語句を入れたとき、空欄番号と語句の組合せとして、最も適切なものは、どれか。

加盟国は、( ① )により、繊維の意匠の保護を確保するための要件が、保護を求め又は取得する機会を不当に害しないことを確保する義務を履行することができる。
加盟国は、( ② )によって植物の品種の保護を定めなければならない。
加盟国は、( ③ )が輸入されるおそれがあると疑うに足りる正当な理由を有する権利者が、これらの物品の自由な流通への解放を税関当局が停止するよう、行政上又は司法上の権限のある当局に対し書面により申立てを提出することができる手続を採用しなければならない。
( ④ )が用いられている物品に関して、当該物品の自由な流通への解放が司法当局その他の独立した当局以外の権限のある当局による決定を根拠として税関当局によって停止された場合において、正当に権限を有する当局による暫定的な救済が与えられることなく期間が満了したときは、当該物品の所有者、輸入者又は荷受人は、侵害から権利者を保護するために十分な金額の担保の提供を条件として当該物品の解放についての権利を有する。

1 ①意匠法又は著作権法
②特許
③不正商標商品又は意匠権侵害物品
④商標又は意匠
2 ①意匠法又は特許法
②特許若しくは効果的な特別の制度又はこれらの組合せ
③不正商標商品又は意匠権侵害物品
④意匠、特許、回路配置又は開示されていない情報
3 ①意匠法又は著作権法
②特許若しくは効果的な特別の制度又はこれらの組合せ
③不正商標商品又は著作権侵害物品
④意匠、特許、回路配置又は開示されていない情報
4 ①意匠法又は特許法
②特許若しくは効果的な特別の制度又はこれらの組合せ
③不正商標商品又は著作権侵害物品
④商標又は意匠
5 ①意匠法又は著作権法
②特許
③不正商標商品又は著作権侵害物品
④商標又は意匠

正解は「3」

(①)意匠又は著作権(TRIPS25条2) 

(②)特許若しくは効果的な特別の制度又はこれらの組合せ(TRIPS27条3(b)) 
   日本も種苗法で保護しているため、特許のみではないことは明らか。

(③)不正商標商品又は著作権侵害物品(TRIPS51条)

(④)意匠、特許、回路配置又は開示されていない情報(TRIPS53条(2)) 
   商標や著作物であれば侵害しているかどうかが判断しやすいから担保金の規定はない。

 

【条約】10

知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(以下「TRIPS協定」という。)に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。

1 TRIPS協定のいかなる規定も、加盟国が、実施許諾等における行為又は条件であって、特定の場合において、関連する市場における競争に悪影響を及ぼすような知的所有権の濫用となることのあるものを自国の国内法令において特定することを妨げるものではない。

2 加盟国は、政府又は政府の許諾を受けた第三者が権利者の許諾を得ないで行う使用について、当該使用を明示的に定めるTRIPS協定第2部の規定に従うことを条件として、当該使用に対する救済措置を、許諾の経済的価値を考慮し、特許権者に対する、個々の場合における状況に応じた適当な報酬の支払に限定することができる。

3 特許権者の許諾を得ていない特許の対象の他の使用の許諾は、その許諾をもたらした状況が存在しなくなり、かつ、その状況が再発しそうにない場合には、当該他の使用の許諾を得た者の正当な利益を適切に保護することを条件として、取り消すことができる。

4 特許権者の許諾を得ていない特許の対象の他の使用について提供される報酬に関する決定は、加盟国において司法上の審査及び他の独立の審査のいずれにも服しない。

5 後発開発途上加盟国並びにその他の加盟国であって、貿易関連知的所有権理事会に対してTRIPS協定第 31 条の2及び附属書に規定する制度(以下「当該制度」という。)を輸入国として利用する意図を有する旨の通告を行ったものは、当該制度の下で輸入される医薬品がその輸入の基礎を成す公衆の健康のために使用されることを確保するため、自国のとり得る手段の範囲内で、かつ、自国の行政上の能力及び貿易の転換の生ずる危険度に応じて、当該制度の下で自国の領域に実際に輸入された医薬品の再輸出を防止するための合理的な措置をとらなければならない。

正解は「4」

(1)〇 TRIPS40条2

(2)〇 TRIPS31条(H)

(3)〇 TRIPS31条(G)

(4)× 司法上の審査及び他の独立の審査に服する(TRIPS31条(J))

(5)〇 TRIPS協定_附属書(3)

 

著作権法・不競法

【著作・不競法】1

著作権法に関し、次のうち、最も適切なものは、どれか。

1 日本国民の著作物でなく、かつ、最初に日本国内において発行された著作物でもない著作物については、日本国において著作権法による保護を受けることができない。

2 日本国の憲法の翻訳物は、たとえ民間事業者が翻訳したものであっても、著作権の目的とはならない。

3 裁判所の判決は著作権の目的とはならないので、判決に掲載された著作物である詩について、たとえ判決とは無関係に利用する場合であっても、著作権法上の問題を生じない。

4 国の機関である国土地理院の作成・発行する地図は、著作権の目的とはならない。

5 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、言語の著作物には該当しない。

正解は「5」

(1)× 条約により保護の義務を負う著作物がある(著6条3項)

(2)× 翻訳物は国等が作成するものについてが著作物の対象外(著13条1項4号)。民間が作成したものであれば著作物となる。

(3)× 裁判所の判決は著作物の対象外(著13条3号)だが、掲載された詩であれば著作物になる。 

(4)× 地図は著作物になりうる(著10条1項6号)

(5)〇 著10条2項

 

【著作・不競法】2

著作権法に関し、次のうち、最も適切なものは、どれか。

1 著作物の原作品に表示する場合には、たとえ周知でない筆名を表示するのであっても、その者について著作者の推定を受けることができる。

2 使用者である甲は、その業務に従事する乙が職務上作成した著作物であって、甲の名義で現実に公表されていないものについては、それがプログラムの著作物である場合を除き、その著作者となることはない。

3 使用者である甲は、その業務に従事する乙が、職務とは無関係に作成する著作物についても、あらかじめ定めた勤務規則等で甲をその著作者とすることができる。

4 著作者でない者の実名又は周知の変名を著作者名として表示した著作物の複製物を頒布する行為は、刑事罰の対象となる。

5 映画の著作物について、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、その著作権は映画製作者に帰属するが、ここでいう映画の著作物は、その趣旨から、劇場用映画に限られる。

正解は「4」

(1)× 周知でなければ推定されない(著14条)。実名登録をすれば著作者として推定される(著75条)ので、「推定を受ける場合がある」であれば○…かな?

(2)× 著15条1項では「自己の著作の名義の下に公表する…」と規定されている。自己の名義で公表していれば、現実に公表されていなくても職務著作となる場合はある。

(3)× 職務上作成する著作でなければ職務著作とはならない(著15条1項)

(4)〇 121条

(5)× 劇場用映画に限定されていない(著29条1項)。なお、映画の著作に認められる頒布権には消尽の規定(著26条の2第2項)が置かれていないが、劇場用映画ではない中古ゲームソフトの頒布権は消尽する(中古ゲームソフト事件)

 

【著作・不競法】3

著作権法に関し、次のうち、最も適切なものは、どれか。

1 著作権侵害の停止又は予防に必要な措置として、ライブバーにおいて侵害行為に供されたピアノの撤去を認める場合、裁判所は、当該ピアノが現実に専ら侵害の行為に供されたことを認定しなければならない。

2 侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等(いわゆるリーチサイト)の公衆への提示を対象とした罪については、告訴がなくても公訴を提起することができる。

3 日本の著作権の存続期間中に国外で著作権者に無断で複製された映画の DVD を、著作権の存続期間が満了した後に国内で販売するために輸入した日本の業者の行為は、著作権侵害とみなされる。

4 著作物である詩をその著作者の許諾なく公表した場合、その公表より前に当該詩の翻訳物がその詩の著作者の許諾を得て広く公表されていたとしても、その詩の著作者の有する公表権の侵害となる。

5 著作権を侵害して複製された写真集を購入し、業として輸出する場合、その写真集が著作権を侵害する物であることを知らなければ、その輸出行為は著作権侵害とはみなされない。

正解は「5」

(1)× 予防に必要な措置の請求で、侵害行為の認定は求められない。

(2)× リーチサイトの公衆提示(著119条2項4号)は、親告罪に該当(著123条1項)

(3)× 輸入の時において国内で作成したとならば権利侵害となるべき行為に該当しない(113条1項1号)

(4)× すでに公表されているものであれば公表権侵害に該当しない(著17条1項)

(5)〇 著113条1項2号

 

【著作・不競法】4

著作権法に関し、次のうち、最も適切なものは、どれか。

1 映画の著作物の原著作物である小説に係る著作権は、当該映画の著作物に係る著作権の存続期間が満了するとすべて消滅する。

2 映画の著作物に係る著作権は、著作者が自然人であっても、原則としてその著作物の公表された日の属する年の翌年から起算して 70 年を経過するまでの間存続する。

3 著作権は、存続期間の満了以外で消滅することはない。

4 美術の著作物の著作者は、その著作物について創作年月日の登録を受けることができる。

5 放送事業者の著作隣接権に関しては、その放送が行われた日の属する年の翌年から起算して 70 年を経過した時に存続期間が満了する。

正解は「2」

(1)× 小説に係る著作は当てはまらない(著54条2項)

(2)〇 映画著作の存続期間は公表後70年(著54条1項)

(3)× 放棄をした場合や相続人がいない場合は消滅する

(4)× プログラムの著作ではないから創作年月日の登録は受けられない(著75条の2第2項)

(5)× 放送事業者の著作隣接権の存続期間は50年(著101条2項3号)

 

【著作・不競法】5

著作権法に関し、次のうち、最も適切なものは、どれか。

1 著作権の譲渡は、その登録をしなければ、その効力を生じない。

2 出版権の設定は、その登録をしなければ、その効力を生じない。

3 オルゴールに音を最初に固定した者も、レコード製作者に該当する。

4 一度放送された番組と同一の番組を再度放送した場合、当該再度の放送については、著作隣接権は発生しない。

5 実演家人格権は、実演家の死亡とともに消滅し、実演家の死後における人格的利益の保護は認められていない。

正解は「3」

(1)× 著作権は対抗要件

(2)× 出版権の登録は第三者対抗要件(著88条1項)だけど登録しないと効力を生じないわけではない。

(3)〇 オルゴールもレコードの定義「蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)をいう。」(著2条1項5号)にあてはまる。

(4)× 一度放送されていても、放送事業者の著作者隣接権が生じる

(5)× 生存していたならば侵害となるべき行為をしてはならない(著101条の3)

 

【著作・不競法】6

不正競争防止法に関し、次のうち、最も適切なものは、どれか。

1 他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものと同一の商品等表示を使用した商品を販売して、他人の商品と混同を生じさせる行為は、目的の如何を問わず刑事罰の対象となる。

2 他人の著名な商品等表示に係る名声を害する目的で、その商品等表示を自己の商品等表示として使用した商品を販売しても、当該他人の名声の毀損という結果が発生しなければ、刑事罰の対象とはならない。

3 他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡若しくは貸渡しのために展示する行為は、不正の利益を得る目的であっても、刑事罰の対象とはならない。

4 役務の広告に、その役務の内容について誤認させるような虚偽の表示をする行為は、目的の如何を問わず刑事罰の対象となる。

5 営業上用いられている技術的制限手段により制限されている情報の処理を、当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置を譲渡する行為は、目的の如何を問わず刑事罰の対象となる。

正解は「4」

(1)× 不正の目的をもつ場合に限る(不21条2項1号)

(2)× 名声を害する目的である必要はない(不21条2項1号)

(3)× 刑事罰の対象となる(不21条2条2項3号)

(4)〇 誤認させるような虚偽の表示については目的の如何を問わずに刑事罰の対象となる(不21条2項5号) 

(5)× 不正の利益を得る目的を持つ場合に限る(不21条2項4号) 

 

【著作・不競法】7

不正競争防止法に関し、次のうち、最も適切なものは、どれか。

1 不正の利益を得る目的で、他人の特定商品等表示と類似のドメイン名を使用したことについて、当該他人がドメイン名に係る不正競争を理由としてその営業上の利益の侵害により受けた損害の賠償を請求する場合において、当該使用者がそのドメイン名により表示されるウェブサイトで商品を譲渡したときは、その譲渡した商品の数量に、当該他人がその侵害行為がなければ販売することができた商品の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、原則として損害の額とすることができるとする規定がある。

2 甲が、その販売する牛肉が外国産であるのに国産であると表示して販売したので、食肉販売業者の乙が甲に対して品質誤認に係る不正競争を理由としてこれにより生じた損害の賠償を請求する場合については、侵害の行為者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、その営業上の利益を侵害された者が受けた損害の額と推定する旨の規定は、適用の対象ではない。

3 競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知した者に対して、信用毀損に係る不正競争を理由としてこれにより生じた損害の賠償を請求する場合、営業上の信用の利用に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額として請求することができるとする規定はない。

4 不正の手段により技術上の営業秘密を取得した者が、当該技術上の秘密の使用により生ずる物の生産をしたときは、その者は、当該営業秘密の使用によりその生産をしたものとみなされる。

5 不正競争のうち、限定提供データを使用する行為に対する差止請求権は、その行為の開始時から 10 年を経過したときは、時効によって消滅する。

正解は「3」

(1)× ドメイン名の使用に関する不正競争(不2条1項19号)に逸失利益額は適用されない(不5条1項)

(2)× 利益額の推定は、全ての不正競争に適用される(不5条2項)

(3)〇 信用を害する虚偽の事実の告知(不2条1項21号)に異質利益額は適用されない(不5条1項)。”利益を受けているとき”にも当てはまらないので、利益額の推定も適用されない(不5条2項)

(4)× 生産したものと”推定される”(不5条の2)。”みなされる”わけではない。 

(5)× 限定提供データを使用する行為は、「行為を知った時から3年」または「行為の開始から20年」で時効となる 

 

【著作・不競法】8

不正競争防止法に関し、次のうち、最も不適切なものは、どれか。

1 他人が商品展示会に出展した物品であって、商品としての本来の機能が発揮できるなど販売を可能とする段階に至っており、それが外見的に明らかになっているものは、未だ実際には販売されておらず、量産態勢の整備をする段階に至っていない場合でも、その物品の形態を模倣した商品を譲渡する行為は商品形態模倣に係る不正競争に該当することがある。

2 飲食店の基本情報や評価等について投稿された情報を集積し、一般消費者がそれらの情報を入手して飲食店選びの参考にするためのインターネット上のウェブサイトにおいて、他人の著名な飲食店の名称を、当該飲食店の基本情報や投稿された情報を示すために表示する行為は、著名商品等表示に係る不正競争ではない。

3 周知商品等表示の使用による混同惹起行為として不正競争とされるためには、表示が出所表示機能を有するものでなければならず、いったん周知性を獲得した形態であっても、その後、同種商品が多数販売されることにより出所表示性が消滅し、商品等表示性が否定されて不正競争とはならない場合がある。

4 他人の特定商品等表示と類似のドメイン名を使用する権利を、当該他人の特定商品等表示を知らずに取得した場合は、その後、他人の特定商品等表示と類似していることに気が付き、不正の利益を得る目的で、そのまま持ち続けていても、ドメイン名に係る不正競争にはあたらない。

5 最初に販売された日から3年を経過した他人の商品の形態を模倣した商品を販売する行為は、その商品形態を具備しつつ若干の変更を加えた後続商品の販売日から3年を経過していなくても、商品形態模倣に係る不正競争防止法上の規制の対象とならない。

正解は「4」

(1)〇 不2条1項3号に該当する時点の学説は2パターンあって、「① 視認できる状態から該当」「② 事実販売から該当」。現在の通説は①であるため、この問題の解答は〇とのこと。

(2)〇 商標としての使用ではないため2条1項2号の不正競争にはあてはまらない

(3)〇 一般名称化したのであれば、不正競争とならない

(4)× 保有する行為も該当(不2条1項19号)

(5)〇 商品形態模倣行為(不2条1項3号)は最初に販売された日から3年経過すると適用除外になる(不19条1号5号)。変更を加えると保護期間が延長される旨の規定はない。むしろ、デットコピーでなければ商品形態模倣行為に該当しない。

 

【著作・不競法】9

不正競争防止法に関し、次のうち、最も適切なものは、どれか。

1 営業秘密が記載された書類であって、社内からの持ち出しが禁止されているものを、在宅勤務のために営業秘密保有者に無断で自宅に持ち帰る行為は、営業秘密に係る刑事罰の対象となる。

2 自己の所有するパソコンに営業秘密のデータを上司の承認を得て保存していた従業員が、データ消去義務に反して、当該データを消去し忘れて、当該パソコンを保管し続けることは、営業秘密に係る刑事罰の対象となる。

3 重要な技術上の情報について秘密管理がなされていなかった場合でも、保有者に損害を加える目的で当該情報を使用する行為は、営業秘密に係る不正競争となる。

4 レストラン経営のノウハウを含む営業秘密を管理する立場にある競業他社の社長を、その経営能力に期待して引き抜き、自社の役員として採用する行為は、営業秘密に係る不正競争となる。

5 業務の過程で公表前の新製品に関する営業秘密を示されていた従業員が、当該営業秘密が記された書類を、誤ってセミナー資料に含めて他社の従業員に配布してしまったとしても、営業秘密に係る不正競争とはならない。

正解は「5」

(1)× 図利加害目的でないからバツ(不21条1項4号)

(2)× 図利加害目的でないからバツ(不21条1項3号)

(3)× 秘密管理がなされていなければ、営業秘密にならない(不2条7項)

(4)× 社長の保有する影響秘密を取得したら不正競争になりうる(不2条1項8号)けど、採用する行為であれば問題ない

(5)〇 図利加害目的でなければ不正競争にならない(不2条1項7号)

 

【著作・不競法】10

不正競争防止法に関し、次のうち、最も適切なものは、どれか。

1 甲は、競争関係のある乙の営業上の信用を低下させるために、乙が製品の安全性に関する数値の偽装を行なっているという虚偽ではない事実を、乙の取引先各社の担当役員に対して言いふらした。この場合、甲の当該行為は、信用毀損に係る不正競争に該当する。

2 甲の周知商品等表示を使用した乙の商品の輸出により、輸出先である外国において商品の混同が生じている場合に、当該乙の輸出行為を不正競争として差し止めるためには、甲の商品等表示に係る国内における周知性の立証も必要である。

3 甲は、地上デジタル放送に付された 1 回だけ録画可能とするコピープロテクションを回避することのみを可能とするプログラムを作成した。甲が、そのプログラムを記録した USB メモリを無料で少数の親しい友人のみに譲渡したにすぎない場合は、甲の譲渡行為は、技術的制限手段に係る不正競争に該当しない。

4 人工知能を利用した製品の製造・販売をしている甲は、大量の視聴覚作品を人工知能に機械学習させるため、映画作品の DVD に施されているコピープロテクションを解除した。この場合、甲の解除行為は、技術的制限手段に係る不正競争に該当しない。

5 一般消費者である甲は、乙が日本産うなぎであると広告して販売している商品であるうなぎの蒲焼を購入したが、当該商品には外国産のうなぎが使用されていた。当該広告の内容を信じて当該商品を購入した甲は、乙の行為は原産地・品質誤認惹起に係る不正競争に該当するとして不正競争防止法に基づく損害賠償を請求できる。

正解は「4」

(1)× 虚偽ではない事実であれば不正競争に該当しない(不2条1項21号)

(2)× 不2条1項1号に該当。需要者の間に広く認識されているものということで、国内における周知性は関係ない…?

(3)× 不2条1項17号に該当。少数であっても関係ない。

(4)〇 機械学習をさせる行為であれば、不正競争に当てはまらない(不2条1項17,18号)

(5)× 乙の行為は不正競争に該当する(不2条1項20号)が、一般消費者はこの法律に基づいて損害賠償請求できない。

 

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