そこは豪華客船。
客室でのんびりくつろぐボクの目には、どこまでも続く青空と青い海が広がります。
しかし、突然のアナウンス。
「船が沈没します!」
ボクは個室を飛び出して細長い廊下を全力疾走‼︎
途中、壁の小窓から船を脱出していく人影がチラチラ見えました。
「早く救命ボートへ!!」
でもボクは、、、
なぜか甲板への出入口に辿り着きません。
(なんで???)
じんわりと額に脂汗が流れて、息苦しくなってきました。
人は自分の頭で行動しているものと思い込んでいますが、それは勘違い。
人の行動は無意識が支配しています。
冷静な頭とは裏腹に、足がガタガタ震えて走りにくくなってきました。
(動け動け!)
早く外の空気を吸いたい
(動け動け!!!)
頭がくらくらグラグラ
(動け動け!!!!!)
出口はどこ!?
そんな夢をみました。
上司との大ゲンカ、
みんなの冷たい視線、
そして、退職後の行き先が決まっていないことを思い出します。
再び額に脂汗…
タイムリミットが刻一刻と近づいていました。
前回のお話
ブラック企業で働くボクは25歳。
新卒として会社に入社してから初めての12月、上司に対して感情を爆発させてしまったボクは1月末で会社を退職することが決まります。
(これで堂々と転職活動ができる)
そう思ったのも束の間、
退職の日が近づくにつれて体調に異変が…
退職の日まで、1ヶ月
ボクはキャリアを途切れさせることなく、
ホワイト企業の内定を得ることができるのでしょうか。
結末はいかに…
結末
2014年が終わり、
2015年の朝が訪れました。
年末年始の休暇で体調が回復することはなく、むしろ悪化の一途を辿っていました。
朝から晩まで息苦しい。
胃がムカムカして気持ち悪い。
手足がプルプル震えて力が入らない。
何もできずじっと目をつぶると、学生時代お世話になった教授のアドバイスが蘇ってきます。
絶対にキャリアを途絶えさせてはいけない
自分のキャリアのためにブラック企業で耐えてきたのに、ここで諦めたら全て水の泡。。。。
(なんとしてでも乗り越えないと)
もう一度、深く深呼吸をしました。
運命の出会い
「オフィスはボロいけど、いい会社だから面接受けてみなよ」
大学時代の先輩からLINEのメッセージが届きました。
それは、創業間もない小さな会社。
思考が停止しかけたボクは、ほとんど下調べをせずにそのまま応募しました。
(先輩の紹介だから大丈夫…)
「大学の先輩のオススメ」というだけで不思議な安心感があります。
第一印象
その会社のオフィスは、事前情報の通り、、、いや、それ以上にボロかった。
東京の飲み屋を連想してしまう暗~い雑居ビル
(ここで働いて大丈夫か…?)
余裕のないボクですら、そう思いました。
荒々しく揺れるエレベーターに乗って、最上階(4F)へ
・・・
入口の脇に設置されたインターホンを押すと、小柄な女性が出てきました。
「いらっしゃい。よくきたね。」
駄菓子屋のおばあちゃんのような初老の女性。
彼女の表情を一目見て、こう感じました。
(この会社はきっと大丈夫だ)
雲の中で最終面接
ボクの体調は最悪でした。
寝不足で頭がフワフワ…
手足の震えで体もフニャフニャ…
まるで、雲の中にいるような感覚
そんな中での社長面接でした…
もはや絶体絶命
ボクは何があったのか、包み隠さず話すことにしました。
一通り話し合えると、
社長はニヤッと微笑んで、こう言いました。
「いい経験をしたね。」
彼は社長になるまで、複数の会社を転々としてきたそう。
そういった崖から崖に飛び移るような経験こそ、貴重な財産だったと教えてくれました。
ボクは彼の会社に迎え入れられました。
新たなスタート
2015年2月。
ボクは新しい会社での生活が始まりました。
そこは創業間もないベンチャー企業
「ブラック企業の働き方とさほど変わらない」と覚悟していました。
唯一の希望は、その会社がホワイトな業界に属すること。
頑張ってしがみつけば、ホワイト企業への道が開けるかもしれません。
ボクの意気込みは
“ある意味” 裏切られます。
期待はずれ?
その会社は
絵に書いたような「ホワイト企業」でした。
まず、残業代をキッチリ払ってくれること。
このルールが徹底されていたので、無意味な長時間労働がありません。
次に休暇を取れること。
体調不良での休暇はもちろん取得可能
さらに傷病休暇が別に設けられており、毎年「10日間」プライベートを楽しむ目的で休暇を取ることができました。
そして、上司はみな優しく、よっぽどのことがない限り叱られません。
みんなニコニコ働いていました。
小さなオアシス
終業時刻の17:30になると、従業員が一斉に帰宅します。
久しぶりに眺める平日の明るい空
明るい時間帯に解放される日々が始まると不思議な感覚が湧いてきました。
まるで持久走でゴールした直後のような、、、
止まっているのに走り続けているような不思議な感覚。
(やっと戦いが終わったのかな?)
残念ながら
そうではありませんでした。
ブラック企業がひしめく東京砂漠の中で、その会社は小さなオアシス
やっとの思いで入社したそのベンチャー企業は、4年後に倒産します。
本当の意味でのブラック企業脱却を目指して、ボクは走り続けました。
ボクのお話はまだまだ続きます!!!
【この本読んで!】
ちょっと今から仕事辞めてくる
「第21回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞」を受賞した北川恵海さんのベストセラー
ブラック企業を辞めた直後にこの本を読んで、何度も頷きました。
ブラック企業の空気感とそこから解放される感覚を絶妙に表現しています!
2017年に福士蒼汰さん主演でドラマ化もされていますので、そちらもオススメです!
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