おはようございます。
弁理士試験まで「残り15日」
残り半月…(;゚Д゚)ヤバイ~
暗記の追い込みをかけていきたいのに、中々ペースに乗れないこの頃です。
…そういえば「受験票遅いなぁ~」と思ったら、発送時期=5/13(金)なんですね…
去年も直前まで届かずソワソワさせられたことを思い出しました(^-^;
さて、本日は法改正について整理したいと思います。
2022年度の弁理士試験でチェックすべきは以下の2点!
● 特許法等の一部を改正する法律 (2021年5月21日公布)
● 著作権法の一部を改正する法律 (2021年6月2日公布)
そこそこボリュームがあるので、2回に分けさせて頂きます。
今回は「特許法等の一部を改正する法律」について、行ってみましょう♪
法改正の概要
2021年5月21日に公布された「特許法等の一部を改正する法律」によって、以下の法律が改正されました。
- 特許法
- 実用新案法
- 意匠法
- 商標法
- 工業所有権特例法
- 国願法
- 弁理士法
「令和3年改正法」とも呼ばれているそうです。
ご留意頂きたい点として、改正法の施行日は各規定によって異なります。
なので、この記事では2022年度の弁理士試験までに施行される規定に絞って紹介します。
※出題範囲外の規定も除外しています
なお、改正された規定の詳細については「産業財産権法の解説」をご参照ください。
特許庁で公開されている内容と同じですが、数百円で買える良本なので、弁理士受験生には購入をオススメします!
試験に影響する改正
① 第三者意見募集制度
● 施 行 日 :2022年4月1日
● 関 連 法 :特許、実用新案
● 改正概要:侵害訴訟にて、当事者の申し立てにより、裁判所は(広く一般の)第三者から意見を募集できるようになった
● 改正理由:確定判決の効力が当事者以外の者に対しても大きな影響を及ぼす問題領域がでてきたため
◆ 特許法第105条の2第の11(新設)
(第三者の意見)
引用:令和3年法律改正(令和3年法律第42号)解説書 | 特許庁
第百五条の二の十一 民事訴訟法第六条第一項各号に定める裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟の第一審において、当事者の申立てにより、必要があると認めるときは、他の当事者の意見を聴いて、広く一般に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、相当の期間を定めて、意見を記載した書面の提出を求めることができる。
2 民事訴訟法第六条第一項各号に定める裁判所が第一審としてした特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟についての終局判決に対する控訴が提起された東京高等裁判所は、当該控訴に係る訴訟において、当事者の申立てにより、必要があると認めるときは、他の当事者の意見を聴いて、広く一般に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、相当の期間を定めて、意見を記載した書面の提出を求めることができる。
3 当事者は、裁判所書記官に対し、前二項の規定により提出された書面の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付を請求することができる。
4 民事訴訟法第九十一条第五項の規定は、第一項及び第二項の規定により提出された書面の閲覧及び謄写について準用する。
適応となる裁判所は深く考えすぎないこと!
特許侵害訴訟の管轄となる裁判所(一審:東京地方裁判所 or 大阪地方裁判所、二審:東京高等裁判所)にて、本制度が適応となることが規定されているだけです!
【準用】
✔ 補償金請求訴訟(特許法65条6項)
✔ 実用新案訴訟(実用新案法30条)
② 口頭審理のWeb化
● 施 行 日 :2021年10月1日
● 関 連 法 :特許、実用新案、意匠、商標
● 改正概要:当事者の申立て or 審判長の職権によりWeb会議で口頭審理を行えるようになった
● 改正理由:新型コロナに対応するため
◆ 特許法第145条第6項及び第7項
(審判における審理の方式)
引用:令和3年法律改正(令和3年法律第42号)解説書 | 特許庁
第百四十五条 (略)
2~5 (略)
6 審判長は、当事者若しくは参加人の申立てにより又は職権で、経済産業省令で定めるところにより、審判官及び審判書記官並びに当事者及び参加人が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によつて、第三項の期日における手続を行うことができる。
7 第三項の期日に出頭しないで前項の手続に関与した当事者及び参
加人は、その期日に出頭したものとみなす。
【準用】
✔ 証拠調べの出頭(特許法151条)
✔ 判定の口頭審理(特許法71条)
✔ 証拠調べ&証拠保全(特許法151条)
③ 訂正&放棄の承諾
● 施 行 日 :2022年4月1日
● 関 連 法 :特許、実用新案、意匠
● 改正概要:「訂正審判」&「権利の放棄」における通常実施権者の承諾要件が廃止された
● 改正理由:通常実施権者の増加&多様化に対応するため
◆ 特許法第127条
第百二十七条 特許権者は、専用実施権者又は質権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、訂正審判を請求することができる。
引用:令和3年法律改正(令和3年法律第42号)解説書 | 特許庁
【準用】
✔ 訂正の請求(特許法120条の5第9項, 134条の2第9項)
✔ 実用新案法における訂正(実用新案法14条の2第13項)
間違えやすいポイントなのでしっかり整理しましょう!
◆ 特許法第97条第1項
(特許権等の放棄)
引用:令和3年法律改正(令和3年法律第42号)解説書 | 特許庁
第九十七条 特許権者は、専用実施権者又は質権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その特許権を放棄することができる。
2・3 (略)
【準用】
✔ 実用新案権の放棄(実用新案法26条)
✔ 意匠権の放棄(意匠法36条)
商標の放棄については、引き続き、通常実施権者の承諾を要する点に注意!!
④ 特許料等の料金改定
● 施 行 日 :2022年4月1日
● 関 連 法 :特許、実用新案、意匠、商標
● 改正概要:具体的な金額を政令に委任することとなった。
● 改正理由:特許料等の具体的な金額が法定されており、柔軟性の低い状態であったため
出願、審査請求については、元々政令に委任されていました。
◆ 特許法第107条第1項
(特許料)
引用:令和3年法律改正(令和3年法律第42号)解説書 | 特許庁
第百七条 特許権の設定の登録を受ける者又は特許権者は、特許料として、特許権の設定の登録の日から第六十七条第一項に規定する存続期間(同条第四項の規定により延長されたときは、その延長の期間を加えたもの)の満了までの各年について、一件ごとに、六万千六百円を超えない範囲内で政令で定める額に一請求項につき四千八百円を超えない範囲内で政令で定める額を加えた額を納付しなければならない。
表 (削る)
2~5 (略)
【同様の改正】
✔ 実用新案料(実用新案法31条)
✔ 意匠料(意匠法42条)
✔ 商標料(商標法40条)
✔ 商標料分割納付(商標法41条の2第1,7項)
✔ 防護商標登録料(商標法65条の7第1,2項)
今回の改正により、国際意匠・国際商標登録出願に係る手数料についても同様に政令委任されています(意匠法60条の21第1, 2項/商標法68条の30第1, 5項)
⑥ 割増手数料の免除
● 施 行 日 :2021年10月1日
● 関 連 法 :特許、実用新案、意匠、商標
● 改正概要:帰責事由を考慮し、登録料の追納により生じる割増料金を免除する規定が導入された
● 改正理由:新型コロナに対応するため
◆ 特許法第112条第2項及び第4項~第6項
(特許料の追納)
引用:令和3年法律改正(令和3年法律第42号)解説書 | 特許庁
第百十二条 (略)
2 前項の規定により特許料を追納する特許権者は、第百七条第一項の規定により納付すべき特許料のほか、その特許料と同額の割増特許料を納付しなければならない。ただし、当該特許権者がその責めに帰することができない理由により第百八条第二項に規定する期間又は第百九条若しくは第百九条の二の規定による納付の猶予後の期間内にその特許料を納付することができないときは、その割増特許料を納付することを要しない。
3 (略)
4 特許権者が第一項の規定により特許料を追納することができる期間内に、第百八条第二項本文に規定する期間内に納付すべきであつた特許料及び第二項の規定により納付すべき割増特許料を納付しないときは、その特許権は、同条第二項本文に規定する期間の経過の時に遡つて消滅したものとみなす。
5 特許権者が第一項の規定により特許料を追納することができる期間内に第百八条第二項ただし書に規定する特許料及び第二項の規定により納付すべき割増特許料を納付しないときは、その特許権は、当該延長登録がないとした場合における特許権の存続期間の満了の日の属する年の経過の時に遡つて消滅したものとみなす。
6 特許権者が第一項の規定により特許料を追納することができる期間内に第百九条又は第百九条の二の規定により納付が猶予された特許料及び第二項の規定により納付すべき割増特許料を納付しないときは、その特許権は、初めから存在しなかつたものとみなす。
【同様の改正】
✔ 実用新案登録の追納(実用新案法33条)
✔ 意匠登録の追納(意匠法44条)
✔ 商標の割増登録料(商標法43条第1-3項)
✔ 商標の分割納付(商標法41条の2)
⑦ (国際意匠)新規性喪失の例外適応証明書
● 施 行 日 :2021年10月1日
● 関 連 法 :意匠
● 改正概要:国際出願とともに「新規性喪失の例外適応証明書」を国際事務局へ提出できるようになった
● 改正理由:「新規性喪失の例外適応証明書」の出し忘れが多発していたため
従来の規定だと、国際公開から30日以内に(日本国の)特許庁長官へ「新規性喪失の例外適用証明書」を提出することがmustでした。
◆ 意匠法第60条の7第2項
(意匠の新規性の喪失の例外の特例)
引用:令和3年法律改正(令和3年法律第42号)解説書 | 特許庁
第六十条の七 (略)
2 前項に規定する出願人が、その国際出願と同時に証明書をジュネーブ改正協定第一条(xxⅷ)に規定する国際事務局(以下「国際 事務局」という。)に提出したときは、第四条第三項の規定の適用については、証明書をジュネーブ改正協定第十条⑵に規定する国際登録の日に特許庁長官に提出したものとみなす。
⑧ (国際意匠)登録査定謄本の送達
● 施 行 日 :2021年10月1日
● 関 連 法 :意匠法
● 改正概要:「登録査定の謄本」の送達に代えて、電子的に通知できるようになった
● 改正理由:新型コロナに対応するため
◆ 意匠法第60条の12の2第1項及び第2項(新設)
(意匠登録の査定の方式の特例)
引用:令和3年法律改正(令和3年法律第42号)解説書 | 特許庁
第六十条の十二の二 国際意匠登録出願についての第十九条において準用する特許法第五十二条第二項の規定の適用については、特許庁長官は、査定(第十八条の規定による意匠登録をすべき旨の査定に限る。)に記載されている事項を、経済産業省令で定めるところにより、国際事務局を経由して国際登録の名義人に通知することをもつて、第十九条において準用する同項の規定による当該査定の謄本の送達に代えることができる。
2 前項の場合において、同項の規定による通知が国際登録簿に記録された時に、同項に規定する送達があつたものとみなす。
まとめ
本日は、2022年度弁理士試験の対策として、2021年5月21日に公布された「特許法等の一部を改正する法律」を整理しました。
まとめてみると新型コロナ対策で導入されたものが多い印象ですね。
数はそこそこ多いものの、シンプルな改正が多いのでサラッと見ておく程度でよいかと思います。
注意すべき改正は「③ 訂正&放棄の承諾要件」です。
ボクもうっかり間違えそう…(。-∀-)
ちなみに…「特許権等の権利回復の要件(正当な理由⇒故意ではない) 」については2022年度の弁理士試験までに施行されない見込みですのでご注意ください。
四法対照だと改正後の条文になっているからややっこしいな~~
ということで、本日はここまで!
次回は「著作権法の一部を改正する法(2021年6月2日公布)」
来週もよろしくお願いしますヽ(^o^) ♪
Comment
改正知りませんでした。ありがとうございました。二週間から勉強再開した、ゆとりなき超シニア
微力ながらお役に立てて光栄です^^