ずっと
大人になんてなりたくなかった。
あくびの出てしまいそうな、
つまらない日常が目に浮かびます。
普通に結婚してオヤジになって、
スーツを着て電車で会社へ向かう日々
そして、ハゲた部長になっていく。
でも、ボクは知りませんでした。
このあたり前だと思っていた大人のイメージが、現実と大きくズレていることを。
スーツを着て働く人は一部の高学歴
一般庶民として刷り込まれた「フグ田マスオ」も「野原ひろし」も、激しい競争を勝ち抜いたエリートです。
そもそもオヤジになることが難しい
早朝から深夜まで必死に働いても、家族を養うどころか、自分一人のお金を稼ぐこともままならない大人が大勢います。
子供達の目に映る世界には、
成功した大人しか登場しない。
ボクがあたり前だと思っていた大人のイメージは、一部分の成功者でした。
あのハゲた部長が雲の上の存在だったなんて、
夢にも思っていませんでした…
大学を卒業するまで
ごく普通のゆとり世代
ボクはごく普通のゆとり世代。
バブル崩壊が起こる直前の1989年(平成元年)に生まれ、不景気な時代の中で幼少期を過ごしてきました。
ですが、
田舎の子供たちにしてみたら、バブル崩壊なんて他人事。
地方公務員の家庭で育ったボクも同じく、朝から晩までだらだらテレビゲームに没頭する日々を送っていました。
(父と同じように高卒の公務員で十分)
何不自由ない平和な生活に満足していました。
大学進学
大学への進学率は全国平均3割程度
ごく平凡な、
名前を書けばだいたい入学できるような田舎の公立高校へ通うボクのクラスでは、男子だと5割、女子だと1割が大学進学を希望しました。
何の取り柄もないボクは、
とりあえず、周りの友人と合わせて受験勉強。
運よく、MARCHレベルの私立大学に合格することもできて、大学進学を選びます。
そんなわけで、
18歳の春、ボクは田舎の実家を出て大都会へ旅立ちました。
大きな勘違い
北は北海道。南は沖縄。
日本各地から集まる学生達の多くは私立高校出身で、人一倍賢く、人一倍お金持ち
そんな彼らが必死になって優良企業に入り込もうとする中、ボクは全く焦ろうとしませんでした。
(MARCHレベルの大学をでておけば、普通の生活を送ることぐらいできるよね?)
これが大きな勘違いでした…
スーツで働いている人は一部の高学歴
一般的に優秀とされているMARCHレベルは、その最低ラインだったのです。
結果、
就職活動を疎かにしたボクは、
レールを踏み外しました
ボクがイメージしていた「普通の大人」になりたかったら、死ぬ気で就活しなければいけなかったのです。
転落の先
職業の分類として「ホワイトカラー」と呼ばれる言葉があります。
これはワイシャツ(スーツ)を着て働く職種のことを示しています。
その対義語は「ブルーカラー」
作業着を着て働く職種のことで、一般的に「肉体労働」を示しています。
社会はみんなが自分の特技を活かして働くことで成り立っているので、「ホワイトカラー」が良くて「ブルーカラー」が悪いとは思いません。
ただ傾向として、
「ホワイトカラー」の方が高収入で競争率が高いことは間違いないでしょう。
ブルーカラーの道
そんなわけで、
ホワイトカラーの内定をもらえないのであれば、必然的にブルーカラーの道が残されます。
ですが、
大学進学しておきながらブルーカラーの道を選ぶということはどうゆうことか?
「数百万円」という大金と「4年」という長い時間を投資しながら、頭脳労働者として戦力外であることを認めることになります。
作業着姿で汗だくになって働くボクをみて、大学の同級生はどう思うだろうか?
両親はどう思うだろうか?
いや、そもそも、、、肉体労働の職場に行ったところで、上手くやっていけるのだろうか…?
これが心理的な障壁となって、ブルーカラーの道を進み出すことができませんでした…
ちょうど世間では、
「高学歴プア」
という言葉が話題になっていました。
もう一つの道
ホワイトカラーの道を踏み外した者に残された道は「ブルーカラー」か、
はたまた「自宅警備」か…
いや、、、
もう一つの選択肢が存在します。
それは
「ブラック企業」
彼らは一見、ホワイトカラー
就活であぶれた大学生の救世主。
しかしその実態は、行き場を失った者の奴隷労働
逃げ道のない状況をいいことに、超低賃金 & 違法残業を強いられてしまうのです。。。
- ブルーカラー
- 自宅警備員
- ブラック企業
この究極の選択肢を前に、、、ボクはブラック企業を選びました。
ブルーカラーを選んでしまえば、ホワイトカラーの道からどんどん遠ざかってしまいます。
一方、ブラック企業であれば、そこでキャリアを積んで転職すればいい。
(一時の地獄を耐え抜くことができれば、道が開けるかもしれない)
そんな淡い期待を抱いて。
ブラック企業での生活
2014年4月。
ボクは東京都内の卸会社に入社しました。
卸会社はメーカーから商品を仕入れて販売店に提供する会社です。
ボクの仕事は営業担当として注文を獲得し、自ら商品を運ぶことでした。
長〜い拘束時間
ブラック企業といえば「長時間労働」。
さて、その実態は…
【 一日のスケジュール】
- 6:30 起床
- 7:00 出宅
- 8:00 出社頭 & 事務作業タイム
- 10:00 営業先へ出発!
- 19:00 帰社 & 事務作業タイム
- 21:30 退社
- 22:30 帰宅
- 23:30 就寝
睡眠時間は、一日「7時間」
仕事以外に使える時間は、一日「1.5時間」
土曜日はまちまちでしたが、日曜日は必ずお休み。
やはり厳しいですが、我慢できない程ではありませんでした。
(仕事以外の時間でしっかり休憩をとれば、どうにか続けられるゾ!)
最初は、そう思っていました。
絶対に休めない
ブラック企業の本当の辛いところは、
体調不良だろうと何だろうと仕事を休むことが絶対に許されないということ。
たとえ高熱が出ようとも、ゲロゲロになろうとも、有休を取ることが許されません。
先ほどのスケジュールも、あくまでも通常時のものなので、トラブルが発生したり繁忙期だったりすると終電まで帰れないのです。
寝不足でフラフラになりながら働き回ることがまさに地獄
疲れ果てた状態で仕事をすることがいかに辛いことか刷り込まれ、仕事以外の時間をできる限り睡眠にあてようとしてしまいます。
こうして思考停止状態に陥っていきました。
ひたすらパワハラ
ブラック企業にはパワハラのイメージもあるかもしれません。
ボクの会社でも事あるごとに罵声が飛び交っていました。
ブラック企業で働く人たちは就活で辛い思いをしてきた人ばかりなので、罵声を浴びるくらいでは簡単に辞めようとは思いません。
しかし、毎日毎日罵声を浴び続けることで、自身を喪失していきます。
そして、
「自分みたいなカスをこの会社が拾ってくれた」
「ここを辞めたらどこにも雇ってもらえない」
と洗脳されてしまうのです。
将来に希望を持てない
罵声が飛び交う中、超長時間労働が強いられるブラック企業
身を削りながら働いた給与がこちら。
- 手取りで約15万/月
- ボーナス約30万が年2回
※残業代はみなし(=タダ働き)
時給換算するとバイト以下です。
これだけ悪条件でも、(脱落者を除いて)他の会社へ転職していく人はほとんどいませんでした。
前述の「疲労による思考停止状態」と「罵声による自信喪失」の影響もありましたが、脱獄を阻むもう一つの壁があります。
それは、業界内への転職禁止令
従業員に転職禁止の誓約書を書かせるだけではなく、業界大手の地位を振りかざして、同じ業界の会社に圧力をかけていました。
そんなわけで、ひたすら耐え続けてもメーカーの営業担当へキャリアアップすることはできず、結局は脱落するか、ブラック企業の中でのし上がるか、二つの道しかありません。
最後に
この話を読んで
(全然ブラックじゃない)
と感じてしまった方に知ってほしいことがあります。
それは、現実世界は不公平であること。
つまり、「仕事の辛さ」と「その対価」は全く一致しておらず、辛い仕事ほど給与が低く、楽な仕事ほど給与が高いという矛盾が存在しています。
ブラック企業は辛くて低賃金な仕事。
従業員を留めるためにありとあらゆる仕掛けが施されています。
「自分の会社はブラックじゃない」
なんて言い聞かせてしまったら、ブラック企業の思うつぼ
まずは自分が搾取されていることを自覚して、自分の幸せのために行動する必要があります。
今のボク
社会人になってから4年後、
2回の転職を経て、ボクは条件のいい都内大手企業に転職することができました。
- 通常の業務時間は「9:00~17:30」
- 繁忙期でなければ残業はほとんどなし
- 手取りで25万/月+残業代
- ボーナス70万(年2回)
- 土日祝日休み
- 有休(10日/年)自由に取れます
年収だと500万程度。
この待遇を聞いて「全然普通」と感じる人も沢山います。
現代の日本社会にはブラック企業が溢れかえっていますが、社員を大切にしてくれる会社もある
そんなことを学びました。
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