【弁理士試験】「決定をもつて…」と「審決をもつて…」の違いについてまとめてみた

弁理士に挑戦

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本日のテーマは「審決」と「決定」の違いについてです。

 

審判事件に係る手続きにおいて、、、

  • 不適法な手続き(審判請求以外)であって補正をすることができないものは「決定」をもって却下(特許法133条の2)
  • 不適法な審判請求であって補正をすることができないものは、「審決」をもって却下(特許法135条)

と規定されています。

 

平成23年度の短答試験では、この違いを問う引っかけ問題が出題されていますので、「決定」をもって却下となる手続きと、「審決」をもって却下となる手続きに何があるのか?

じっくり調べてみることにしました(* ᴗ ᴗ)⁾⁾

 

 

ちなみに、平成23年度の引っかけ問題はこちら

〔39〕特許法に規定する審判又は再審に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
1 審判長は、不適法な審判の請求であって、その補正をすることができないものについては、被請求人に答弁書を提出する機会を与えることなく、決定をもってこれを却下することができる。
2 特許無効審判の請求があったときは、審判長は、請求書の副本を被請求人に送達し、相当の期間を指定して答弁書を提出する機会を与えなければならないが、答弁書が提出されなかった場合でも、審判官は、当該審判事件についての審決をすることができる。
3 審決が確定した日から3年を経過した後であっても、当該審決が前にされた確定審決と抵触することを理由とする場合は、請求人がその理由を知った日から30日以内に限り、再審を請求することができる。
4 審判の請求が不適法なものであるときは、いかなる場合でも、審判長は、当該請求書が特許法第131条第1項に規定された審判請求の方式に違反しているとして、請求人に対し、相当の期間を指定して、当該請求書について補正をすべきことを命じなければならない。
5 審判において、請求人を補助するための参加の申請があったときは、審判長が、参加申請書の副本を被請求人のみに送達し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えれば、審判官は、審判により参加の許否を決定することができる。

引用:平成23年度弁理士試験短答式筆記試験問題及び解答 | 特許庁
ぺぎんとん
ぺぎんとん

正解は「2」

1は「決定をもつて…」ではなく「審決をもつて…」が正しい答え。

 

それぞれの概要

決定をもって…とは?

 

青本で特許法133条の2の趣旨を調べると以下の通り解説されています。

本条は、審判長が行う却下処分及びそれに係る手続について規定したものである。一八条の二に規定した特許庁長官が行う却下処分等に相当する(手続の却下については、一八条の二の解説を参照のこと。)。

引用:工業所有権法(産業財産権法)逐条解説 [第22版] 特許法第133条の2の主旨

 

“決定をもって却下”とは、審判長が行う却下処分ということ。

 

<133条の2に該当するケース>

  • 指定された期間経過後の答弁書の提出

などなど。。。

ぺぎんとん
ぺぎんとん

特許無効審判で特許権者が答弁書を提出する場合は、提出期間が指定されるらしい。

 

審決をもって…とは?

 

続いて、、、特許法135条の趣旨を調べると以下の通り解説されていました。

審判請求書について方式違反がある場合又は審判請求についての手数料が納付されていないときは、一三三条に規定するところにより審判長が決定をもって請求書を却下するわけであるが、その他についての請求要件が欠けており補正することができない場合は、本条の規定により合議体としての審判官が審決をもって却下する。

引用:工業所有権法(産業財産権法)逐条解説 [第22版] 特許法第135条の趣旨

 

同じ補正をすることができない場合でも、

「審判請求以外の手続き」については審判長が決定をもって却下するのに対して、「審判請求」については合議体としての審判官が審決をもって却下することになっている

…ということですね。

 

<135条に該当するケース>

  • 請求期間経過後の審判請求
  • 請求適格のない者による審判請求

 

決定で処理されるもの

特許法からPick Up

53条(補正の却下)
 第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて第五十条の二の規定による通知をした場合に限る。)において、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が第十七条の二第三項から第六項までの規定に違反しているものと特許をすべき旨の査定の謄本の送達前に認められたときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。
131条の2(審判請求書の補正)
 審判長は、特許無効審判を請求する場合における前条第一項第三号に掲げる請求の理由の補正がその要旨を変更するものである場合において、当該補正が審理を不当に遅延させるおそれがないことが明らかなものであり、かつ、次の各号のいずれかに該当する事由があると認めるときは、決定をもつて、当該補正を許可することができる。
 当該特許無効審判において第百三十四条の二第一項の訂正の請求があり、その訂正の請求により請求の理由を補正する必要が生じたこと。
 前号に掲げるもののほか当該補正に係る請求の理由を審判請求時の請求書に記載しなかつたことにつき合理的な理由があり、被請求人が当該補正に同意したこと。
133条(方式に違反した場合の決定による却下)
 審判長は、前二項の規定により、審判事件に係る手続について、その補正をすべきことを命じた者がこれらの規定により指定した期間内にその補正をしないとき、又はその補正が第百三十一条の二第一項の規定に違反するときは、決定をもつてその手続を却下することができる。
133条の2(不適法な手続きの却下)
 審判長は、審判事件に係る手続(審判の請求を除く。)において、不適法な手続であつてその補正をすることができないものについては、決定をもつてその手続を却下することができる。
169条(審判における費用の負担)
 特許無効審判及び延長登録無効審判に関する費用の負担は、審判が審決により終了するときはその審決をもつて、審判が審決によらないで終了するときは審判による決定をもつて、職権で、定めなければならない。

…結構多いですね(^^;

でも、審決をもつて却下となるものが例外なので、決定をもつて却下となるものは一つ一つ覚えなくて大丈夫です!

 

審決で処理されるもの

特許法からPick Up

135条(不適法な審判請求の審決による却下)
 不適法な審判の請求であつて、その補正をすることができないものについては、被請求人に答弁書を提出する機会を与えないで、審決をもつてこれを却下することができる。
169条(審判における費用の負担)
 特許無効審判及び延長登録無効審判に関する費用の負担は、審判が審決により終了するときはその審決をもつて、審判が審決によらないで終了するときは審判による決定をもつて、職権で、定めなければならない。

 

なんと、「審決をもつて」に該当する条文は、、、たったの二つしかありませんでした!

 

しかも、169条(審判における費用の負担)に関しては、

  • 審判が審決で終了したら審決をもって…
  • 審判が決定で終了したら決定をもって…

というものですので、通常のプロセス(審決をするのに熟したとき)以外で、審決をもって処理されるものは135条だけということですね(*’▽’)

 

ぺぎんとん
ぺぎんとん

135条が審決での却下を規定している理由は、原則として審判の終了は審決で行われることとされているため…か?

 

まとめ

 

  • 決定をもつて却下とは、審判長が行う却下処分ということ
  • 審決をもつて却下とは、合議体としての審判官が審決をもって却下すること
  • 通常のプロセス以外で審決をもって処理されるものは135条(不適法な審判請求)だけ

 

本日は以上となります!

 

「決定をもって…」と「審決をもって…」の違いを問われたときは愕然としてしまいましたが、詳しく調べてみるとそれほど難しい問題ではないことがわかりましたね。

それではまた来週もよろしくお願いします(*^^*)

 

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