【弁理士試験】生物化学の過去問を解いてみた(2013年度)

弁理士に挑戦

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二次試験(論文/選択科目)の対策!

特許庁のWebサイトで公開されている過去問の中から、理工IV(生物)の「生物化学」を解いてみました。

 

今回は、2013年度(令和25年)の問題です。

 

ボクなりの回答と、ボクが考えた派生問題を共有させていただきます。

ぺぎんとん
ぺぎんとん

おかしな箇所があれば、Comment欄にてご指摘ください。

 

2013年度の過去問

問1(計35点)

1.生物化学に関する以下の語句について、括弧内の語を全て用いて、それぞれ3~5行で説明せよ。用いた語には下線を引くこと。

(1) 真核生物の mRNA プロセシング
[除去、3’末端、hnRNA、5’末端、転写]

まず、RNAポリメラーゼIIによって転写されたhnRNAの5’末端に、5’キャップ構造が形成される。次に、RNAスプライシングによって、イントロンが取り除かれる。最後に、ポリAポリメラーゼによって、mRNAの3’末端にポリA尾部が形成される。このように、hnRNAが成熟mRNAとなる一連の過程をRNAプロセッシングという。

こちらの記事を参考にさせて頂きました。

 

(2) 減数分裂
[第1分裂、第2分裂、配偶子、二価染色体、半減]

「減数分裂」は卵や精子などの生殖のための特別な細胞(配偶子)をつくるための特別な細胞分裂のことをいう。染色体の複製の後に相同染色体が対合して二価染色体を形成した後、中間でDNAを複製することなしに二回連続して細胞分裂(減数第1分裂、第2分裂)が起こる。減数分裂によってできた生殖細胞は染色体の数が元の細胞から半減する。

ぺぎんとん
ぺぎんとん

前にも似たような問題があったような…

詳しくはこちら。

 

(3) アポトーシス
[凝縮、DNA、細胞膜、アポトーシス小体、能動的]

アポトーシスはプログラム細胞死の最も一般的な形態であり、多細胞生物の細胞で増殖制御機構として管理・調節された能動的な細胞死である。ほとんどの場合、クロマチンの凝集、ヌクレオソーム単位でのDNAの断片化を伴い、遺伝子によって制御されている。内容物がすべて細胞膜(アポトーシス小胞)によって閉じ込められたままマクロファージ等によって貪食されるため、周囲の細胞に何の害も及ぼさない。

ぺぎんとん
ぺぎんとん

またアポトーシス!!

これで3回目!

 

 

問2(計30点)

2.生物化学の実験技術に関する以下の語を、それぞれ5~8行で説明せよ。

(1) PCR 法

PCR 法(ポリメラーゼ連鎖反応)は極めて微量の DNA サンプルから特定の DNA 断片を短時間に大量に増幅することができる方法である。PCR法は3つの試薬(プライマー、遊離ヌクレオチド、DNA合成酵素)を混交したDNA溶液の温度を上げて下げるという一連の熱サイクルによって動作する。このDNAサンプルの加熱と冷却の繰り返しサイクルの中で、二本鎖DNAの乖離、プライマーの結合、酵素反応によるDNA合成、という3つの反応が進み、最終的に特定領域のDNA断片が大量に複製される。その操作の簡便さから、現在では基礎研究のみならず臨床遺伝子診断から食品衛生検査、犯罪捜査に至るまで社会の中でも幅広い分野に応用されている。

ぺぎんとん
ぺぎんとん

生化学では最も重要な実験手法の一つ。

PCR法を考案したキャリー・マリスは彼女とドライブデートをしているときに突然閃いたそう。

キャリー・マリスは、1993年にノーベル化学賞を受賞しています。

 

(2) サンドイッチ型 ELISA 法

ELISA法(酵素結合免疫吸着アッセイ)とは、抗体の特異性とシンプルな酵素測定法を組み合わせた技術で、試料中に含まれる抗原の濃度を検出・定量する際に用いられる。サンドイッチ型ELISA法は2つの抗体を使って行われるELISA法である。マイクロプレートに目的タンパク質に対する抗体を固相化し、目的タンパク質を反応させる。次いで酵素標識した目的タンパク質に対する別の抗体を反応させ、洗浄後、マイクロプレートに残る酵素活性を検出する。反応の特異性が高くなるため、高い検出精度を求められる場合に有効な方法である。欠点として、抗原の別々のエピトープを認識し、互いの結合を邪魔しない2種類の抗体の組み合わせが必要となる。

ぺぎんとん
ぺぎんとん

ELISA法といえばこれ。

 

問3(計35点)

3.以下の文章について、空欄の( ① )から( ⑯ )に適当な語を入れよ。ただし、同じ番号には同じ語が入る。

(1) 真核生物の動物細胞は様々なオルガネラを含む。遺伝情報をコードする DNA は核や( ① )に存在する。核内 DNA の遺伝情報は mRNA に写し取られて、( ② )を通って細胞質に運ばれ、リボソーム上でタンパク質に翻訳される。分泌タンパク質には小胞体への輸送を指示する( ③ )が付加されており、翻訳とともに小胞体内腔へ移動し、ゴルジ体を経由した後に、最終的に小胞膜と細胞膜の膜融合による( ④ )を介して細胞外に分泌される。( ① )の DNA は一般的に( ⑤ )が低い特徴があり、( ⑥ )に関わるタンパク質などがコードされている。( ⑥ )を介した酸化的リン酸化による ATP 産生が( ① )の主な機能である。

 

(2) タンパク質分子が正常な機能を発揮するために正しく折りたたまれることを補助するタンパク質を総称して( ⑦ )という。例えば、タンパク質分子が高温にさらされて変性した時には、( ⑦ )の一種である( ⑧ )が誘導され、変性タンパク質を正しく折りたたんで修復する。変性タンパク質は( ⑨ )アミノ酸残基を分子の外側に露出しており、容易に( ⑩ )して細胞毒性を示すが、( ⑦ )( ⑨ )アミノ酸残基を認識して結合し、タンパク質の( ⑩ )を抑制する。

⑦ シャペロン
⑧ HSP70
⑨ 疎水性
⑩ 凝集

ぺぎんとん
ぺぎんとん

シャペロンは、タンパク質の折り畳みをサポートしている

なお、真核細胞には、少なくとも2種類のシャペロンファミリーが存在することが知られています。

  • HSP70: リボソーム乖離前の折り畳みをサポート
  • HSP60: 完成したタンパク質の折り畳みをサポート

 

(3) ユビキチンは 76 個のアミノ酸からなるタンパク質で、真核生物に普遍的に存在し、他のタンパク質の修飾を介して多様な生命現象に関わる。標的タンパク質のリジン残基に C 末端の( ⑪ )を介してイソペプチド結合したユビキチンは、さらに自身の( ⑫ )番目のリジン残基を介して重合し、ポリユビキチン鎖を形成する。このポリユビキチン鎖は( ⑬ )によって認識され、タンパク質分解の標識となる。

 

(4) p53 は全ヒトがんの半数以上で変異や欠失が認められ、その機能不全により、がんが起こることから、( ⑭ )の一つと考えられている。p53 は転写因子として働き、DNA が修復可能な損傷を受けた場合には、p21 などのタンパク質を誘導して( ⑮ )を止め、DNA 修復を完了させる一方、DNA が修復不可能な損傷を受けた場合には、細胞死を誘導する。p53 は、通常状態では、( ⑯ )である MDM2 によってユビキチン化され、( ⑬ )を介して分解されているが、DNA 損傷などのストレス刺激時には、p53 のユビキチン化が抑制されて発現量が増加する。

⑭ がん抑制遺伝子
⑮ 細胞周期
⑯ ユビキチンリガーゼ

 

問題を解き終えた感想

【2013年度の特徴】

  • 分子生物学の問題が多い印象
  • 難易度は中くらい

 

説明問題がやや簡単で、穴埋め問題はやや難しいので、全体的な難易度は中くらい

 

2021年度や2019年度の「計算問題」、

2016年度の「化学反応式」、

2014年度の「分子生物学の重要な歴史」、

といった特徴的な問題はなく、全体を通して平凡な印象でした。

 

頻出問題が多数出題されているので、しっかり復習しておきたい過去問です。

 

2013年度の派生問題

競合型ELISA法について説明せよ

ELISA法(酵素結合免疫吸着アッセイ)とは、抗体の特異性とシンプルな酵素測定法を組み合わせた技術で、試料中に含まれる抗原の濃度を検出・定量する際に用いられる。競合型ELISA法は試薬間の競合を利用して抗原の相対量を測定するELISA法である。マイクロプレートに目的タンパク質に対する抗体を固相化し、目的タンパク質及びあらかじめ分かっている酵素標識抗原を同一マイクロプレート内で同時に反応させる。そして、マイクロプレートに残る酵素活性を検出する。目的タンパク質が低分子であり2つの抗体の間に挟むことができない場合、この測定法が用いられる。

ぺぎんとん
ぺぎんとん

目的タンパク質が低分子の場合に威力を発揮する測定法

 

がん抑制遺伝子は、がんの発生を抑制する機能を持つタンパク質をコードする遺伝子である。特に有名ながん抑制遺伝子として、p53、( ① )( ② )などが知られている。p53の変異は、大腸癌や乳癌、( ① )の変異は網膜細胞芽腫や骨肉腫( ② )の変異は乳癌や子宮癌などでみられる。

( ① )は E2F などの転写因子を介してプロモーターに結合することで、( ③ )に関与している。

( ② )は RAD51 などと協調して( ④ )に関与している。

① Rb
② BRCA1
③ 細胞周期の調節
④ DNA損傷を修復

ぺぎんとん
ぺぎんとん

BRCA1変異で生じた癌は進行が速くこれまで有効な治療に乏しかったものの、PARP阻害薬(オラパリブ)という分子標的薬が開発されて有望な結果を示しているそう。

 

過去問リンク

 

 

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