そこは豪華客船。
客室でのんびりくつろぐボクの目には、どこまでも続く青空と青い海が広がります。
しかし、突然のアナウンス。
「船が沈没します!」
ボクは個室を飛び出し、狭い通路を全力疾走‼︎
小窓から船を脱出していく人影が見えます。
「はやく救命ボートへ!!」
でもボクは、、、
なかなか出口に辿り着くことができません。
(なんで!?)
ガラスを一枚挟んで外が見えているのに、いくら走り回っても出られません。
いっそのことガラスを叩き割ればいいのか?
…いや、狭すぎて通り抜けられない。
そうこうしている間に、
窓の外側にチラホラいた人がほとんど見当たらなくなりました。
じんわりと額から汗が流れて、急に息苦しさを感じます。
(早く外に出ないと!)
再び走ろうとしますが、足がガタガタ震えて力が入りません。
動け動け!
(苦しい息が詰まる)
動け動け!!!
(頭がグラグラする)
動け動け!!!!!
(・・・・・・・・)
出口はどこ!?
そんな夢をみました。
上司との口論、
みんなの冷たい視線、
…そして、退職後の行き先がまだ決まっていないことを思い出します。
再び汗が流れて、枕がじっとり気持ち悪い
真っ暗な部屋の中で
鳴り止まない心臓の鼓動が、刻一刻と近づくタイムリミットを告げていました。
前回のお話
ブラック企業で働くボクは25歳。
新卒として会社に入社してから初めての12月、休日の出社命令をすっぽかしたボクは、あっさり嘘がバレて1月末で会社を退職することになってしまいます。
(これで堂々と転職活動ができる)
そう思ったのも束の間、
退職日が近づくにつれて体調に異変が…
タイムリミットは残り1ヶ月
このわずかな期間で内定をもらい、無事にブラック企業を脱出することができるのでしょうか?
結末はいかに…
最悪の年明け
2014年が終わり、
2015年の朝が訪れました。
年末年始の休暇で体調が回復することはなく、むしろ悪化の一途
朝から晩まで息苦しい
胃がムカムカして気持ち悪い
手足が震えて力が入らない
何もできずじっと目をつぶると、学生時代お世話になった教授の余計な一言、貴重なアドバイスが蘇ってきます。
絶対にキャリアを途絶えさせてはいけないよ
たしかに、、、
自分のキャリアのためにブラック企業で耐えてきたのに、ここで諦めたら水の泡。。。。
(なんとしてでも乗り越えないと)
もう一度、深呼吸をしました。
・・・
LINEのメッセージ
早く会社を見つけないとなのに、
頭が回らない。
一人項垂れていたボクの元へ、
大学時代の先輩からLINEのメッセージが届きました。
「オフィスはボロいけど、いい会社だから面接受けてみない?」
紹介されたのは、創業間もない小さな会社。
先輩への返答は「お願いします」
転職エージェントが作ってくれた履歴書と職務経歴書をそのまま転送しました。
会社を選ぶ余裕なんてない
転職エージェントの紹介よりはマシだろ…
後日、紹介された会社から面接の案内メールが届きました。
あやしい会社
その会社は、想像以上にボロかった。
東京の飲み屋を連想してしまう暗~い雑居ビル
荒々しく揺れるエレベーターに乗って、オフィスのある4Fへ向かいました。
(…ここで働いて大丈夫か…?)
余裕のないボクですら、そう思ってしまうほど
でも、最悪な第一印象はすぐに一転します。
入口の脇に設置されたインターホンを押して向かい入れてくれた小さな女性の一言
「いらっしゃい。よくきたね〜…」
ボクの会社では決して耳にすることのない、優しい響でした。
ピカピカのオフィスじゃなくていい。
たとえボロボロのオフィスでも、
社員に優しい会社で働きたい。
そう思いました。
雲の中で
体調は最悪でした。
寝不足で頭がフワフワ…
手足の震えで体もフニャフニャ…
まるで、雲の中にいるような感覚
そんな中での社長面接
ボクは何があったのか、包み隠さず話すことにしました。
毎日毎日、早朝から深夜まで働く生活にウンザリしていること
体調不良を理由に休日の出社命令を休んで、面接に行ったこと
そんなウソがあっさりバレてしまったこと
それから、、、体調を崩しかけていること。
社長はニヤッと微笑んで、こう言いました。
「いい経験をしたね。」
転職は崖から崖に飛び移るようなものだから、
崖の上に立てば、手足が震えて、めまいがして、気持ち悪くなる。
私もそれを乗り越えてきた。
いろいろ理解のある社長のおかげで、ボクは面接を乗り切ることができました。
新たな生活の始まり
2015年2月。
新しい会社での生活が始まりました。
とはいっても、
そこは創業間もないベンチャー企業
ボロボロのオフィスを見る限り、ブラック企業にいる状況とさほど変わらない
唯一の希望は、ホワイトな医薬品業界!
頑張ってしがみつけば、ホワイト企業への道が開けるかもしれません。
ボクの意気込みは
ある意味裏切られます。
期待はずれ?
その会社での生活は、今まで当たり前だと思っていたことがウソみたいに快適なものでした。
まず、残業時間をキッチリカウントしてくれること。
みなし残業とか何とかで残業代が全く払われない前の会社では、深夜残業が当たり前になっていましたが、残業時間のルールがしっかりしていたため、定時で帰ることができるようになりました。
次に自由に有休を取れること。
前の会社では「ゲロを吐いてでも出社しろ」と教え込まれていたのに、体調不良どころか、プライベートな理由で有休を取得できることに衝撃を受けました。
そして、上司はみな優しく、よっぽどのことがない限り叱られません。
みんなニコニコ働いていました。
小さなオアシス
終業時刻の17:30になると、従業員が一斉に帰宅します。
久しぶりに眺める平日の明るい空
明るい時間帯に解放される日々が始まると不思議な感覚が湧いてきます。
まるで持久走でゴールした直後のような、
止まっているのに走り続けているような、
不思議な感覚
(やっと戦いが終わったのかな…?)
ブラック企業で働いていた期間は10ヶ月
短いようで、長い長い嵐が過ぎ去り、ボクの頭の中にエンドロールが流れ始めます。
残念ながら、
終わりではありませんでした。
この転職は、戦いの始まりに過ぎません。
ブラック企業がひしめく東京砂漠の中で、その会社は小さな小さなオアシス
やっとの思いで入社したそのベンチャー企業は、、、4年後に倒産します!!!!!
本当の意味でのブラック企業脱却を目指して、ボクは走り続けることになるのでした…
【おすすめの本】
最後までブログを読んでいただきありがとうございました。
もしブラック企業の冷た〜い雰囲気と、そこから解放される喜びをもっと知りたい方がいらっしゃいましたら、こちらの本を紹介させていただきます。
「第21回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞」を受賞した北川恵海さんのベストセラー
ブラック企業を辞めた直後にこの本を読んで、思わず頷いてしまいました(^^;;
福士蒼汰さん主演のドラマ版ならアマプラでみれますので是非みてみてください!
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