なかなか人気の出ない超優秀なモデル生物

思い出

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おはようございます。

本日は大学時代の思い出についてお話ししたいと思います。

Ataru
Ataru

ボクは大学時代「理学部生物科」に所属していました。

理学部は、「学問を深く追求する学部」です。医学部や薬学部のように特別な国家資格を取れるわけではありません

なので、最大の醍醐味といえば大学4年の卒業研究です。

Ataru
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1〜3年生の間に学んだ知識をフル活用して研究に打ち込みます

その後大学院に進学したので、合計三年間いろいろな研究に携わせてもらったのですが、それらの経験の中で最も印象に残ったものについて本日お話ししたいと思います。

それは…

線虫を使った研究です。

線虫の知られざる実力

線虫の実験?マニアックな実験だね〜笑

いやいや、そんなことはありませんよ(^^)/

Ataru
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生物学を学んでいる学生なら知らないと恥ずかしい超重要モデル生物です。

その証拠として、2000年代は線虫の研究に関し3つのノーベル賞が授与されています。

  • 2002年:アポトーシスの仕組み
  • 2006年:RNAiの発見
  • 2008年:GFPの発見
Ataru
Ataru

ボクの所属していた神経領域の教室では「マウス」と同じくらい重要なモデル生物として位置付けられていました。

歴史

1900年代の前半は、分子生物学が花開いた時代と呼ばれています。

Ataru
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生物の設計図である遺伝子の本質が「核酸」であることや、それが二重らせん構造であことなど、様々なことがわかってきました。

それらの発見は、物凄~~く単純な生物に着目したことが正解だったといわれています。

例えば、比較的ヒトに近いサルやイヌをモデルにしようとすると、子どもから大人に成長するまでに何年もかかってしまうし、体の構造が複雑すぎて結局よくわからないのです。

一方、大腸菌のような単純な生物をモデルにすれば、数日の間に世代交代が行われるので、どんどん実験が進みますし考察も容易です。

しかし、1900年代半ばに差し掛かると、問題が生じてきました。

大腸菌だと単純すぎる…

Ataru
Ataru

大腸菌は「単細胞生物」なので、発生の過程神経系について調べることができません。

そこで、生物学者シドニー・ブレナーは、多細胞生物でありながら物凄~く単純な生物「線虫」をモデル生物として確立し、2002年にノーベル賞を受賞します。

線虫が優れている理由

優れた特徴

体の構造が非常に単純:
 ⇒「959個」の細胞で構成神経細胞は「309個」

成長がとても早い:
 ⇒ たった4日で卵から大人になる

体が透明:
 ⇒ 生きたまま内部を観察できる

通常は雌雄同体:
 ⇒ 1匹で子供を産むことができる。温度が高いとオスも産まれる

冷凍保存可能:
 ⇒ 生きたまま半永久的に保存できる

研究の進め方

線虫の真骨頂といえば「突然変異誘発剤」を使ったスクリーニングだと思います。

例えば、運動機能について調べたいとします。

① 突然変異誘発剤を線虫に使う
② 大量のミュータントが産まれる
③ 「動きの悪い線虫」を単離
④ 単離した線虫の遺伝子を調べる

このようにすることで、運動機能にかかわる遺伝子を大量に特定することができます

「unc-●●」と呼ばれる遺伝子は「uncoordinated」の略で、上記の通り動きの悪い線虫から特定された遺伝子のことを言います。

Ataru
Ataru

他にも「臭いの機能」、「触覚の機能」などなど、様々なスクリーニングが行われています

何で人気がないの?

では、なぜそんな優秀なモデル生物があまり人気がないのでしょうか。

それは…

Ataru
Ataru

気持ち悪いから…

だと思います^^;

そりゃ~、20代そこそこの学生だったら…

マウスやってます

カルチャー(培養細胞)やってます

と、言いたいですよね。カッコいい!(*’▽’)♪

Ataru
Ataru

線虫やってます

・・・(え~~!?)

誰もやりたい学生がいないんだよ~Ataru君どう?

と、教授から言われてしまうくらいです…

でも、実はめちゃくちゃ面白かった(*’▽’)♪
いまだにネタにされますが…^^;

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