おはようございます。
現在、ボクはオンライン講座STUDYingを利用して超難関国家資格「弁理士」に挑戦しています!
本日は、特許法の中で理解に苦労した条文についてお話ししたいと思います!
特許とは?
そもそも「特許」とは、新たな発明を独占する権利です。
新たな発明をしてその特許を取得することで、出願から20年間、その特許発明を独占して実施(販売等)をすることができます。
実施は「生産、使用、譲渡、輸出、輸入、譲渡の申し出」と定義されています。わかりにくいので、「販売等」とさせていただきます。
特許は、新しい発明の研究開発の対価を適切に保護するために設けられています。
もし特許が存在しないと、新しい発明をするよりもマネだけをしていた方が有利になってしまうので、なかなか新しい発明が生まれなくなってしまいます。
特許を取得すれば必ず実施(販売等)ができるか?
新しい発明の特許を取得したとしても、
その特許発明を実施(製造/販売)できるとは限りません。
その一例が「利用・抵触」です!
他人が先に出願した特許と利用もしくは抵触する場合は、実施(販売等)できないということですね。
例えば、「割れにくいスマホの画面」を発明して、その特許を取得したとします。
しかし、他人が「スマホ」の特許を既に取得していた場合、その「割れにくいスマホの画面」を取り付けたスマホを実施(販売等)できません。
これは、「割れにくいスマホの画面」を実施(販売等)するために「スマホ」の特許を利用するためです。
上記は「利用」の例ですが、「抵触」の場合も同様です。
この利用と抵触の違いも、なかなか複雑です!
…ですが、本日お話ししたいことが別にあるので、今回は省略させていただきます!
それでは、利用・抵触により実施できない後願発明(割れにくいスマホの画面)は、先願発明(スマホ)の特許が消滅するまでただ待つしかないのでしょうか?
利用・抵触により実施できない場合は、先願発明の特許が消滅するまで待つしかない?
待つしかない…
とは限りません。
こんな規定があります。
「利用・抵触」の関係により特許発明を実施(販売等)できない者(後願権利者)は、先願権利者に通常実施権の許諾について協議を求めることができます!
通常実施権の許諾は「特許使ってもいいよ~」ということです
いや、別にわざわざ「協議ができること」を規定する必要なくね?(。-∀-)
その通り!
この規定があってもなくても協議できます(笑)
この規定は次の規定の布石なんです。
(自己の特許発明の実施をするための通常実施権の設定の裁定)
3 第一項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、特許権者又は専用実施権者は、特許庁長官の裁定を請求することができる。
もし協議が上手くいかない場合は、特許庁に裁定を請求していいよ!
ということです。
そして、特許庁による裁定がなされると、
強制的に許諾されたものとみなされます。
これを利用・抵触の「裁定通常実施権」といいます。
お兄ちゃんがオモチャ貸してくれないよ〜(裁定の請求)
意地悪しないで使わせてあげなさい!(裁定)
ちぇ〜
もちろん、裁定の請求があったからといって必ずしも裁定がなされるとは限りません。
(自己の特許発明の実施をするための通常実施権の設定の裁定)
5 特許庁長官は、第三項又は前項の場合において、当該通常実施権を設定することが第七十二条の他人又は特許権者若しくは専用実施権者の利益を不当に害することとなるときは、当該通常実施権を設定すべき旨の裁定をすることができない。
先願権利者の裁定通常実施権
その一方、先願権利者(兄)にも同様な権利が認められています!
(自己の特許発明の実施をするための通常実施権の設定の裁定)
2 前項の協議を求められた第七十二条の他人は、その協議を求めた特許権者又は専用実施権者に対し、これらの者がその協議により通常実施権又は実用新案権若しくは意匠権についての通常実施権の許諾を受けて実施をしようとする特許発明の範囲内において、通常実施権の許諾について協議を求めることができる。
オモチャを使わせる代わりに、そっちのオモチャ使わせろよなー!
というものです。
これについても裁定の規定があります。
(自己の特許発明の実施をするための通常実施権の設定の裁定)
4 第二項の協議が成立せず、又は協議をすることができない場合において、前項の裁定の請求があつたときは、第七十二条の他人は、第七項において準用する第八十四条の規定によりその者が答弁書を提出すべき期間として特許庁長官が指定した期間内に限り、特許庁長官の裁定を請求することができる。
こっちのオモチャを貸したのに向こうのオモチャ貸してくれないんだけど?(裁定の請求)
お兄ちゃんが貸してくれたんだからあなたも貸しなさい(裁定)
ちぇ〜
ややっこしいポイント
弁理士受験生の皆様お待たせしました。ここからお話ししたいポイントです。
ボクが悩んでしまったのは、「後願権利者の裁定通常実施権」と「先願権利者の裁定通常実施権」における移転の違いです。
移転とは?
移転とは他人に権利を移動させることです。
特許は無体物ですが、自由に売ったり買ったりできます。
通常実施権についても、「① 実施の事業と共にする場合」、「② 特許権者の承諾を得た場合」、「③ 相続その他の一般承継の場合」いずれかに該当する場合は、権利の移転が認められています。
利用・抵触の裁定通常実施権の移転
そして、裁定通常実施権についても権利の移転が認められているのですが、さらに厳しい条件が課されています。
その条件が「後願権利者の裁定」と「先願権利者の裁定」とで異なるのです!
ボクの裁定通常実施権は次の通りだよ!
(通常実施権の移転等)
ボクの裁定通常実施権は次の通り。
何が違うの??(*_*)
自分なりの理解
ボクの裁定通常実施権は「事業」との関係に縛られます。
スマホの例に戻ると、後願権利者は「後願発明(割れにくいスマホの画面)を備えたスマホ」を販売等するために「スマホ」の裁定が認められます。
「後願発明(割れにくいスマホの画面)を備えたスマホ」の事業を他人に売り渡すことは認められますが、その事業と「スマホ」の裁定通常実施権を切り離すことができません(切り離すと権利が消滅します)。
その事業を実施するために裁定が認められた経緯があるので、事業と裁定通常実施権を切り離せないのです!
一方…
ボクの裁定通常実施権は「先願特許」との関係に縛られます。
スマホの例にすると、「スマホ」の裁定の代わりとして後願発明(割れにくいスマホの画面)の裁定がなされました。
よって、後願の裁定通常実施権と異なり、先願の裁定痛所実施権は「事業」と切り離すことが可能です。
ただし、「スマホ」の特許と「割れにくいスマホ画面」の裁定通常実施権を切り離すことができません。
まとめ
- 特許は、新たな発明を独占する権利
- 利用・抵触により特許発明を実施(販売等)できない場合がある
- 利用・抵触により特許発明を実施できない場合、裁定が認められる場合がある(後願権利者の裁定通常実施権)
- 利用・抵触による裁定が認められる場合、先願権利者に対しても裁定が認められる場合がある(先願権利者の裁定通常実施権)
- 後願権利者の裁定通常実施権:「事業」に縛られる
- 先願権利者の裁定通常実施権:「先願特許」に縛られる
ボクの理解におかしな箇所がありましたらコメントを頂けますと幸いです。
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