おはようございます。
本日は、先週発表のあったノーベル賞に関する記事です。
筆者はライフサイエンス系の大学院修士課程を修了して、現在新薬の開発に携わっています。
そのバックグラウンドを活かして、今年の「ノーベル医学・生理学賞」に関しできる限りわかりやすく解説してみたいと思います。
今年のノーベル医学・生理学賞者
今年のノーベル医学・生理学賞受賞者をご存知でしょうか?
日本人が受賞していないので、あんまり話題に上がりませんでしたね…ちょっと寂しい気がします…(..)
今年の受賞者は、
- ジュリアス教授(米カリフォルニア大学サンフランシスコ校)
- パタプティアン教授(米スクリプス研究所)
まずは、ノーベル賞受賞おめでとうございます!!
ノーベル賞なんてすごいですよね!本当に憧れます!
お二人には、賞金1000万スェーデン・クローナ(約1億2700万円)が贈られるそうです。
受賞の理由
ノーベル賞医学・生理学賞は「臨床研究」と「基礎研究」が毎年交互に受賞しています。
- 2018年: 臨床研究(がん免疫療法)
- 2019年: 基礎研究(細胞による酸素量の感知)
- 2020年: 臨床研究(C型肝炎ウイルス)
と来ているので、今年は基礎研究です。その受賞理由は…
痛みと触覚の受容体の発見
つまり、「痛みを感知するセンサー」や「物に触れたこと感知するセンサー」を発見したということですね。
第一印象として、「え?今更?」と思ってしまいました^^;
具体的には、1997年にジュリアス教授が「痛みを感知するセンサー」、2010年にパタプティアン教授が「物に触れたことを感知するセンサー」を発見したようです。
それでも、随分最近ですよね。
痛っ!
とか
(いまスマホを持ってる)
のように、どちらも身近な現象なので、もっと歴史の深いものだと思っていました。
ちょっと面白いと思ったのは、「痛い」と「熱い」という感覚は同じセンサーに由来するようです。
つまり、「痛いという感覚」と「熱いという感覚」は同じ感覚ということなんですね!
この発見の意義①
「痛みと触覚の受容体」を発見したから何がすごいの?
と思われる方もいらっしゃいますよね?筆者もわからなかったので調べました^^;
慶応大学の仲谷正史准教授は「機械刺激のセンシングは,正常に機能する臓器や組織を作るうえで本質的な意味を持つ。それを明らかにする多くの研究を生み出したことが,ノーベル賞に値すると判断されたのだと思う」と話している。
この発見の意義②
もう一つ、こんな記事もありました。
ノーベル医学・生理学賞を受賞することになった研究について、生理学研究所の細胞生理研究部門の曽我部隆彰准教授は、「とうがらしを食べて人は辛いと感じるが、どの受容体が、とうがらしの辛み成分のカプサイシンを感じているのかは、誰にもわかっていなかった。(中略)その上で、受賞の意義について「感覚は、生命が一番最初に受け取る環境の情報で、外の世界がどうであるかを知る上で必須の機能だ。感覚機能がないと生き物は究極的に生きていけない。体にとって心地よい環境なのか、不快なのかを知るために重要な機能で、今回は、その感覚をつかさどる非常に重要な分子を発見したことが評価された。中でも痛いと感じる感覚は、医療的にも非常に重要で、世界中で基礎研究が進んでいる段階だが 感覚センサーのメカニズムがわかることで、慢性痛などを治療していく、緩和していく新薬が開発され、役立つ可能性がある」と話しました。
…ということは、
慢性痛などを治療するための新薬開発に繋がる?!
健康な生活を送っていると
痛みの薬ってそんなに重要か??
と思ってしまうかもしれませんが、ちょっと寝違えて首を痛めると湿布のありがさに気が付いたりしますよね。
寝違えたぐらいで、痛み止めのありがたみを実感してしまうくらいですが、痛みの程度が強い病気、例えば「がん」となるとその重要性はグッと高まります。
がんで闘病生活を送るとなると、耐え難い痛みが何か月、いや何年も継続することがあります。
医療用麻薬を組み合わせながら痛みを抑えていきますが、長期間使用していると、だんだん効果が薄れてしまうため、薬の組み合わせを替えていく必要があるそうです。
そういった経緯から、痛みの薬が重要視されているものかと思われます。
…
以上、2021年のノーベル医学生理学賞に関する解説でした\(^o^)/
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