【弁理士試験】生物化学の過去問を解いてみた(2024年度)

弁理士に挑戦

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二次試験(論文/選択科目)の対策!

特許庁のWebサイトで公開されている過去問の中から、理工IV(生物)の「生物化学」を解いてみました。

 

今回は、2024年度(令和6年)の問題

 

ボクなりの回答と、ボクが考えた派生問題を共有させていただきます。

ぺぎ
ぺぎ

おかしな箇所があれば、Comment欄にてご指摘ください。

 

2024年度の過去問

問1(計40点)

以下の事項について、空欄の( ① )から( ⑳ )に適切な語を入れよ。ただし、同じ番号には同じ語が入る。

(1) 生物の遺伝情報をつかさどるDNAは、常に損傷の脅威にさらされている。通常の生育環境でも、塩基と( ① )の結合は加水分解反応によって切断され、特にプリン塩基である( ② )( ③ )が頻繁に失われる。また脱アミノ反応も塩基の変異を誘導し、シトシンは( ④ )に変異する。このような単一ヌクレオチドの変異は、変異を受けていない( ⑤ )を鋳型として2つの経路にて修復される。

① デオキシリボース
② アデニン
③ グアニン
④ ウラシル
⑤ 相補鎖

ぺぎ
ぺぎ

あれ…?2023年度と同じくDNAの問題???
二年連続はめずらしい

 

1つは( ⑥ )修復と呼ばれ、変異がある塩基を加水分解反応にて切断し、塩基の欠落した( ① )を除去し、DNA( ⑦ )によって正しいヌクレオチドを付加する。もう1つは( ⑧ )修復と呼ばれ、変異を含む鎖のオリゴヌクレオチドを切断し、DNA( ⑨ )によって二本鎖構造をほどいた上で、DNA( ⑦ )によって修復する。 放射線照射や活性酸素などによって生じるDNA二本鎖切断は、( ⑩ )( ⑪ )と呼ばれる2つの経路で修復される。( ⑩ )では修復部位のヌクレオチドがいくつか欠失することや、異なる染色体が結合する( ⑫ )が起きることがあり、間違った遺伝情報が伝わってしまう可能性がある。一方で、( ⑪ )では相同性のあるDNAを鋳型として用いて修復するため、誤りのある遺伝情報が伝わることはない。

⑥ 塩基除去
⑦ ポリメラーゼ
⑧ ヌクレオチド除去
⑨ ヘリガーゼ
⑩ 非相同末端結合
⑪ 相同組換え修復
⑫ 転座

 

(2) 動物において、隣り合う細胞が適切に結合することは、多細胞組織を適切に形成するために必須である。細胞結合様式の1つである( ⑬ )結合は、2つの細胞が細胞膜に発現する同種の( ⑭ )という分子同士が互いに結合することで形成される。( ⑭ )の結合には( ⑮ )イオンが必要である。( ⑬ )結合の細胞質側では、( ⑯ )という分子を介して細胞内骨格である( ⑰ )が重合した構造と結合することで、細胞移動などの際の力の発生に重要な役割を果たす。

⑬ 接着
⑭ カドヘリン
⑮ カルシウム
⑯ カテニン
⑰ アクチンフィラメント

ぺぎ
ぺぎ

意外性をついた問題
基礎だけど、出題頻度は低め

 

上皮細胞などでは、( ⑱ )結合を形成することで細胞シートの内外の分子の輸送を制限している。一方で、( ⑲ )結合は2つの細胞間の細胞質を連結し、電気的・代謝的に共役させる。( ⑲ )結合のチャネルは( ⑳ )というタンパク質が形成する。

⑱ 密着
⑲ ギャップ
⑳ コネクシン

ぺぎ
ぺぎ

ギャップ結合のチャネルは2つの「コネクソン」で構成される。この「コネクソン」は6分子の「コネクシン」で構成される

 

問2(計20点)

単一細胞解析技術について、以下の解析手法の概要をそれぞれ3行程度で説明せよ。

(1) フローサイトメトリー

フローサイトメトリーは、細胞を一列に並べてレーザー光を照射し、散乱光や蛍光を検出することで、個々の細胞の大きさ、内部構造、表面マーカーの発現などを迅速かつ定量的に解析する技術である。 これにより、免疫細胞の分類や機能評価、がん細胞の特性解析などが可能となる。

ぺぎ
ぺぎ

定番の解析手法

 

(2) 単一細胞遺伝子発現解析(シングルセルRNA-sequencing)

個々の細胞からmRNAを抽出し、その配列を解析することで、遺伝子発現の多様性や細胞間の違いを明らかにする技術である。 これにより、発生過程や疾患のメカニズム、細胞の状態変化などを高解像度で解析することができる。 近年では、細胞の系統解析や新規細胞タイプの同定にも活用されている。

ぺぎ
ぺぎ

がん細胞の治療抵抗性を調べたり、ワクチン接種後の免疫反応の変化を調べたり、実臨床での活用も注目されているらしい

 

問3(計40点)

以下の対比する2つの語についての問いに答えよ。

(1) 抗体について、モノクローナル抗体のポリクローナル抗体に対する利点を2つ挙げよ。

1. 高い特異性と再現性
モノクローナル抗体は、単一のB細胞クローンから得られるため、抗原の特定のエピトープに対してのみ結合する。これにより、他のタンパク質との交差反応が少なく、実験間での一貫性が保たれる。特に、同一の抗体を継代的に産生できるため、ロット間での性状のばらつきがなく、再現性の高い結果が得られる 。

2. 標的の微細な変化への高い感度
モノクローナル抗体は、特定のエピトープに対して高い親和性を持つため、標的の微細な構造変化や修飾に対しても敏感に反応する。これにより、精密な解析や高精度な検出が可能となる 。

ぺぎ
ぺぎ

モノクロとポリクロの違いは、高頻出

 

(2) 分子構造解析技術について、クライオ電子顕微鏡のX線結晶構造解析に対する利点を2つ挙げよ。

1. 結晶化不要で多様な資料を解析できる
X線結晶構造解析では、試料を結晶化する必要があるが、多くの生体分子、特に膜タンパク質や大規模な複合体は結晶化が困難である。一方、クライオ電子顕微鏡では試料を急速に冷却し、自然な状態を維持したまま解析を行うため、結晶化の必要がなく、柔軟で複雑な構造を持つ分子の研究に適している。

2. 複数の構造状態を同時に解析できる
X線結晶構造解析は、試料が単一の結晶状態であることを前提としているが、クライオ電子顕微鏡では試料を急速に冷却することで、複数の異なる構造状態を同時に観察できる。これにより、分子の動的な変化や機能的な変遷を詳細に解析することが可能となり、特に薬剤の結合状態やタンパク質の変性過程などの研究に有用である。

 

(3) 細胞分裂について、減数分裂では起きるが体細胞分裂では起きない現象を2つ挙げよ。

1. 相同染色体の対合と二価染色体の形成
減数分裂では、第一分裂前期において、相同染色体が対合し、二価染色体を形成する。この対合により、遺伝的多様性が生じる。一方、体細胞分裂では、相同染色体は対合せず、染色体は個別に分裂する。


2. 遺伝的多様性の創出
減数分裂では、相同染色体のランダムな分配と、二価染色体の組換えにより、遺伝的多様性が生じる。これによって、子孫に多様な遺伝情報が伝わりる。体細胞分裂では、染色体の複製と分配が正確に行われ、遺伝的に同一の細胞が生成される。そのため、遺伝的多様性の創出は体細胞分裂では起こらない。

 

(4) 遠距離シグナル伝達について、神経伝達がホルモン分泌より優れている点を2つ挙げよ。

1. 迅速な情報伝達と即時反応
神経伝達は、神経細胞が電気的信号をシナプスを介して隣接する細胞に伝達する仕組みであり、伝達速度が非常に速い。これにより、外部刺激に対して即座に反応することができる。一方、ホルモンは内分泌腺で合成され、血流を通じて全身に運ばれ、標的細胞に作用するため、伝達に時間がかかる。そのため、ホルモンの作用は神経伝達に比べて遅延し、持続的な効果を発揮する。

2. 高い精密性と局所的な制御
神経伝達は、シナプスという微細な接続部を介して行われるため、情報の伝達先が非常に限定的であり、精密な制御が可能である。これにより、特定の筋肉の収縮や感覚の伝達など、細かい調整が求められる生理機能を適切に制御できる。ホルモンは血液を介して全身に分布するため、作用が広範囲に及ぶ。そのため、特定の部位での精密な制御が難しく、全体的な調整が主となる。

ぺぎ
ぺぎ

(1)に加えて、(3)と(4)はしっかり得点を稼ぎたい

 

 

問題を解き終えた感想

【2024年度の特徴】

  • 昨年と同様、分子生物学寄りの問題
  • DNA修復機構と細胞間接着がテーマ?
  • 最近の傾向通り、専門性は比較的浅く、広い範囲で知識を問う問題

 

今年のテーマはDND修復と細胞間接着!

昨年と同様に、分子生物学の超初歩的な問題が多く出題されて、かなり解きやすい印象を感じました。

説明問題ついても、実習で習うような基本的な機材や、やはり初歩的な知識を問う問題ばかり

最先端のトピックスを回答することができなくても、基礎知識をしっかり抑えておけば、十分に合格できるような問題構成としているように感じました。

ぺぎ
ぺぎ

チャレンジングな問題は「単一細胞遺伝子発現解析」と「クライオ電子顕微鏡」くらい

 

ただ、、、基本的な問題ばかりといっても、

実際に解いてみると、なかなかワードが浮かんでこず、しっかりと対策をすることは不可欠

広く浅く、基本的な知識の振り返りが必要になります。

 

2024年度の派生問題

密着結合を構成するのは( ① )( ② )とういタンパク質で、これらが結合に沿って鎖状に並び、細胞同士を密着させている。密着結合による漏れ出し防止がなければ、腸の吸収細胞などの取り込み活性はむだになって、上皮の両側で細胞外液の組成が同じになってしまう。

デスモソームは別のカドヘリン分子群が細胞内で上皮型中間径フィラメントの( ③ )に結合してできる。( ③ )フィラメントは太い束となって細胞質を縦横に走り、デスモソームを介して隣の細胞の( ③ )フィラメントの束に溶接されているので、引っ張りに強く、表皮など外界にさらされる丈夫な上皮に特に多く存在している

① クローディン
② オクルディン
③ ケラチン

<動物の上皮に見られる細胞間結合>

  • 密着結合: 分子が細胞の間から漏れないようにする
  • 接着結合: 隣接細胞のアクチンの束どうしを繋げて機械的強度Up
  • デスモソーム: 隣接細胞の中間径フィラメントどうしを繋げて機械的強度Up
  • ギャップ結合: 水溶性の小さいイオンや分子を通過させる細胞間チャネル
  • ヘミデスモソーム: 細胞内の中間径フィラメントを基底膜に繋ぐ

 

X線結晶構造解析の概要を3行程度で説明せよ

 

クリーンベンチと安全キャビネットの違いを説明せよ。

クリーンベンチは試料の無菌環境を提供する装置で、主に試料の保護に特化している。一方、安全キャビネットは作業者、環境、試料を同時に保護する設計となっており、感染性物質や有害物質の取り扱いに適している。両者は空気の流れや保護対象において異なるため、使用目的に応じて適切な装置を選択することが重要である。

ぺぎ
ぺぎ

形は似ているけど、用途が全然違う

 

 

過去問リンク

 

 

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