金曜日の21時
早々と残業を切り上げたボクは、
猛ダッシュで電車に飛び乗り「東京駅」へ
帰路につく華金の酔っ払いをかき分けて、
スーツ姿のまま夜行バスに乗り込みます。
行き先は「大阪」
これは会社の出張でもなければ、友人とのバケーションでもありません。
月に一度、副業のための恒例行事
想像を遥かに超えた、
エクストリームな日常が始まりました。
前回のお話し
とあるブラック企業で働くボクは当時25歳
就活で大失敗してブラック企業にこき使われていた頃のお話です。
ひょんなことから人生の成功者「オカダさん(仮名)」とお近づきになったボク。
今度ウチにおいでよ〜
そこで目にしたものは、「別世界」でした。
彼は、「冴えない会社員」から「ビジネスオーナー」へと大変貌を遂げた成功者
しかし、
その成功のきっかけというのは「マルチ商法」だったのです!
一度は疑いの目を向けるボクでしたが、
不思議の国の魔力に魅入られ…
とうとう一線を越えてしまうのでした。
\ 前回のお話はこちら /
最初の課題
意を決して、不思議の国へ足を踏み入れたボク
そこで待ち受けていた最初の試練は、、、
彼らの集会に欠かさず参加すること
…って、、、え?
参加するだけ???
そうそう。
結構難しいよ〜
どんな過酷な試練かと思いきや、
正直、拍子抜け…。
しかし、
これがエクストリームな日常の始まりでした。
集会って何?
不思議の国住人はそれぞれが独立した起業家
紹介者が上司で、紹介を受けたものが部下とか、そんな上下関係はありません。
好きなように活動をしても全く問題がないわけですが、まずは彼らが定期的に開催する集まりに欠かさず参加することが最初の課題というわけです。
たしかに…
何をすればいいのかそもそもわからないかも
集会にはさまざまなタイプのものがありますが、ざっくり分類すると3種類
◆ 住人向けの勉強会
不思議の国の住人向けに開催されるもので、コンプライアンスについて学んだり、モチベーションを高めあったり、情報交換の場として利用されています。
◆ 一般向けのイベント
単なる飲み会だったり、キャッシュフローゲームだったり、一般の友人を呼んでワイワイガヤガヤ盛り上がるためのイベント。
真の目的は不思議の国に勧誘することなんですが、目的を隠して勧誘をすると法に触れてしまうため、絶対に不思議の国の話をしません。
あくまでも友人の輪を広げることを目的にしています。
◆ 一般向けの説明会
単なる友達の垣根を超えて、不思議の国への入会を希望した人を招く説明会。
いつも満席ですが、9割はさくら(不思議の国の住人)
ボクが最初に与えられた課題は、これらの集会すべてに欠かさず出席することでした。
難しい理由
1. 時間的な問題
住人たちの大部分は、別に本業があるため、集会が行われるのは「土日」と「平日の夜」。
普通の人なら何の問題もなく参加できるわけですが、この世界に飛び込んでくるような人たちは、休日出勤や長時間残業を強いられている場合が多く、いかにして会社を抜け出すかが死活問題となります。
「会社を抜け出せないから続けられない…」
と脱落していく人と、
「副業を優先したいから転職した」
という人に選択が分かれていきます。
2. 体力的な問題
上手く会社を抜け出す方法を見いだせたとしても、体力的な問題が降りかかります。
土日は早朝から夜までぶっ通しの勉強会
平日も仕事あがりから深夜まで勉強会
(楽して稼げる)
なんて勘違いしていた人は、体力的な理由で脱落していきます。
3. 金銭的な問題
最後に立ちはだかる問題は…「お金」
一つ一つの集会に参加するための「参加料」、そこへ行くための「交通費」、遠方で開催され場合には「宿泊費」を各自で負担する必要があります。
その額、約5万円/月
やはり、この世界に飛び込んでくるような人はこの程度の負担すら難しく、
- 固定費を極限まで削る
- 手取りの良い会社へ転職
- ボロアパートor共同生活で家賃削減
などなど、ありとあらゆる手段を検討します。
すべての住人たちは最初にこの課題が与えられ、その後も集会への参加を継続します。
彼らにとって、集会への参加は会社に出社するようなもの
平然ととこなせるようになって、やっと次のスタップに進むことができるのです。
次のステップ
集会の継続参加が習慣化したら、次のステップ
一言でいってしまえば、集会でのポジションを上げていくことが最大の目的になります。
最初は単なる参加者ですが、集会の役割を持つようになって、その役割を束ねるようになっていくこと。
また集会には、規模の大きさに違いがあって、より規模の大きなものに参加することや、さらにその中で重要な役割を任されることがステータスになります。
継続する理由
ボク自身、
もともとはスキルアップで始めたつもりが、いつの間にかその集団の中で地位を高めることが一番の目的に入れ替わっていきました。
集団を導いていく若きリーダー達がカッコよくて、切磋琢磨し合う仲間たちのことが好きで、その中で頑張りたいと思う気持ちです。
外部からみれば宗教じみた洗脳に見えるかも知れませんが、内部から見ると外部が歪んで見える不思議。
社会的に安定していると言われるだけの会社で、悪態を吐きながら魂を削り続ける日々。
なぜ尊敬のカケラもない集団の中に留まり続けるのか?
ジジババの失敗を一方的に背負わせようとするこの国の教え自体が悪意のある洗脳ではないのか?
今でも正解がわからない。
3つのアプローチ
話を戻して、集団の中で地位を得るための手段。
要素は、大きく3つありました。
1. アピール
集会のたびにお手伝いの募集があるので、欠かさず応募します。
なかなか選んでもらうことができないので、できるだけ早く、心に刺さるメッセージを送り続けます。
2. 毎月の売り上げ
自分と自分の紹介者を合わせた売り上げが大きなポイントになります。
20万円が毎月の目標金額になっていて、これを継続できていると一人前として認められます。
3. 紹介者の数
売り上げとも連動しますが、紹介者を何人維持しているかが一番重要なポイントになります。
(会社でいうところの部下の数)
紹介した総数は評価に加味されず、紹介料目的で騙して勧誘するような人が評価されないシステムになっていました。
【不思議の国の闇】
淡々とマルチの仕組みを説明しましたが、
「なんか面白そう」
と勘違いをさせてしまうとマズいので、必ずネガティブな側面をセットでお話しします。
本日のお話の中にも、深~い闇が隠れています。
非正規社員へ
「集会参加のために転職をする」
と書きましたが、そもそも就業後や土日の仕事を課される人が転職しても、さらに良い条件の会社に行ける可能性はほとんどありません。
そこで、
彼らの取りうる手段は正社員の地位を捨てて、派遣社員やフリーターになること。
将来の安定を犠牲に、目先の時間とお金を確保するというわけです。
多額の借金
「売り上げ20万/月を達成できれば一人前」
とされる理由は、たった一人の新人を向かい入れれば達成できる金額だからです。
なので、
(そんなことも達成できないようであれば、プロではないよね…)
といった雰囲気で満たされているわけですが、実際のところ、これを達成することは難しく、多くの住人たちは自腹で負担しています。
周囲から失望されたくない思いで、どんどん借金が膨らんでしまうのです。
家族・友人を失う
不思議の住人同士は、苦楽を共にする親友
まるで家族のような強い絆で結ばれています。
その一方で、本当の家族や昔からの友人関係には亀裂が走っていきます。
「遊びに誘っても全然こないんだよね~」
「怪しい人たちとつるんでるみたいだよ」
「なんか変な勧誘してきたんだけど…」
疎遠になってしまうくらいならまだマシで、家族と大ケンカで縁を切ってしまうような人もチラホラ。
どっぷりマルチに染まってしまうと、
誰にも頼ることのできない、借金まみれの派遣社員
そんな地獄が待っているわけです。
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